チーム結成

 病院の病室を病気でない人間にいつまでも使わせておくことはよろしくないということで、わたしの身は病室から都市の宿泊施設に移ることになった。


都市運営から支給された、量産品の女児向け下着と子供服に着替える…下着は白のキャミソールと白のパンツ、上着は白のブラウス、ボトムは赤のミニスカート、白いソックス、履くのはサイズをあわせる都合上、白の子供用サンダル。


ラプチャーさん曰く「わたくしが選ばせていただきました。時夢さんの超越的な人知を超えた美貌なら何着ても問題ないでしょうからまあ、適当に」


ちなみに服の代金も宿泊施設の宿代も都市に転移したばかりの新しい住人に支給される一時金から差っ引かれるそうな。


なんでも、『答えの力の覚醒者』はその有用性や大小は個人差が大きいものの、異能を持っているものであり、たとえ使える異能を持っていなくとも異なる多元宇宙間を移動しても存在を保てる特性はそれだけで得難いものであるため、犯罪に走るようなことをせず都市の秩序を守ってくれるなら、人口が増えることは都市にとってたいていは有益であるため、転移してきたばかりの新住人への一時金の支給や低金利での生活費の貸出などは人道とかを考えなくても充分に元の取れるローリスク・ハイリターンな投資とみなされるんだそうだ。


いずれにせよありがたい話である。




 さて、病室から宿泊施設に移る際になんというか、いろいろあった。


具体的に言えと?


そう、わたしを見た人すれ違う人、全てが皆、さまざまに顕著な反応を示すのだ。


ある人は目を見開き呆然と立ち尽くし、そのままわたしを一心不乱に凝視しつづけた。


わたしを見つめ、滂沱と涙を流す人もいる。


おそらく歓喜の声らしい雄叫びというか、歓声というか「うぼぉぉぉぉぉぉぉ!!!」と声を張り上げる人もいた。


他の人は、そのまま顔だけわたしの方に向けたまま平伏し、おそらくは崇拝と思われる祈りを捧げてきた。

地面に倒れ伏し痙攣しながら恍惚とした表情で、顔だけわたしの方を見つめたままの人もいた。


わたしを見た人の反応を列挙すると、いつまで経っても終わらないのでこの程度にしておこう。


「あのー、なんだかすれ違う人がみんなすごいアクションをするんですけどー」


「時夢さんの美と魅力を目の当たりにした人間の、ごく自然な反応でしょう。お気にめさらず」


「…、実際、全裸で倒れている時夢さんの周りには、その美しさのあまりに呆然とした住人たちの人だかりができていました。奇妙な人だかりができていると通報を受けた都市運営のスタッフも時夢さんをみて固まり、再起動して任務を遂行するため本人曰く、今までの人生で最大の意志力を振り絞ったそうです。病院のスタッフが時夢さんを診察する際も、パジャマを着せる際も何しろ時夢さんを見ただけで人は固まりますので、後の語りぐさになるくらいには大変だったみたいですね」


「かくいうわたくしも、今、時夢さんから目をそらして職務を遂行するのに精神力を振り絞っております。許されるなら時夢さんを見つめながらひざまずき、その美しさに全力で崇拝の祈りを捧げたい気持ちでいっぱいなのですよ」


いろいろキャラクターメイキングの時、盛りまくったからね…。


ここまでとは思わなかったが、明晰夢から覚めるまでの暇つぶし位の感覚で、自分自身のキャラクターメイキングとは考えてなかったので仕方ない。


とりあえず、交通事故だけは起こさずわたしは無事宿泊施設にたどり着くことができた。


チェックインの際も受付さんが固まったりいろいろあったが、わたしはここで配属が決まるまで過ごすこととあいなった。




 シャイタンパーの時間で2日が経過した。


といってもシャイタンパーの存在する大地は無限平面と考えられていて、太陽は空の一点から動かず常に昼なのである。


ちなみにこの都市には季節も天候の変化もない。


いつでも春の穏やかさだそうである。


昼しかなく季節もない、天候も常に晴れのこの街だが、シャイタンパーはわたしの住んでいた到達不能地球と同じ一日24時間を採用しておりシャイタンパー歴では1年365日である。


到達不能地球は超多元宇宙にある多元宇宙の中でも特別な世界とされるため、到達不能地球が参考とされたのだそうだ。


暇つぶしも兼ねて何度も読み返した、都市運営発行の冊子『初めてシャイタンパーを訪れた人のために』で読んだことである。


迂闊に外出したらまた、わたしの美しさのあまり、道行く人々を不用意に混乱に叩き込んでしまう。


配属先が決まるまでの待機時間の暇つぶしは必要なのだ。


今のわたしであれば、自分で自分の手を見つめてその人知を超えたとてつもない美しさに見惚れながら無限に時を過ごすことも容易いのだが、それはどうにもきっと傍から見たら馬鹿みたいだろう。


なお、わたしの宿泊する客室にはテレビ…液晶や有機ELではなく令和日本ではもはや骨董品のブラウン管…もある。


番組はあまり面白くもない。


お金を払えばルームサービスで新聞も取り寄せられるそうで、『シャイタンパーの声』なる新聞を隅から隅まで読む。


この都市を知る足しになった…、と思う。


閑話休題。


わたしはいよいよ配属のチームに紹介されることとなった。


例によってラプチャーさんに案内され、事務所兼寮に案内されるのであった。




 事務所兼寮は雑居ビルの中にあった。


事務所のある階の上がチームの居住空間になっているとのことだ。


通勤に面倒がなくてとても良い。


事務所の扉には『都市運営登録トラブルシューター:少女絢爛:事務所』と書かれたプレートが付いていた。


このチーム名で、なんとなくわたしがここに配属された理由がわかった気がする。


事前にメンバーの名前・写真・能力等を記した書類を渡されたし、きちんと目は通している。


わたしの写真と名前と申告した能力を記した書類もメンバーはすでに読んでいるはずだそうである。


だが、本人の口から自己紹介をしあうのは大切だ。


事務所の中では書類で見た3人のメンバーが待っていた。


「やあ、来たね。待っていたよ。既に私達のことは書類で読んでいると思うが改めて自己紹介と行こうか。私はジェラ・ルイーズ。ルイーズが姓だ。私達はチームになるのだし、ジェラと呼んでくれてもいいけど、仲間は私を博士と呼ぶ。ジェラでも博士でも好きな方で呼んでくれたまえ」


そう口を開いたのは、おそらくは歳は中学生程度に見える…、あまりにも美しい少女すぎて年齢の見当がつきづらいがまあ、無理に当てはめるならそれくらいだと思う。


髪は栗色でウェーブがかかったセミロング、瞳もブラウンだ。


日本の女生徒が着る制服のようなものに身を包んでいる。


それにしても美しい…。


『宇宙は無数にあり多元宇宙を構成し、その多元宇宙も無限にあり超多元宇宙を構成する』らしいが、彼女は宇宙一の美少女くらいの水準は軽く達成しているだろうと思わせる。


もしかしたら多元宇宙一かもしれない。


美の女神、いや、美の女神とか美の化身とか呼ばれる水準すら超えるんじゃないだろうか。


…、そしてそれは彼女だけではない。


他の2人も彼女と同水準のとてつもない超絶美少女。


そしてさらに加えて、自分で言うのも何だが、指先の爪一枚、髪の毛一本の美しさですらおもわず見惚れて人は至福の境地に導かれるわたしまでいる。


髪の毛一本というのは誇張ではない。


宿泊施設で待機しているとき、ちょっと思いついて、自分の髪の毛を一本指でつまんで試してみたのだ。


結果としてわたしは、髪の毛一本に、そのユークリッド幾何学を無視した未知の幾何学による線分による美しさと物理学で説明のつかないありえざるスペクトルの色彩と質感に深く感動し、意識は至福の三昧境へと達し、自分の髪の毛一本を凝視しながらちょっとの間固まっていた。


我ながらバカみたいな話である。


わたしは髪の毛一本ですら人知を超越した絶対的な、バカみたいな美しさを放っているのだ。


そんなわけで、この部屋は美少女がインフレして何かの限界を突破している不自然で異常な美少女インフレ空間だ。


この中に美少女を周囲に引き寄せる特性とか持っている人がいるんだろうか。


そんな特性は買わなかったので、それはわたしではないだろう。


まぁ、わたしは自分が女の子になった今も、好みの相手は美少女のままなので、結構なことだ。


「じゃあ、博士とお呼びしますねー」


「さて、私の特技は…世界に私の考えた一見もっともらしいサイエンス・フィクション的な嘘理論を押し付け、嘘の超科学理論にもとづく超科学ギミックを制作し動作させることだ。押し付ける嘘理論がもっともらしければもっともらしいほど、大きな現象や世界法則を無視した現象をたやすく起こせる。まあ嘘理論にもとづくメカはたいてい私しか整備も修理も使用もできない事が多いし量産して普及させるなんて不可能だ。嘘薬学で作った薬もたいてい私にしか効かない」


一応支給された書類で読んではいた。


博士は、その発明したギミックが自分にしか使えないという制限があるとはいえ、マンガ的な超天才発明家なのだ。


「それにしても、写真であらかじめ知っていたとはいえ、実物のキミを目の当たりにすると凄まじいな…。私達は1日時間をもらって、キミの写真をひたすら見つめ続けてその圧倒的な美貌の猛威に自分たちを慣らしたつもりだったんだが」


わたしを見て固まらなかった理由だろう。


固まった人に声をかけて我を取り戻させることをうながす手間が省けてありがたい。




 「さて、博士の次はワタクシでございますね」


博士の次にそう発言したのはメイド服姿の超長身な美少女だった。


年齢はよくわからないけれど18歳くらいだろう。


わたしは外見年齢7歳程の女の子の姿になったことで身長がかなり低くなっているのだが、それにしても彼女は驚くほど背が高い。


男性でも彼女に匹敵する身長の持ち主は、世界広しとはいえ、ほぼいないだろう。


それだけではない。


胸はたぶん片方だけで頭より大きい。


腰の高さが地球人とは異種族な驚きの高さで、ウエストの太さも驚きの細さ、股下から足元までの長さが身長の半分より長く、お尻はスカートの上からわかるすごい大きさだ。


頭身は14か15頭身くらいあるんじゃないだろうか。


彼女も博士と同じくらいの美しさだと思うが、博士とは異なりその魅力は性的魅力が占める割合が非常に多いと見た。


とはいえ多分、このレベルのぶっちぎった性的魅力だと男性のみならず女性であれ中性であれ等しく魅了するんじゃなかろうか。


髪は黒で瞳も黒だ。


…、わたしも外見年齢を18歳くらいにしていれば絶対的で圧倒的な性的魅力を放散できたんだろうか。


キャラクターメイクキングの際、7は美少女の年齢のマジックナンバーだと外見年齢を7歳に設定したが、外見年齢を7~18歳くらいまで変化させられるとか、そんな特性があれば探して買っておくべきだったんだろうか。


とはいえ今の自分の容姿に不満があるわけでもなし、それに今の美しさに圧倒的な性的魅力なんて加わったらどうなるかちょっとわからない。


たぶんこれでいいのだ。


「ワタクシの名はエミリーでございます。姓は、故郷では低い身分の出身のためございません。どうぞエミリーとお呼びください。メイドでございます。皆様からお給金と必要経費を出していただき、ここの寮母役を務めさせていただいてございます」


「それではわたしもエミリーさんとお呼びしますー。それではわたしもお給金はらいますので寮母役お願いしてもよろしいでしょうかー?」


わたしも自分ひとりの家事くらいはやっていたが、積極的に食器洗い機、ロボット掃除機、ヒーター乾燥のドラム型洗濯機といった最新家電をフル活用して労力をできるだけ減らしていた。


シャイタンパーで買えるかどうかわからない。


料理は…、得意料理はお金のない学生時代によく作ったもやしの牛脂炒め。塩コショウたっぷり。あと目玉焼き。納豆ご飯とか。


ほかにはスーパーの惣菜購入とか?


プロに任せられるなら任せたほうが良さそうな気がする。


それに、他の皆が彼女に寮母をお願いしているのに、わたしだけしなかったら今後の人間関係に支障をきたすだろう。


「もちろんでございます。ワタクシの特技は魔法でメイドの掃除洗濯料理ができることでございます。ほかにはワタクシの故郷世界の平均的な魔法使いたちより膨大な魔力を持ち、魔法の秘奥義とも言える大秘術『真なる魔力の言葉』を全て習得しております。自慢めいて聞こえるかも知れませんが、ワタクシの故郷世界ではこれに勝るものは究極大呪文たる『願い』の呪文くらいでございます。使用する力が大きいため連続して使えないものの、発動させればさまざまな事態に柔軟に対処できるワタクシの切り札でございます。あとは強運でございます。ただの偶然ではなく、ある程度確率を都合よく操作できる異能でございます」


なるほど書類で読んだとおり。


『真なる魔力の言葉』は彼女の世界の魔法体系でも最高に属するもので、数十種ある、一つ一つが術者の思うがままに現実を歪めることほどの力を秘めた、軽々しく使用してはならないとされる秘技である単語『真なる魔力の言葉』を組み合わせ、言葉の意味するさまざまな現象を引き起こすというものだそうだ。

常人を超えた魔力を蓄積できる彼女ですら『真なる魔力の言葉』を組み合わせて使える単語数はせいぜい2,3。


組み合わせた単語の数にもよるが、一度使用すると蓄えた魔力をほぼ使い果たすため回復するまでしばらく使えないこのチームの切り札、と書類に詳細が記されていた。


「すごいですー。あれ? でもそれだけすごいならもっと偉い魔法使いになれるのではないでしょうかー。それともエミリーさんの故郷はメイドさんがとても偉い世界なのですかー?」


「ワタクシも『答えの力の覚醒者』になり男女同権で身分制度もないシャイタンパーに転移してから知ったのですが、故郷は男尊女卑と家父長制と身分制が支配する国でございまして。女性の地位は非常に低いのでございます」


だったらどうして魔法の秘奥義とも言える大秘術を身につけることができたのだろうかと疑問に思ったが、初めてであったばかりでそのようなつっこんだことを尋ねるのも失礼かもしれない。


ついつい思ったことを口に出してしまったが、今の質問も失礼に思われたかも知れない。


別に面接をしているわけではないのだ。


ちょっと反省。




 「さて、次はボクかな?」


と次に口を開いたのは鮮やかな赤毛で瞳は金色、ショートヘア、タンクトップとホットパンツに身を包んだ、美しい褐色の肌の、生命力に溢れた印象を人に与える美少女だった。


美少女過ぎて彼女も年齢の見当がつけづらいが、日本で言えば高校生くらいではないだろうか。


彼女は圧倒的健康美とでも言うべき魅力を発散していた。


「ボクはルン・ムク。ルンが名前だよ。チームメイトになるんだから親しみを込めてルンと呼んでくれるとうれしいな」


「それではルンさんでー」


「ありがとう。ボクの特技は神仙道だよ。神仙道といってもわからない人のほうが多いから説明するけど、天・地・人の神秘的な力である気を練り己の心身を養う術で、素質のないものにはほとんど身につかないんだ。自分で言うのも何だけどボクは神仙と呼ばれる高みの域に達していて、老いも病も毒も完全に克服した完璧で丈夫な体とか、超人的な身体能力とか、天地の精気を食むことで飲食を不要となす技とか、気と呼ばれる神秘の力で意志力を強化して催眠魔法だの洗脳魔法だのに抵抗するとか、気の力で空を飛ぶとかいろいろ芸当を身につけてるよ。得意なのは身体能力の高さにまかせて敵を殴ることかな」


そう、書類にも書いてあったが彼女は超人の肉体を持っているのだそうだ。


ここまで美少女なのも神仙と呼ばれる高みに到達しているからなんだろうか。


このチームが戦闘するときの主戦力らしい。


「すごい素質をお持ちだったのですねー」


「まあ努力もしたけど素質もあったよ。ボクの故郷ではほとんどの人間が魔法の素質を持っていてね、皆魔法が使えるんだ。でもボクは魔法がまったく使えなかったんだ。魔法ありきの文明だからハンディキャップだね。だからなんとか人生を切り開くため、かわりのアドバンテージとなるかもしれない神仙道の修練に賭けたよ。素質がなかったら費やした時間が無駄になるだけだから、修練が実を結び始めて自分に素質が…、それも神仙の高みに到達できそうな素質があることがわかった時は嬉しかったよ」


「ふむふむー」




 「それではわたしの番ですねー。わたしは時夢・未来。時夢が姓ですー。時夢でも未来でもお好きな方でお呼びくださいー。えーっと、そうそう特技は見た目の良さですー。後、見た目の良さを損なわないための耐性をいろいろと備えていますー。チームにどんな貢献ができるかまだわかりませんが、がんばりますので、よろしくおねがいいたしますー」


日本人の感覚では会ったばかりで名前呼びはなかなか距離が近いのだが、多種多様な文化が混ざり合うこの都市ではどうだかわからない。


「キミの耐性は事前に見せてもらった書類で読んだ。インチキじみた能力をことごとく無効化できるのに、ただ普通に殴ればキミを無力化できるとはユニークだ」


「殴られたくはないですがー」


「まあ未来ちゃんはボクが守るよ」


ありがたい。


「ところでキミは副業はどうする? このチームは皆副業を持っている。私はシャイタンパーの大学にさまざまな仮説を論文にして発表するのが副業だ。異能のせいで自分で実験すると結果がどうしても歪むので仮説の証明は他の研究者に任せている。プログラマーもしている。エミリーは自己紹介で言ってたがここの寮母役。ルンは気の力で人をいろいろ癒せるので、まあ癒し手としてお金を稼いでいる。説明は受けていると思うがトラブルシューターの基本給は非常に安いのだ。依頼がなければ待機時間だからしかたがないが」


「うーん、わたしまだこの都市に不案内ですし、取り柄は見た目くらいだし、何をしたものかー」


「そうだな、この事務所で喫茶室兼バーとかどうかな? キミの美貌は超多元宇宙の至宝だ。それを見つめ恍惚となりながらお茶や酒、軽食を嗜むのだ。きっと需要があるだろう」


「未来ちゃんなら、顔写真を宣伝ポスターに載せておけばきっと大盛況だね。どちらかといえば、お客さんが来ない心配より来すぎる心配をしたほうがいいんじゃないかな? いつ依頼があるかわかんないし当日予約制にして営業時間も短くして、料金も高く設定して客単価をあげようよ。大丈夫、未来ちゃんの美貌ならそれでもお客さん側にお釣りが来る価値があるから」


「あら、それではワタクシは、魔法メイドとして、口に入って飲み込めるものに使って、なんでも美味しく感じられるようにする呪文がつかえますので、料金を払っていただければかけてさしあげますわ。喫茶室兼バーのメインは時夢様の美貌ですから、飲食物は適当でもお客様には納得していただけると思いますが」


ただじゃないんだ。


まあ、あくまでエミリーさんではなくわたしの仕事だし。


仲間になるとはいえ、こういったことはきちんとしておくのは当然だ。


…、ってなんだかわたしが喫茶室兼バーを開業するのが当然の流れになっているけど。


とはいえ、わたしに何ができるかを考えるに、唯一の取り柄の美貌を活かそうとして博士が考えてくれたこの案はなかなか魅力的だ。


拒否してやりたい他の副業も別にない。


わたしはこの流れに乗ることを決めた。


職業:トラブルシューター。


副業:喫茶室兼バーのマスター、バーデンダー。


として、ここシャイタンパーで生きるのだ!

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