〜Ⅱ-Ⅲ〜成長

愁円が『和の魔界』に帰り、ガランノに会って直ぐ。

ガランノが興味深そうに愁円を見つめて来た。


「何ですか、ガランノ師匠…?」

「お前さん…何処で何をされたんかはわからんが、面白い成長したのぅ?」

「?」


首を傾げる愁円にガランノが近寄り、愁円の腹部に『トンッ』と拳を当てる。

愁円はまた全身を砕かれるような痛みに襲われるかと身構えたが、果たしてそのような痛みには襲われなかった。

平然と佇む愁円に向かってガランノが言う。


「砕いた直後から治っておる。それが筋肉と骨の強化に繋がっておる」

「…!」


愁円は直感的に思った。

ユエのくれた蜜のお陰だと。


「お前さんの配下はまだまだ未熟じゃが…『それ』を使えば解決するかもやしれんのぅ?」

「…ナハト達にも修行を?」

「ものの序でにの、ナハトにはナイフの投げ技の鍛錬、焔丸には槍術、烏丸には弓術を極めて貰っておる」

「…今度ボーナス出さなきゃな…」


項垂れる愁円に対してガランノはまた戦闘態勢をとる。


「ほれほれ、お主も頑張れ頑張れ」


何処となく楽しげに見えるガランノに、僅かばかりに殺意を抱いた愁円であった。

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