第29話
そんな話をしているうちに夜はふけていった。
プリンちゃんは慌てて眠りにつき、わたしはひとりで火の番をした。
闇のなかで火が
この炎が消えちゃうと、わたしたちは
居眠りしそうになりながらも、わたしは目をかっぴらいて起きつづけた。
交代の時間になって、パフワダーを起こそうとしたときにびっくりして声を上げてしまったのはちょっとした秘密だ。
だって、目がガン開きだったんだもん。すごく怖かった。
それから、わたしは入れ替わりに寝て――次に目を覚ましたときには太陽が昇っていた。
もうすでに、プリンちゃんもパフワダーもおきていた。たき火を前にして、簡単な食事をとっているみたいだった。
「みんな早いね……」
プリンちゃんは最後の番だから、起きているのは当然として、乾燥ネズミを火であぶっているパフワダーはなんで早起きなんだろ。
感情のこもっていない冷たい目がわたしの方を向いた。
「私たち、温度には敏感だ。朝になれば自然と目が
「ヘビだもんね」
ヘビといったら、日陰とか草の間にいるようなイメージがある。たしか、変温動物なんだっけ?
わたしは急いで朝ごはんの支度をして――今日も堅いパンだ――水で流し込む。
ごはんを終えたわたしたちは洞窟を出発。太陽の中心みたいな暑さのさなかをロバに乗って進んでいく。
「今日の昼頃には到着するでしょう」
「昼頃でいいの?」
てっきり、夜にその街とやらにたどりついて、そっから進入するとばかり思っていた。
パフワダーが長い首を振った。
「暑い昼間の方が活動が
「なるほど……」
「また、かの神ないしその息子がいる場合も、夜よりも昼の方が活動が鈍い」
「聞いたことがあります」とプリンちゃんが言った。「ヘビ人間に信仰されている神は、『眠りを貪るもの』と呼ばれていると」
「よく眠っているのは間違いない」
「つまり、昼間は眠っていて、夜は起きている。昼夜逆転のダメ人間ってこと?」
「あの神に、昼夜の区別があれば、だが」
そういって、パフワダーが肩をすくめた。彼らヘビ人間にも、わからないことがあるということだろうか。
そうやって、次第に強さを増していく太陽の下を歩いていけば、地平線の向こうから、高い塔が姿を現した。
「あれが……」
「ああ、私たちが生活していた街だ」
パフワダーが指さした街は、太陽に照らされ、不気味に輝いていた。
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