第4話 幼稚園での小さな挑戦
篠崎雄大が5歳の頃、幼稚園での生活は日に日に楽しいものになっていった。友達と一緒に遊ぶ時間が増え、その中で雄大は少しずつ自分の「野球魂」を感じ始めていた。前世の記憶が少しずつ鮮明になり、野球への情熱が日増しに強くなっていくのを実感していた。
ある日、幼稚園の園庭で友達と一緒にボール遊びをしているときだった。友達の一人、ケンタが新しいおもちゃのバットを持ってきた。
「みんな、これで遊ぼうよ!」
ケンタがバットを振り回すのを見て、雄大は無意識に目を輝かせた。前世での野球の記憶が彼の中に呼び起こされ、そのバットを握りたい衝動に駆られた。
「俺、やってみたい!」
雄大はケンタからバットを借り、少し興奮しながら構えた。もちろん、まだ幼い体ではバットを上手く振り回すことはできなかったが、雄大は一生懸命にスイングを試みた。
「こんな感じかな…」
バットを振るたびに、前世で身に付けたフォームが少しずつ蘇ってくるようだった。だが、力が足りず、ボールを遠くに飛ばすことはできなかった。それでも、雄大は何度もスイングを繰り返し、少しずつ感覚を掴んでいった。
「雄大、すごいね!こんなに上手にできるなんて!」
友達が褒めてくれるのが嬉しくて、雄大はさらに練習に打ち込んだ。園庭でのボール遊びは、雄大にとって本格的な野球練習の始まりとなった。もちろん、まだまだ幼稚な遊びに過ぎなかったが、雄大にとっては貴重な経験だった。
その夜、雄大は父親にその日の出来事を話した。父親は驚きながらも微笑み、息子の成長を感じ取った。
「じゃあ、今度はお父さんと本格的なバッティング練習をしようか?」
その言葉に、雄大は胸を躍らせた。家の前でのキャッチボールに加え、バッティング練習が加わることで、彼の野球への情熱はますます強くなっていった。
しかし、雄大には一つの不安があった。まだまだ体が小さく、思うようにボールを飛ばせないことが悔しかったのだ。彼は父親に尋ねた。
「どうしたらもっと遠くにボールを飛ばせるかな?」
父親は少し考えた後、優しく答えた。
「雄大、まずはしっかりとしたフォームを覚えることが大事だ。力よりも、正しい動きが大切なんだよ。」
その言葉に、雄大は深く頷いた。彼はこれから、正しいフォームを学び、少しずつ力を付けていくことを心に決めた。
「僕、もっともっと上手くなりたい!」
その夜、雄大は夢の中で再びバットを振り、ボールを遠くに飛ばす自分の姿を思い描いた。幼稚園での小さな挑戦が、彼にとって大きな一歩となり、彼の成長を促していく。
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