第6話
今でも、ボクはあのジイさんのことをよく覚えている。
ジイさんは、ここに書いたように・・
最初、病室の入り口から首を突っ込んで、室内を見まわしていた。・・
そして、病室内に入ってきて、入り口のところに立って、ボクを見つめた。・・
次に、窓際に行って、窓の外の夜景を眺めた。・・
それから、ベッドの下にかがみこんで、何かを探し出したのだ。・・
そして、ボクの言葉で、枕元に立って、ボクをじっと見降ろし始めた。・・
恐怖を感じたボクが、布団を眼の下までかぶると・・
布団に手をやって、めくろうとしたのだ。・・
そして、ボクがテレビ番組を思い出して・・
「出て行ってくれ」と心の中で念ずると・・
ようやく、病室から出て行った。・・
作り話のようだが、全て本当の出来事だ。
でも・・
あのジイさんは、認知症とか、あるいは寝ぼけた患者さんが、うっかり病室を間違えただけなのかもしれないよ。
だけど・・
もしも、今夜、あなたが寝ていて・・
ふと夜中に目覚めたときに・・
上を見ると・・
枕元から、知らないジイさんか、バアさんが・・
あなたの顔をじっと覗き込んでいるかもしれない。・・
そんなときは、ボクの話をぜひ思い出して欲しいんだ。・・
了
真夜中のジイさん 永嶋良一 @azuki-takuan
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
のんびり古都散策/永嶋良一
★75 エッセイ・ノンフィクション 連載中 32話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます