下着縫製職人:水野絹子さん

◆初心者の一針一針 ―1年目の絹子―


 目覚ましの音で目を覚ました私は、まだ薄暗い部屋の中でしばらくぼんやりとしていた。時計は午前5時30分を指している。私、水野絹子、22歳。下着縫製職人として働き始めてからもう半年が過ぎようとしていた。


 ベッドから這い出すように起き上がり、カーテンを開ける。まだ夜明け前の空が、ほんのりと明るくなり始めていた。深呼吸をして、今日も一日がんばろうと自分に言い聞かせる。


 洗面所に向かい、顔を洗う。鏡に映る自分の顔を見つめながら、まだ眠そうな目をしっかりと開く。化粧道具を取り出し、丁寧にメイクを施していく。職場では地味な服装が求められるが、だからこそ、メイクだけは手を抜かないようにしている。


「よし、これでOK」


 自分に満足したように頷き、キッチンへ向かう。朝食は簡単に済ませることにした。トーストとコーヒー、それにヨーグルト。急いで食べながら、今日の作業のことを考える。


「今日は新しいブラジャーのサンプル作りだったわね……」


 緊張感が走る。まだまだ技術が未熟な私にとって、新しいデザインへの挑戦は大きなプレッシャーだ。


 6時45分、家を出る。電車に乗り込むと、周りはサラリーマンや学生で溢れている。私は端っこに立ち、スマートフォンで縫製の技術動画を見ながら頭の中で復習する。


 工房に到着したのは7時30分。先輩の椿さんがすでに作業台の前に座っていた。


「おはよう、絹子ちゃん。今日も早いわね」


「おはようございます、椿さん。はい、新しいサンプルの準備をしたくて」


 私は少し緊張した面持ちで返事をする。椿さんは優しく微笑んだ。


「そう、張り切ってるのね。でも焦らないで。一針一針、丁寧にね」


 椿さんの言葉に少し安心する。作業着に着替え、自分の持ち場に向かう。


 作業台の上には、昨日裁断しておいた生地(*1)が並んでいる。今日作るのは、新作のブラジャー。レースと薄手の布地を組み合わせた繊細なデザインだ。


 まずはカップ部分から。ワイヤー(*2)を丁寧に縫い込んでいく。針を運ぶ手が少し震える。


「深呼吸、深呼吸……」


 自分に言い聞かせるように呟く。隣で作業している先輩の麻由子さんが、チラリと私を見た。


「絹子ちゃん、大丈夫?」


「は、はい! ちょっと緊張してて……」


「そう。でも、あなたならできるわ。私が見てるから」


 麻由子さんの言葉に少し勇気づけられる。もう一度深呼吸をして、作業に集中する。


 午前中はあっという間に過ぎた。ランチタイムになり、みんなで休憩室に集まる。先輩たちは楽しそうにおしゃべりしているが、私はまだ緊張が解けない。


「絹子ちゃん、お弁当何?」


 同期の葵ちゃんが声をかけてくれた。


「あ、コンビニのおにぎりと卵焼き……。昨日残業で作れなくて」


「そっか。私も最初の頃はそうだったな。でも、自分で作ったお弁当の方が断然おいしいよ! 明日からは頑張って作ってみたら?」


 葵ちゃんの明るい声に、少し元気をもらえた気がする。


 午後の作業に戻る。カップ部分が完成し、今度はストラップの取り付けに入る。ミシンを操作する手に少し自信が出てきた。


「絹子!」


 突然、工房長の声が響く。私は思わず背筋を伸ばした。


「は、はい!」


「そのサンプル、できたらすぐに持ってきなさい。確認したいから」


「わかりました!」


 プレッシャーが一気に高まる。急いで仕上げようとするが、それでは失敗してしまう。ゆっくり、丁寧に……。


 夕方5時、ようやくサンプルが完成した。震える手でそれを持ち、工房長の元へ向かう。


「お待たせしました……」


 工房長は無言でサンプルを受け取り、細かくチェックしていく。私は固唾を呑んで見守る。


「……まあ、初めてにしては悪くないな。レースの縫い付け方にはまだ粗さがあるが、全体的な形は良い。明日からはもっと細部にこだわって作業するように」


「は、はい! ありがとうございます!」


 安堵の気持ちと、もっと上手くなりたいという思いが混ざり合う。


 その日の作業を終え、片付けを始めたのは夜8時過ぎだった。残業は当たり前。でも、今日は特別な気分だ。


 家に帰り着いたのは夜10時。疲れた体を引きずるようにして玄関を開ける。


「ただいま……」


 返事がないのは当たり前だ。一人暮らしの部屋に、今日一日の達成感と疲労感が満ちる。


 シャワーを浴びて、やっと一日の緊張から解放される。ベッドに横たわりながら、スマートフォンで明日の天気を確認する。


「明日も、がんばろう……」


 そう呟いて、目を閉じた。明日はもっと上手くなれるはず。そんな期待を胸に、私は静かに眠りについた。


◆熟練への道のり ―5年目の絹子―


 目覚まし時計が鳴る前に、私は目を覚ました。朝日がカーテンの隙間から差し込み、部屋を柔らかく照らしている。時計は午前5時15分を指していた。


「おはよう、新しい朝」


 私、水野絹子、27歳。下着縫製職人として5年目を迎え、今では工房の中堅として認められるようになっていた。


 ベッドから起き上がり、窓を開ける。清々しい朝の空気が肌に触れ、身が引き締まる思いがした。深呼吸をして、今日も一日頑張ろうと心に誓う。


 洗面所に向かい、丁寧にスキンケアを施す。以前よりも肌の手入れに気を遣うようになった。メイクも、5年前よりも洗練されたものになっている。職場では派手な化粧は控えめにしているが、それでも自分らしさは忘れないように心がけている。


「よし、完璧」


 鏡に映る自分に満足げに頷き、キッチンへ向かう。今日の朝食は、自家製のグラノーラとヨーグルト、それに淹れたてのコーヒー。栄養バランスを考えた食事を心がけるようになったのは、2年前に倒れかけてからだ。


「今日は新作ランジェリーの試作か……楽しみだわ」


 食事をしながら、今日の作業内容を頭の中で整理する。緊張はあるが、それ以上にわくわくする気持ちが大きい。


 6時30分、家を出る。電車の中では、ファッション誌を開き、最新のランジェリートレンドをチェックする。世界の潮流を把握することも、今では仕事の一部だ。


 工房に到着したのは7時15分。今では私が一番乗りすることも多い。


「おはよう、絹子」


 後から来た工房長の紫織さんが声をかけてきた。


「おはようございます、紫織さん。今日の試作、楽しみです」


「ええ、あなたのアイデアを楽しみにしているわ」


 紫織さんの言葉に、少し照れくさくなる。5年前は怖かった工房長が、今では良き理解者になっていた。


 作業着に着替え、自分の持ち場に向かう。作業台の上には、昨日裁断しておいた特殊な伸縮性生地(*3)が並んでいる。今日作るのは、新しい概念のスポーツブラ。通気性と、サポート性を両立させた画期的なデザインだ。


 まずは、立体裁断(*4)から始める。生地を立体的に組み合わせることで、より自然な形状を作り出す。ミシンを操る手に迷いはない。


「絹子さん、その縫い方、教えてもらってもいい?」


 新人の花さんが声をかけてきた。


「もちろん。こうやって、生地の特性を生かしながら縫っていくの。ここがポイントよ」


 教えながら、自分も学んでいた頃を思い出す。技術を伝えることの喜びを、最近よく感じるようになった。


 午前中はあっという間に過ぎ、ランチタイムに。今日は同僚の麻由子さんと一緒に、近くのカフェでランチすることにした。


「絹子、最近彼氏できた?」


 突然の質問に、私は少し困惑する。


「いえ、まだよ。仕事が忙しくて……」


「そう? でも、仕事だけじゃダメよ。プライベートも大切にしないと」


 麻由子さんの言葉に、少し考え込んでしまう。確かに、最近は仕事一筋だった。


 午後の作業に戻り、スポーツブラの仕上げに入る。縫い目を最小限に抑えるため、熱接着(*5)を多用する。新しい技術だが、私はすでに使いこなしていた。


「絹子!」


 工房長の声がする。しかし、今はもう怖くない。


「はい、紫織さん」


「そのサンプル、できたら評価会議に持ってきて。みんなで検討したいから」


「わかりました!」


 評価会議。5年前の私には想像もできなかった場だ。今では私の意見も尊重されるようになった。


 夕方6時、サンプルを持って会議室へ向かう。先輩や後輩、そして他部署の人たちが集まっている。


「では、絹子さんから説明をお願いします」


 紫織さんの言葉に、深呼吸をして説明を始める。


「はい。このスポーツブラは、新素材と立体裁断を組み合わせることで、通気性とサポート性を両立させました。特に、肩紐の部分に注目してください……」


 質問や意見が飛び交う。私は自信を持って答える。時には反論も。しかし、それも製品をより良くするため。会議は白熱し、終わったのは夜9時を回っていた。


「お疲れ様、絹子。良いプレゼンだったわ」


 紫織さんの言葉に、充実感が込み上げる。


 家に帰り着いたのは夜10時半。疲れているはずなのに、体が熱い。


「ただいま」


 返事はないけれど、部屋の中に私の成長の証が満ちている。壁には、自分がデザインした下着の写真が飾ってある。


 シャワーを浴びながら、麻由子さんの言葉を思い出す。確かに、プライベートはおろそかにしてきた。でも、今の私には仕事が生きがい。それでいいのだろうか?


 ベッドに横たわり、天井を見上げる。明日からの連休、久しぶりに自分の時間を作ろう。そう決意して、私は静かに目を閉じた。



◆匠の境地 ―10年目の絹子―


 目覚めたのは、朝日が部屋に差し込む少し前だった。時計は午前4時45分を指している。体内時計が、もう自然と目覚めの時を知らせるようになっていた。


 私、水野絹子、32歳。下着縫製職人として10年目を迎え、今では工房の中心的存在として、若手の指導や新製品の開発を任されるようになっていた。


「おはよう、私」


 鏡に映る自分に微笑みかける。10年の月日は、私の外見だけでなく、内面にも大きな変化をもたらしていた。自信に満ちた眼差しと、柔らかな表情。そこには、技術と経験を重ねてきた職人の風格が漂っていた。


 丁寧にスキンケアを施し、メイクをする。年齢を重ねるごとに、自分らしさを表現することの大切さを実感するようになった。派手すぎない、でも個性的な化粧。それは、私の「匠」としての自信の表れでもあった。


 キッチンに立ち、朝食の準備を始める。今日の朝食は、自家製の全粒粉パンとハーブティー、それにフルーツサラダ。体調管理の大切さを身をもって知った私は、食事にも気を遣うようになっていた。


「今日は、若手デザイナーとのコラボレーション企画か……楽しみだわ」


 食事をしながら、今日のスケジュールを頭の中で整理する。若いデザイナーたちの斬新なアイデアと、自分の経験を融合させる。そんな新しい挑戦に、胸が高鳴る。


 6時15分、家を出る。電車の中では、タブレットで海外のランジェリーブランドの最新コレクションをチェックする。グローバルな視点を持つことが、今の私の強みの一つだ。


 工房に到着したのは7時ちょうど。今では私が出勤時間を決める立場になっていた。


「おはようございます、絹子さん!」


 後輩たちが明るく挨拶してくる。私は優しく微笑み返す。


「おはよう。今日も一日、頑張りましょうね」


 作業着に着替え、ミーティングルームへ向かう。今日は若手デザイナーとのコラボレーション企画の初日だ。


「皆さん、おはようございます。では、新企画についてのブレインストーミングを始めましょう」


 私の言葉で会議が始まる。若手デザイナーたちが次々とアイデアを出す。斬新な発想に、私も刺激を受ける。


「なるほど、面白いわね。でも、着け心地はどうかしら? 私たちの役割は、デザインと機能性の融合よ」


 経験に基づいたアドバイスをしながら、新しいアイデアを育てていく。この瞬間が、今の私は一番楽しい。


 午前中はアイデア出しと議論で過ぎていった。ランチタイムには、若手デザイナーの美咲ちゃんを誘って近くのレストランへ。


「絹子さん、素晴らしいアイデアをありがとうございます。私、まだまだ勉強不足だと感じました」


「そんなことないわよ。美咲ちゃんのアイデアこそ新鮮で刺激的だったわ。私たちベテランは、時に固定観念に縛られがち。若い感性が必要なの」


 美咲ちゃんの目が輝く。後輩の成長を見守ることも、今では私の大切な仕事の一つだ。


 午後からは、朝のミーティングで決まったデザインの試作に入る。高機能素材(*6)を使った新しいボディスーツの製作だ。


「絹子さん、この縫い方でいいでしょうか?」


 後輩の葵ちゃんが声をかけてくる。


「うーん、その縫い方だと、着た時に違和感が出るかもしれないわね。こうしてみたら? 体の曲線に沿って、自然に縫い上げていくの」


 実際に手を動かして教えながら、私は自分の成長を実感する。かつては教わる側だった私が、今では教える側に。


 夕方6時、試作品が完成した。若手デザイナーたちと一緒に、出来上がったボディスーツを眺める。


「すごい……絹子さんの技術で、私たちのデザインがこんなに素晴らしいものになるなんて」


 美咲ちゃんの言葉に、私は満足げに頷く。


「これは私たち全員の力が合わさった結果よ。さあ、明日の発表会の準備をしましょう」


 夜8時、ようやく仕事を終えて帰路につく。疲れているはずなのに、体の中にはまだ熱いものが渦巻いている。


 家に帰り着いたのは夜9時半。玄関を開けると、懐かしい声が聞こえてきた。


「おかえり、絹子」


 夫の声だ。3年前に結婚した相手は、同じ業界で働くデザイナーの健太。お互いの仕事を理解し、尊重し合える関係に、私は幸せを感じていた。


「ただいま、健太。今日はずいぶん早いのね」


「ああ、君の大事な発表会の前日だって聞いたからさ。少しでもサポートしたくて」


 健太の言葉に、心が温かくなる。仕事一筋だった私に、新しい喜びをくれた人。


 シャワーを浴びた後、リビングでお茶を飲みながら、今日あったことを健太に話す。


「へえ、若手とのコラボか。面白そうだね」


「ええ、とても刺激的だったわ。私も、まだまだ成長できるって感じたの」


 話をしながら、ふと窓の外を見る。月明かりに照らされた街並みが、静かに輝いている。


「ねえ、健太」


「うん?」


「私、これからもっともっと極めていきたいの。この仕事を。でも同時に、人としても、女性としても成長していきたい」


 健太は優しく微笑んで、私の手を握った。


「僕も一緒に成長していくよ。絹子の横で」


 その言葉に、心が満たされていく。10年の歳月が育んだ技術と、人としての深み。そして、新たな目標。


「明日も、がんばろう」


 そう呟いて、私は目を閉じた。明日はきっと、また新しい私に出会える。そんな期待を胸に、静かに眠りについた。


(了)


注釈:

(*1) 生地:布地のこと。下着製作では、伸縮性や肌触りなどを考慮して様々な素材が使用される。

(*2) ワイヤー:ブラジャーのカップ下部に入れる細い金属製の支え。バストのサポートや形状維持に使用される。

(*3) 伸縮性生地:伸び縮みする特性を持つ布地。スポーツウェアなどに多く使用される。

(*4) 立体裁断:平面の布地を立体的に裁断し、人体の曲線に沿った形状を作り出す技法。

(*5) 熱接着:熱と圧力を加えて布地を接合する方法。縫い目を減らし、肌触りを向上させる。

(*6) 高機能素材:特殊な加工や技術によって、通気性や吸水性などの機能が強化された素材。



◆工房長の笠井紫織さんから


 私は工房長の紫織と申します。絹子が入社してから10年、彼女の成長を見守ってきました。その10年間の軌跡を、私の目線から詳しくお話しさせていただきます。


 絹子が初めて工房に足を踏み入れた日のことを、今でもはっきりと覚えています。緊張で硬直した表情、でも目には強い決意の光が宿っていました。「この子は伸びる」そう直感しましたね。


 最初の1年は、誰もが通る試練の日々でした。針を持つ手が震え、ミシンを操作するたびに失敗を重ねる。でも、絹子は決して諦めませんでした。夜遅くまで残って練習を重ね、先輩たちに質問を繰り返す。その姿勢に、私は密かに感心していました。


 2年目に入ると、少しずつですが確実に成長が見えてきました。基本的な縫製技術が身につき、簡単なデザインなら一人で仕上げられるようになりました。ただ、まだ自信がなく、完成したサンプルを持ってくるときはいつも不安そうな顔。でも、その表情が逆に愛おしく感じられたものです。


 3年目、転機が訪れました。新人教育の補助として、絹子を指名したのです。最初は戸惑っていましたが、教えることで自分の知識や技術を再確認し、さらに磨きがかかりました。後輩たちにも慕われ、工房の雰囲気が明るくなったのを覚えています。


 4年目、5年目と経験を積むにつれ、絹子の中に職人としての芯が育っていきました。難しいデザインにも果敢に挑戦し、時には失敗もありましたが、そこから学ぶ姿勢は変わりませんでした。彼女の作るサンプルは、次第に他の職人たちの目標になっていったのです。


 6年目、大きな転換点がありました。海外の展示会に絹子を派遣したのです。帰国後の彼女は、目の輝きが変わっていました。世界の最先端に触れ、自分の可能性を再認識したようでした。その後、彼女から次々と斬新なアイデアが生まれ始めたのは、きっとこの経験が大きかったのでしょう。


 7年目、8年目は、絹子が真の意味での職人として成長した時期だと思います。技術的な面では他の追随を許さないレベルに達し、さらに若手の育成にも力を注ぐようになりました。彼女の周りには常に後輩たちが集まり、和やかな雰囲気の中で技術を伝授している姿が印象的でした。


 9年目、絹子は大きな決断をしました。結婚です。仕事一筋だった彼女が、新しい人生のステージに踏み出す。正直、少し不安もありました。でも、それは杞憂でしたね。結婚後の絹子は、さらに人間的な深みを増したように感じました。仕事とプライベートのバランスを上手く取り、むしろ生き生きとしていました。


 そして10年目。今や絹子は、単なる職人の域を超えています。彼女は工房の象徴であり、若手たちの憧れの存在。新しいプロジェクトの中心となり、デザイナーたちとのコラボレーションも積極的に行っています。彼女の作り出す下着は、まさに芸術品。着ける人の体と心を美しく包み込む、そんな魔法のような力を持っています。


 10年前、あの緊張気味だった新入社員が、今やこんなにも頼もしい存在になるとは。時の流れの不思議さを感じずにはいられません。絹子の成長は、私たち工房全体の誇りでもあります。


 彼女には、まだまだ伸びしろがあると確信しています。これからも彼女の挑戦を、温かく見守っていきたいと思います。そして、いつの日か工房を任せられる後継者として、大きな期待を寄せているのです。


 絹子、あなたの10年間の歩みを見てきて、本当に誇らしく思います。これからも自分の信じる道を歩み続けてください。私たちは、いつもあなたの味方です。


 そう、絹子への思いを込めて、私は静かに微笑みました。工房の窓から差し込む夕日が、明日への希望を優しく照らしているようでした。



◆お客様からの声


 水野絹子さんの作品に関する、お客様からの声をいくつかご紹介いたします。これらは、当工房に寄せられた感想や体験談の一部です。


1. 佐藤美香様(32歳・会社員)からのお手紙


「絹子さんのデザインしたブラジャーを初めて着用した時の感動は忘れられません。今まで何十種類ものブラジャーを試してきましたが、こんなにぴったりフィットするものは初めてです。まるで第二の皮膚のよう。着けていることを忘れてしまうほど快適なんです。


 特に驚いたのは、長時間着用しても肩紐が食い込まないこと。デスクワークが多い私にとって、これは本当に救いです。デザインも洗練されていて、つい鏡の前で見とれてしまいます。自信が湧いてくるんです。


 絹子さんの作品は単なる下着ではありません。女性の味方、そう呼びたくなります。これからも素敵な作品を作り続けてください。心から応援しています。」


2. 山田恵子様(45歳・専業主婦)からのメール


「出産後、自分の体型の変化に悩んでいました。どんな下着を着ても窮屈で、鏡を見るのが怖くなるほどでした。そんな時、友人に勧められて絹子さんのボディスーツを試してみたんです。


 驚きました。体型をきれいに整えてくれるのに、苦しくない。呼吸を邪魔しないのに、しっかりサポートしてくれる。着た瞬間、目頭が熱くなりました。久しぶりに自分の体を好きになれた気がしたんです。


 絹子さんの作品は、単に体型を綺麗に見せるだけでなく、着る人の心も癒してくれる。そんな魔法のような力があるんだと思います。今では毎日、自信を持って過ごせています。本当にありがとうございます。」


3. 高橋直子様(28歳・フリーランスデザイナー)からのSNS投稿


「#絹子ランジェリー 最高!!! 仕事中もおしゃれを楽しみたい派の私にピッタリ♪ 今日は新作のレースブラレットを着けてお仕事。気分が上がる~!


 さすが絹子さん、デザインが秀逸。でも可愛いだけじゃないんです。肌触りが最高に良くて、長時間パソコン作業しても快適。しかも通気性バッチリで、蒸れ知らず。


 実は昨日、重要なプレゼンがあったんですが、このブラレットのおかげで自信満々で臨めました。見えない部分だけど、自分を支えてくれる強い味方。これからも絹子さんの作品、愛用します!」


4. 木村良子様(60歳・元教師)からのお手紙


「還暦を迎え、自分の体に自信が持てなくなっていました。若い頃のように美しい下着を身につける喜びも忘れかけていたのです。そんな時、娘が絹子さんのナイトガウンをプレゼントしてくれました。


 初めて着た時、思わず涙が出ました。柔らかな肌触り、体を優しく包み込む感覚。鏡に映る自分を見て、「まだまだ女性として輝ける」そう感じたのです。


 絹子さんの作品は、年齢を重ねた私たちにも、女性としての自信と喜びを与えてくれます。これからの人生を、もっと自分らしく生きていこうと思えるようになりました。心からお礼申し上げます。」


5. 中村健太様(35歳・会社員)からのメール


「妻の誕生日プレゼントに、絹子さんデザインのランジェリーセットを贈りました。正直、男性の私には選ぶのが難しかったのですが、店員さんが丁寧にアドバイスしてくれて助かりました。


 妻の反応は予想以上でした。袋から取り出した瞬間から目を輝かせ、試着後はずっと鏡の前で見とれていました。「こんなに自分が綺麗に見えるなんて」と何度も言っていて、本当に嬉しそうでした。


 絹子さんの作品は、着る人だけでなく、贈る側の気持ちも幸せにしてくれるんですね。妻が自信に満ちて輝いている姿を見ることができて、本当に良かったです。これからも素敵な作品を作り続けてください。」


 これらの声は、絹子さんの作品が単なる衣類以上の価値を持っていることを示しています。着る人の体だけでなく、心まで包み込み、自信と喜びを与える。そんな絹子さんの魔法のような技術と感性が、多くの方々の人生を豊かにしているのだと感じます。これからも、より多くの方々に幸せをお届けできることを願っています。

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