第6話 繰り返される練習と小さな達成感
バッティング練習を始めてから数週間が経った。篠崎雄大は、父親と一緒に毎週末の練習を楽しみにしていた。まだ小さな体で、少しずつ力をつけていく中で、彼のバットから放たれるボールの飛距離は徐々に伸びていった。
その日は特に天気が良く、日差しが心地よい中での練習となった。父親はいつものようにティーバッティングセットを準備し、雄大はすぐにバットを手に取った。
「今日もよろしくお願いします!」
雄大の挨拶に、父親は笑顔で頷き返した。「今日もいい調子で打ってみような」と声をかけると、雄大はしっかりと構えた。
最近、雄大は父親のアドバイスを受けて、フォームの改善に取り組んでいた。バットを引く位置や体の使い方を少しずつ意識し、何度も何度も同じ動作を繰り返した。その結果、ボールに力強く当たる感覚が増えてきていた。
「もっと、もっと飛ばしたい…」
心の中でそう思いながら、雄大はバットを振り下ろした。ボールは心地よい音を立ててバットに当たり、今までで一番遠くに飛んでいった。雄大はその瞬間、確かな達成感を感じた。
「やった!今のはいい感じだった!」
雄大は嬉しそうに父親に報告した。父親も満足げに頷き、「その調子だ。いい感じで力が入ってきたな」と褒めてくれた。その言葉に、雄大の胸は高鳴った。
その後も、雄大は何度もバッティングを繰り返した。もちろん、全てがうまくいくわけではなかったが、少しずつ成長を感じることができた。失敗するたびに父親からアドバイスをもらい、次の一打に向けて気持ちを切り替えた。
練習が終わり、夕方の穏やかな風が吹く中、二人は家に帰った。雄大はその日も満足感に包まれていた。毎回の練習で得られる小さな達成感が、彼の自信となって積み重なっていくのを感じていた。
家に帰ると、母親が夕食の準備をしていた。雄大は今日の練習での成果を母親に伝えると、母親も「すごいわね、雄大」と嬉しそうに彼を褒めてくれた。
夕食を終えた後、雄大は一日の出来事を思い返しながら、ベッドに入った。毎日少しずつ成長している自分を感じながら、彼はさらに上手くなりたいという強い意志を胸に眠りについた。
彼の夢は、まだ遠くに感じられるが、確実にその道を歩んでいる。雄大は、この小さな達成感を胸に、これからも練習を重ね、夢に向かって進んでいくのだった。
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