第6話 これが美少女わからせ展開ですか?

 次に目を覚ますと、少女はベッドのすぐそばに体育座りをしていた。

 じとっとした目で俺を見ている。


「痛かったんですけど」


 俺は一瞬少女が何を言っているのかわからなかったが、後頭部をさする姿から先ほどベッドから落とした時のことを言っているのだと気づいた。


「だけど俺は悪くない」

「山賊は腐ってるな」


 少女は嫌悪に顔をゆがめる。


「だから、俺は山賊じゃない」


 俺はそう言うと、少女の腕をつかむ。

 所詮、少女だ。男に力で勝てるわけがない。

 そう思ったのに……。俺は少女をピクリとも動かすことができない。

 さらに少女はグルグルと威嚇の声を喉から鳴らしながら、牙をむき出しにしていた。


「え?」


 俺は少女のかわいい見た目に完全に油断していたのだ。

 少女は今までに味わったこともない荒々しい力で俺を抑え込む。


「そんなに元気ならもういいですね」


 そう冷たく告げると、少女は俺を拷問椅子に座らせる。

 手に当てられたのは爪をはがす機械だ。


「待てよ! そんなことしても、俺は山賊じゃないから意味はない!」

「なら、山賊じゃないことを証明してください」


 そう少女は冷淡な声で告げる。

 俺は考える。これはまるで、安楽椅子探偵ならぬ拷問椅子探偵だ。

 でも、まだできることはある。


「山賊と何があったのか詳しく説明してくれ。そして俺が、君の大切な人の居場所を突き止める! それが俺にできる証明だ」


 少女はその言葉を聞くと、ふーんと笑う。


「いいですよ。お話聞いてあげます」


 少女は俺の前に小さく座る。短いスカートの隙間から、一瞬白い頼りない布が見えたのは気のせいだろうか。

 少女はふさふさの尻尾を不機嫌そうに左右に揺らし、スカートのすそを抑える。


「どこ見てんですか」

「不可抗力だ」


 俺はそう言いながら、こほんと咳ばらいをする。

 そしてその日の出来事の説明を求めた。


 少女は目を伏せながら、その日の話をし始める。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る