(2)

「………き…………さき…………みやがさき……………宮ヶ崎!!!!!」


「はっはいいい!!!!」


宮ヶ崎杏柚実はライブが当たり有頂天になっていた。

ライブは5周年記念なので今までで一番豪華だという。

杏柚実は何とかしてメイリンこと白川メイにどうやって話しかけたら印象に残るか考えていた。


ー授業後ー


「あゆー、あんたまたメイリンの事考えてたでしょ。」


「しょうがないじゃん…メイリンと会えちゃうんだから!!」


杏柚実はこういうMu’sの何かの行事の直前(少し前)になると授業はMu’sの為にあるとか変な事(妄想)を考える。

その癖を知っている幼馴染達は飽きる事無く対応し続けている。


「でも、でもさ!?5年経った今でもまだMu’sが好きってすごくない!?」


「すごいすごいー」

萌萌奈は棒読みで返事した。

その声からは本当に何も感じていない“無”何だと読み取れた。


「でも9月5日って金曜日なんだろ?学校どうすんだよ」

優樹は心配になり首を傾げて腕組みしながら聞いた。


「そりゃ…休むよ」

杏柚実はさぞ当たり前かのように胸を張って答えた。


「何で休むの?早退すれば…」

結梨佳が言っている途中で偉そうにドヤ顔をして言った。


「推しに会うのだぞ。推しに。推しに会うのなら尚更女というものはな、前髪とか髪型をきちんと整えてから行きたいんだ。しかも相手がアイドルでグッズを販売しているというのなら尚更だ。推しのグッズを詰めたカバンを用意したい。そしてあゆはSNS界で“世界一メイリンを推している”と有名で拝むファンもいるのだぞ?そりゃ…」


「「最っ高の自分で行きたくなる!!」」


推しが好き同士の杏柚実・詩暮はいつも通りハモった。


「さすが。じゃあ詩暮も行ったらいいじゃん」


「そんな事を言うなよ…って良い!?行きたくなってきた!!」


「いいよ!!!もちろん!!」


「じゃあ私も行きたい!!」

勢いに乗って結梨佳も参戦してきて、他のメンバーも負けないと行く行くと言い出した。


ー翌日ー


「で、何でこうなった」

翌日の朝には杏柚実・詩暮・結梨佳・萌萌奈・優樹とMu’sを推してるクラスメイトの10人丁度集まっていた。


「一応自己紹介!私は森野慎太郎推しの美農莉亜(みのりあ)です!」


「私は旗本成火推し・鈴木茉里明(すずきまりあ)っす!」


「長嶋泳飛推し…七海愛海(ななみあみ)!」


「全員推し。後藤凪(ごとうなぎ)です!」


「全員推し…あり!!」


「でしょ!!」


「でもしんちゃんだって!!」

しんちゃんとは森野慎太郎。


「それを言うならメイリン!!」


「なーぴでしょ!!」

なーぴとは旗本成火。


「すいくんだね」

すいくんとは長嶋泳飛。



そしてファンの中で繰り広げられる話に追いつけなく、同時に引いている詩暮達であった。

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