和彫り師:青海蒼華さん

◆蒼華の夜明け ~1年目の春~


 朝日がカーテンの隙間から差し込み、俺の目を覚ます。時計は午前6時を指している。俺の名は青海蒼華(あおうみそうか)。23歳になったばかりの新米刺青彫師だ。


 起き上がると、鏡に映る自分の姿に少し戸惑う。短く刈り上げた黒髪に、まだあどけなさの残る顔。でも、この手は既に針を知る者の手だ。カイロ(*1)で荒れた指先を見つめながら、俺は深呼吸をする。


「よっしゃ、今日も針に魂込めて彫り上げるぜ!」


 声に出して自分を鼓舞すると、少し気合いが入る。


 朝食を済ませ、作業着に着替える。化粧は控えめに、ただ目元だけはしっかりとアイラインを引く。刺青を入れる時、自分の目の輝きを参考にすることがあるからだ。


 工房に向かう道すがら、桜並木の下を歩く。花びらが舞い落ちる様は、まるで人の肌に舞い降りる色彩のよう。


 工房に到着すると、師匠の針鳳(しんぽう)さんが既に準備を始めていた。


「おはようございやす、針鳳さん! 今日も張り切って針を走らせますぜ」


「おう、蒼華。今日は背中一面の龍の輪郭(*2)だ。気合い入れていけよ」


 俺は元気よく返事をしながら、内心では緊張していた。背中一面の大作は、まだ経験が少ない俺にとって大きな挑戦だ。


 作業台に向かい、慎重に道具を並べていく。マシン(*3)、ニードル(*4)、インク……一つ一つが、まるで俺に語りかけてくるよう。


「よっしゃ、お前らと一緒に今日も肌に物語を描くぜぇ」


 そう呟きながら、消毒を始める。


「蒼華、その手つきはなかなかだが、もう少しテンポを上げろよ。客を待たせちまうぜ」


 針鳳さんが隣で手本を見せてくれる。無駄のない動きで、テキパキと準備をしていく姿に見とれてしまう。


「へい! かしこまりやした!」


 俺は必死に針鳳さんの動きを真似る。男衆ばかりの工房の中で、女である俺。周りの視線を気にしながらも、ひたすら作業に没頭した。


 昼休憩。工房の裏庭で、同期の墨丸(すみまる)くんと弁当を広げる。


「蒼華姐さん、今日の龍の図案、上手くいってっか?」


「ああ、なんとかな。でも、まだまだ針鳳さんには遠く及ばねえぜ」


「そうすかい? 俺から見りゃ、蒼華姐さんの方が線の美しさがあるように見えるんすがね」


 墨丸くんの言葉に、少し照れくさくなる。でも、本当のところはまだ自信が持てない。女だからって特別扱いされたくはねえ。むしろ、それ以上の努力をして認められてえんだ。


 午後の作業は、いよいよ本番だ。客の背中に向かい合う。大きく深呼吸をして、マシンのスイッチを入れる。


 ブーンという音と共に、針が肌に触れる。最初の一針で、客の体が微かに震えるのを感じる。


「大丈夫すかい? 痛かったら言ってくだすってかまいませんから」


 優しく声をかけながら、慎重に線を引いていく。龍の鱗一枚一枚に、魂を込めるように。


 途中、手が震えそうになる。でも、ここで弱音を吐くわけにはいかねえ。歯を食いしばって、集中を保つ。


「蒼華! その輪郭、もっと力強く! 龍は生きているんだ、それを表現しろ!」


 針鳳さんの声が響く。俺は慌てて力の入れ具合を調整する。冷や汗が背中を伝う。


 夕方になり、今日の作業が終わる。客の背中には、まだ輪郭だけだが、力強い龍の姿が浮かび上がっていた。


「ありがとうございやした。次回は色を入れていきますんで、楽しみに待っててくだせえ」


 客を見送った後、針鳳さんが肩を叩いてくれる。


「悪くねえな、蒼華。初めての大作としちゃ上出来だ」


 その言葉に少し救われる思いがした。


 疲れた体を引きずるようにして帰宅の途につく。家に着くと、まずはお風呂で一日の疲れを流す。湯船につかりながら、ふと自分の体に目をやる。


 まだ刺青の入っていない真っ白な肌。いつか、この肌にも物語を彫り込みてえな。そう思いながら、今日彫った龍の姿を思い返す。


 あの龍は、まるで雲を突き抜けて天に昇るようだった。鱗は光を反射し、目は燃えるように輝いていた。尻尾は波のように揺れ、爪は稲妻のように鋭く……。


「ああ、もっともっと腕を磨いて、もっと美しい刺青を彫れるようになりてえな」


 そんな夢を描きながら、俺は目を閉じた。明日もまた、新しい挑戦が待っている。


 針と肌が奏でる物語は、まだ始まったばかり。俺の指先に宿る魂が、人々の肌に新たな命を吹き込んでいく。それが、刺青彫師・青海蒼華の歩む道。


 明日はどんな色彩が、どんな物語が、俺の針先から生まれるのだろう。そんな期待を胸に、俺はゆっくりと目を閉じた。


承知いたしました。より独自性のある展開を心がけて続きを書かせていただきます。



◆蒼華の彩り ~5年目の夏~


 夜も更けた頃、俺は目を覚ました。時計は午前2時を指している。今日は特別な仕事がある。27歳になった俺、青海蒼華は、もう一人前の刺青彫師として認められるようになっていた。


「よっしゃ、腕の冴えを見せつけてやるぜ」


 小声で呟きながら、身支度を整える。今日の仕事は、ヤクザの若頭への刺青だ。場所は指定の料亭。昼間は人目につくからな。


 鏡を覗くと、少し疲れた顔が映っている。でも、目はギラギラと輝いていた。長年の経験が、俺の外見にも内面にも刻まれている。


 化粧は薄めに、でも目元だけはしっかりと塗る。客の緊張をほぐすには、優しい目元が効くんだ。髪は後ろで一つに束ねる。


 静かに家を出る。まだ暗い街を歩きながら、今日の図案を頭の中で描いていく。若頭が望んだのは、般若と桜。怖さと美しさの共演だ。


 料亭に着くと、既に若頭とその子分たちが待っていた。


「お待たせしやした、若頭」


 俺は深々と頭を下げる。


「ああ、噂の女彫師か。腕のほどを見せてもらおうじゃねえか」


 若頭の声には、ほんの少し緊張が混じっている。男の中の男でも、初めてのでけぇ刺青は怖いもんだ。


 準備を始める。道具を並べ、消毒し、図案を肌に写す。その一つ一つの動作に、もう迷いはない。


「若頭、いよいよ針を入れますぜ。心の準備はいいですかい?」


 優しく声をかけながら、マシンのスイッチを入れる。


 ブーンという音と共に、針が肌に触れる。最初の一針で、若頭の体が微かに震えるのを感じる。


「大丈夫ですぜ。あっしが彫る般若は、ただ怖いだけじゃあねえ。桜と共に咲く、美しい鬼ですぜ」


 そう語りかけながら、俺は針を走らせていく。般若の牙、桜の花びら、一つ一つに魂を込めるように。


 夜が明けてくる頃、ようやく一区切りがついた。


「若頭、今日はここまでにしましょう。次は一週間後、同じ時間にお願いしやす」


 若頭は鏡で自分の背中を確認すると、目を見開いた。


「すげえ……こいつぁまるで生きてるみてえだ」


 その言葉に、内心でガッツポーズ。でも、表情は崩さない。


「恐れ入りやす。まだまだ道半ばですがね」


 帰り道、朝日が昇り始めていた。疲れた体に鞭打ちながら歩く。こんな不規則な生活、普通の女じゃあやってられねえよな。でも、俺にはこの生き方しかねえんだ。


 家に着くと、まずは朝食を作る。卵焼きを作りながら、ふと考える。


(結婚? 子育て? ……んなもん、今のあっしには縁がねえや)


 そう思いつつも、少し寂しさが込み上げる。でも、すぐに振り払う。


「あっしには針があるんだ。それでいいんだよ」


 朝食を終え、仕事机に向かう。次の図案のスケッチを始める。針を持つ手に、少し疲れを感じる。でも、この手が描く線の一つ一つが、誰かの人生を彩る。そう思うと、疲れなんて吹き飛んじまう。


 机の上には、様々な刺青のデザイン画が並んでいる。龍、鯉、桜、般若……。それぞれが、あっしの成長の証だ。


 5年前はただがむしゃらに針を動かしていただけ。でも今は、客の人生や想いまで汲み取って、針を走らせられる。


「もっともっと腕を磨いて、もっと深い物語を肌に彫り込めるようになりてえな」


 そんな夢を描きながら、俺はペンを走らせる。明日もまた、新しい挑戦が待っている。


 刺青彫師・青海蒼華の針が紡ぐ物語は、まだまだ続いていく。


 そんな思いを胸に、俺はゆっくりと目を閉じた。夢の中でも、美しい刺青の図案が浮かんでは消えていく……。


◆蒼華の極み ~10年目の秋~


 朱色に染まった銀杏並木を抜けると、俺の工房「針遊(しんゆう)」が姿を現した。看板には「刺青彫師 青海蒼華」の文字。32歳になった俺は、今や東京でも指折りの彫師として名を馳せていた。


「よっ、開店でごぜえやすよ!」


 威勢よく暖簾をくぐると、中では弟子の針子(はりこ)が準備を始めていた。


「おはようございます、師匠! 今日は大物の客が……」


「ああ、知ってるよ。あの歌舞伎役者さんだろ? 楽しみじゃねえか」


 心の中では少し緊張していたが、針子には動じた様子を見せない。10年の経験が、こういう場面での余裕を生んでくれたんだ。


 作業台に向かい、今日使う道具を点検していく。マシンの調子、ニードルの状態、インクの色味……。一つ一つをチェックしながら、頭の中では図案を描いていく。


 歌舞伎役者が望んだのは、背中一面の桜吹雪。その中に、隠れるように龍を配置する。華やかさの中に力強さを秘める、そんな粋な趣向だ。


「針子、お前にも見学させてやるから、しっかり目に焼き付けな」


「はい! 勉強させていただきます!」


 針子の目が輝いている。かつての自分を見ているようで、少し懐かしくなる。


 客が到着し、挨拶を交わす。歌舞伎役者らしい凛とした佇まいに、思わず背筋が伸びる。


「青海先生、噂は聞いておりました。今日は腕の見せどころですな」


「へえ、あっしなんぞにお褒めの言葉、恐れ入りやす。精一杯の技をお見せしますんで」


 緊張しながらも、余裕の笑みを浮かべる。これも10年で身につけた芸の一つさ。


 下絵を肌に写し、いよいよ本番。マシンのスイッチを入れる瞬間、全身に電流が走るのを感じた。


 ブーンという音と共に、針が肌に触れる。最初の一針から、俺の魂が込められていく。


「ふむ……これは、なかなかの心地よさですな」


 客の言葉に、内心でほっとする。痛みに耐えられない客もいるからな。


「ありがとうございやす。あっしの針は痛えだけじゃあねえんです。魂の交流ってやつですかねえ」


 そう言いながら、俺は針を走らせていく。桜の花びら一枚一枚に、風の動きを。龍の鱗には、水面の揺らぎを。


 時間が経つのも忘れ、没頭していく。ふと気づけば、外は夕暮れ。


「お客さん、今日はここまでにしましょう。次回は一週間後、いかがです?」


「ふむ、もう夕方ですか。時の経つのも忘れるほどでしたよ」


 客が鏡で背中を確認すると、目を細めた。


「素晴らしい……まるで本物の桜が舞っているようだ」


 その言葉に、胸が熱くなる。

 10年間、この瞬間のために頑張ってきたんだと想えた。


 客を見送った後、針子が興奮した様子で駆け寄ってきた。


「師匠! すごいです! あんな美しい桜、見たことありません!」


「へへっ、まあな。でも、お前にもいつかこれ以上のもんが彫れるようにならなきゃだめだぜ」


 針子の頭を撫でながら、ふと思う。自分にも弟子ができる年になったんだな、って。


 片付けを終え、工房を出る。秋の夜風が頬を撫でる。


「さてと、一杯やるかな」


 行きつけの居酒屋に向かう。店に入ると、常連たちが声をかけてくる。


「おう、蒼華姐さん! 今日も仕事か?」


「ああ、でかい仕事を終えたとこさ。今日は奮発していいもんでも頼むかな」


 カウンターに座り、酒を注文する。ふと隣を見ると、若い女性が座っていた。その腕には、まだ新しそうな刺青が。


「へえ、その刺青、なかなかいい腕前じゃねえか」


「あ、ありがとうございます。実は、あたしも彫師になりたくて……」


 その言葉に、思わず笑みがこぼれる。


「そうかい。なら、明日うちに来なよ。見学させてやるよ」


 女性の目が輝く。その姿に、かつての自分を重ねる。


 酒を飲みながら、ふと考える。結婚も子育ても経験しなかった。でも、針を通して多くの人生に触れ、そして今は弟子も育てている。


「これはこれで、幸せな人生なんじゃねえのかな」


 そうつぶやきながら、もう一杯を注ぐ。明日もまた、新しい物語が始まる。


 刺青彫師・青海蒼華の針は、これからも多くの人の人生に彩りを添えていく。そう確信しながら、俺は静かに杯を傾けたのだった。


(了)


注釈:

(*1) カイロ:刺青を入れる際に使用する道具の一つ。針を動かすための器具。

(*2) 輪郭:刺青の外側の線のこと。全体の形を決める重要な部分。

(*3) マシン:電動の刺青器具。針を高速で動かし、インクを皮膚に注入する。

(*4) ニードル:刺青を入れる際に使用する針のこと。様々な太さや形状がある。



◆小さな薔薇の決意


 このドキュメンタリー小説を書いた時、蒼華さんはちょうどキャリア20年目ですでに円熟の領域に入ってらっしゃいました。


 実は蒼華さんは私がこの小説を書くにあたってひとつだけ条件を出されました。


 それは。


「小さいもので良いから実際におまえの肌に俺の刺青を彫らせること(※蒼華さんは私のことを常に「おまえ」と呼んでらっしゃいました)」


 でした。


 ピアスの穴ひとつあけるのにも大騒ぎする私には、それはとても無理難題に想えました。

 しかし私は、蒼華さんの漆黒の奥深い瞳を見ていると、吸い込まれるようにすでに「はい」と応えてしまっていたのでした。


 そして今、私は蒼華さんの工房「針遊」の奥にある個室で、ベッドに横たわっています。心臓の鼓動が耳元で轟いているのが聞こえます。手のひらは汗ばみ、喉はカラカラに乾いています。


「おい、そんなに緊張すんじゃねえよ。リラックスしな」


 蒼華さんの声が、不思議と私の緊張を少し和らげてくれました。


「じゃあ、始めるぜ。左手首の内側に、直径2センチくらいの薔薇を彫る。いいな?」


 私はただ無言で頷くことしかできません。蒼華さんは優しく微笑むと、私の左手首を取り、アルコール消毒を始めました。その手つきは柔らかく、でも確かな力強さがあります。


「まず、下絵を描くぜ」


 蒼華さんは細いマーカーで、私の手首に薔薇の輪郭を描き始めました。その線の一本一本が、まるで生きているかのように、しなやかに、そして力強く伸びていきます。


「どうだ? 気に入ったか?」


 鏡を差し出される私は、息を呑みました。たった数本の線だというのに、それはすでに薔薇そのものでした。花びらのカーブ、葉の質感まで感じられるのです。


「は、はい。素晴らしいです」


 私の言葉に、蒼華さんは満足げに頷きました。


「よし、じゃあ本番だ」


 蒼華さんがマシンを手に取ります。

 そのブーンという音に、私の体が微かに震えました。


「最初はちょっと痛えかもしれねえ。でも、すぐに慣れるさ。我慢できねえようなら言ってくれ」


 そう言うと、蒼華さんは私の手首に針を近づけました。

 最初の一針が肌に触れた瞬間、私は思わず息を飲みました。

 チクリとした痛みと共に、なんとも言えない感覚が走ります。


「大丈夫か?」


「は、はい。思ったより……大丈夫です」


 意外にも、想像していたほどの激痛ではありませんでした。むしろ、不思議な心地よささえ感じます。


 蒼華さんは黙々と作業を続けます。針がリズミカルに動き、インクが少しずつ私の肌に染み込んでいきます。時折、蒼華さんは優しく肌を拭い、作業の進み具合を確認します。


「薔薇の花びらは、ピンクのグラデーションで仕上げるぜ。茎と葉は深い緑でな」


 蒼華さんの説明を聞きながら、私は徐々にその過程に魅了されていきました。痛みはありますが、それ以上に、自分の肌に芸術が生まれていく様子に心を奪われます。


 時間が経つにつれ、薔薇の形が鮮明になっていきます。蒼華さんの手さばきは、まるで魔法のようです。細かな陰影、花びらの質感、葉脈の繊細さまでもが、見る見るうちに現れていきます。


「ちょっと休憩しようか。水でも飲むか?」


 気がつけば、1時間以上が経過していました。

 蒼華さんが差し出す水を一気に飲み干します。


「あと30分くらいで終わりだ。最後の仕上げが肝心なんでな」


 休憩後、蒼華さんは再び作業を開始しました。今度は更に細かい作業です。花びらの輪郭を整え、葉の質感を出し、茎のトゲまでも繊細に表現していきます。


 針が肌に触れる感覚に、私はもう恐れを感じていません。むしろ、その一針一針に、蒼華さんの魂が込められているのを感じるのです。


「よし、できた」


 蒼華さんの声に、我に返りました。気がつけば、2時間近くが経過していたのです。


「見てみろ」


 鏡を覗き込むと、そこには息をのむほど美しい薔薇が咲いていました。まるで生きているかのような立体感、繊細な色彩、そして何よりも、そこには言葉では表現できない魂のようなものが宿っています。


「これが……私の肌に?」


 信じられない気持ちで、私は何度も何度も薔薇を見つめました。


「ああ、おまえの一部になったんだ。この薔薇は、おまえの人生と共に生き、そして共に朽ちていく。それが刺青の美しさであり、儚さでもあるんだ」


 蒼華さんの言葉に、私は深く感動しました。

 痛みも恐れも忘れ、ただただ感謝の気持ちでいっぱいになります。


「蒼華さん、ありがとうございます。本当に素晴らしい体験でした」


 蒼華さんは照れくさそうに笑うと、最後の手当てを始めました。

 消毒し、軟膏を塗り、包帯を巻きます。


「大事にしろよ。おまえの一生の宝物になるさ。間違いねぇ」


 私は頷きながら、自分の人生に新たな頁が加わったことを実感しました。そして、この小さな薔薇と共に、蒼華さんの魂の一部も、永遠に私と共にあるのだと。


 この体験は、単なる取材を超えた、私自身の人生の転換点となりました。


 そして、この小さな薔薇は、私がこの世界に、そして蒼華さんという稀代の芸術家に出会えた証となったのです。


 私はますますまだ見ぬ様々な職人さんたちとの出逢いが楽しみになりました。


(了)

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