〜Ⅱ-Ⅰ〜ガランノの力
「ここが訓練場でよかね?」
ガランノが歩みを止めたのは、『和の魔界』の城の外にある兵士達の訓練場。
そこには既に何十人というライナー部隊の兵士達が捕らえられていた。
ガランノはその中の一人を選び、手足を拘束したまま訓練場の中央に向かい、その兵士の胸倉を掴み持ち上げ愁円達によく見えるようにした。
「今からワシがこいつを本気で倒すでな、よう見るんやで」
そう言ったガランノが兵士の首に手刀を入れる。
愁円達が予想した『ドスッ』という音では無く、『スパッ』『ブシャァッ』『ゴトン』という音の連鎖が起き、愁円達の視点からはガランノが手刀で兵士の首を刎ねたように見えた。
「…は、はぁあ!?」
「手刀で首を刎ねた…!?」
「怖い怖い怖い!ガランノさん何者!?」
「…オソロシス…」
理解し難くポカンと口を開いたままの愁円。
有り得ないものを見たとガン見するナハト。
ガランノに怯えて烏丸の背後に隠れる焔丸。
無表情で呟く烏丸。
そんな彼等に視線を向けてガランノは言った。
「ワシ、本気出して普段戦わん。ワシが愁円魔王を鍛えたら、腕や足をもぐ位は出来るようになるかものぅ」
「もっ…?!」
ガランノの言葉に目を白黒させながら、愁円は状況把握に必死になる。
更にガランノは追い打ちをかけるように言う。
「まぁ先ずは攻撃力じゃのぅて防御力の底上げからじゃな。ワシの攻撃にどれだけ耐える事が可能になるか、じゃ」
「無理無理無理無理無理、死ぬ、直ぐに死ぬ」
「やってみんとわからんじゃろ〜、はよ来い。医者も確認しとるから大丈夫じゃ」
訓練場の中央に立たされた愁円の腹部に、『トンッ』とガランノの拳が当たり…。
『ミシッ…ビキキッ』という音と共に愁円が吐血しながらその場に倒れた。
「ごふぁっ……」
「愁円魔王!?」
「衛生兵ー!衛生兵ー!」
その日は阿鼻叫喚の惨状となるのだった。
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