〜終章-Ⅰ〜パーツ探し
「中は広いな…あっ!」
城内に潜入したナハト達は、前方にある大広間でライナーと渡り合う愁円の姿を見付けた。
「愁円魔王!」
「今直ぐ加勢に行「俺は大丈夫だからユエを探してくれ!」
烏丸の言葉を遮り、愁円が叫んだ。
三人はそれ以上の言葉をぐっと飲み込み、大広間にある階段を駆け上がって扉を焔丸が蹴り壊して先へと進んだ。
恐らくはライナーの自室にユエが捕まっているのだろうと目星を付け、それらしい部屋は無いか探って行く。
「ん?」
「どうしたナハト」
ある一つの部屋を開けると、ナハトが何かに気付いて不思議そうに首を傾げた。
烏丸が問うと、ナハトは天井高くにある光る何かのパーツのような物を指差す。
「あれ、何だろ?何かいかにも…って感じに置かれて無いか?」
「いかにも…というのが何かはわからないが…一応手に入れておくか」
「ならおれがやるよぉ」
焔丸が槍を床に突き刺してから跳躍して、その光る何かのパーツのような物を手にして降りて来る。
三人でそれを眺めてみると、パーツの素材が少し変わったものである事に気付いた。
「このパーツ、何かしら変わった力を放ってる、よな?」
「ああ」
「何か重要なものだってのはわかるねぇ」
取り敢えず手に入れたパーツは烏丸が預かる事にして、三人はまた部屋の探索を続ける。
すると、長い廊下を抜けた先に王の間と思われる場所を見付けた。
その奥に、一つの部屋があった。
「あれかなぁ?」
「行ってみようぜ」
焔丸が部屋を示してからナハトがその部屋に近付いて先ずは開くかどうか確かめる。
扉はゆっくり開き、中はどうやらライナーの自室で間違い無さそうだった。
但し、ユエらしき人の姿は見当たらない。
三人でくまなく部屋をチェックしていると、烏丸が何かを発見した。
「おい、これ」
「…あっ、この中の窪み、一つはさっき手に入れたパーツじゃね?」
烏丸が見付けたのは絨毯の下に隠された扉で、その扉にはいくつかの窪みがあり、まさに先程手に入れたパーツが嵌まり込む窪みがあったのだ。
烏丸がパーツを取り出し窪みに嵌め込むと、その窪みが淡く光りを放ち始めた。
残された窪みは後二つある。
「取り敢えずパーツ探して来るか?」
「そうだな」
ナハトの言葉に賛同した烏丸達はライナーの自室から出て更に他の部屋を探索して回る。
すると、今度はナハトと焔丸には視認出来ない位に離れた場所があり、今ナハト達が居る場所には一つの重厚な箱が置いてある。
「俺じゃ見えねぇや」
「おれも無理ぃ」
「スイッチが一つ見える」
「いやお前の視力ヤバくね?何故そこまで進化したんだよ」
「ガランノさんのおかげで」
「…成る程」
あっさりと離れた場所にあるというスイッチを発見した烏丸。
取り敢えずどうやってスイッチを押すか、の話になったが、やはりその役目も烏丸が弓矢で射抜く作戦に決まった。
烏丸は矢筒から矢を取り出し、直ぐにスイッチを射抜く。
すると、重厚な箱が開き中から別の光るパーツが出てきた。
「残りは一つか」
「後調べて無い部屋を虱潰しに探そう」
その部屋を出て、三人はまた部屋の探索を始めた。
それから暫くして――
―――――
「あれか?」
「…スイッチが沢山…」
今度は前方に沢山のスイッチがある部屋に入った。
どれかが本物なのかは全くわからない。
「あー面倒臭ぇ!全部いっぺんに押しちまえばいいだろ!」
「馬鹿かナハト、中には罠があるかも……」
烏丸が静止する暇もなく、ナハトが全てのスイッチにナイフを投擲してしまった。
烏丸は罠を警戒したが、別段おかしな事は起こらず部屋の左壁にあった絵が床に落ちて、絵のあった場所に光るパーツがあった。
最後のパーツも回収した三人はライナーの自室に戻り、絨毯の下の扉にある窪みに嵌め込んでいく。
すると、扉が光を放ちながらゆっくり開いて、中には鍵のついたケースに入った白い花があった。
白い花はよく見ると少し萎れかけている。
焔丸がケースを壊そうとしたが、それは無駄な努力に終わった。
「鍵はライナーが絶対に持ってる」
「兎に角、愁円魔王の元に急ごう!」
三人は愁円とライナーが戦う大広間へと踵を返した。
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