第33話 新たな同盟の試練
エニグマ号が修復作業を終え、再び銀河の戦場に戻る準備を整えた頃、ゼノ・オスカーはクルーたちをブリッジに集めた。商人連合との協力関係が成立したものの、まだ彼らの真意を完全に信用しているわけではなかった。しかし、今はその支援が必要だと判断していた。
「クルー全員に知らせる。」ゼノはブリッジに集まった面々を見渡しながら言った。「商人連合との協力が正式に始まる。彼らから提供された情報と資源を使い、次の行動を決定する。」
ケイド・ローガンが腕を組んでうなずきながら言った。「あの商人たちは信用できるのか?結局のところ、奴らの頭の中にあるのは利益だけだろう。」
「確かに、その可能性は否定できない。」ゼノは冷静に答えた。「だが、彼らもこの銀河の安定を求めている。その点で我々の目的は一致しているはずだ。」
「彼らが裏切るようなことがあれば、すぐに対処する準備はできている。」リラ・ナイトシェイドがクールな声で言った。「私たちが注意を怠らなければ、彼らの動きを見逃すことはない。」
「それに、彼らの情報がなければ、今頃闇の教団に押しつぶされていたかもしれないわ。」ナヴィ・エルドレッドが付け加えた。「私たちは今、できる限りの手段を使って戦う必要がある。」
ゼノはナヴィの言葉に同意し、指示を続けた。「では、次の目的地に向かう準備を整えよう。商人連合の情報によれば、闇の教団が重要な戦略拠点を押さえようとしている。そこに我々が先んじて到達し、彼らの計画を阻止する。」
「了解。」ケイドがすぐにエンジンの準備を始め、リラがナビゲーションシステムを設定した。「目標地点に設定完了。エンジンが動き次第、出発可能です。」
その時、ゼノのコンソールに商人連合からの通信が入った。アリシア・レヴァンティスの姿がスクリーンに映し出され、彼女は冷静な表情で言葉を発した。
「ゼノ船長、あなた方の準備は整いましたか?私たちの艦隊もすでに指定の座標へと向かっています。」
「準備は整っている。」ゼノは彼女の言葉に応えた。「共に行動し、敵の計画を阻止しよう。」
「私たちも全力を尽くします。」アリシアは少し微笑んでみせた。「私たちの共闘が成功することを願っています。」
通信が切れ、ゼノはクルーたちに目を向けた。「商人連合と共に、闇の教団の次の拠点を叩く。この戦いは、銀河全体の未来を決定する重要な一戦となるだろう。全員、気を引き締めていこう。」
「了解、船長!」クルーたちは一斉に返答し、エニグマ号は次の目的地に向けて出発した。
宇宙を進むエニグマ号の窓から、無限に広がる星々が静かに流れていく。だが、その静寂の中に、次なる戦いへの緊張が確かに感じられていた。
目的地に到達するまでの時間、ゼノは考えを巡らせた。商人連合との協力が銀河を救う鍵となるか、それとも新たな脅威を招くことになるのか。彼はその答えを出すために、これからの戦いに全力で挑む覚悟を固めていた。
数時間後、エニグマ号は目的地となる惑星「ヴァルガルド」の軌道に到達した。そこは銀河の辺境に位置する戦略的な拠点で、闇の教団が秘密裏に基地を構築しているとされていた。
「スキャンを開始。」リラが即座にセンサーを作動させ、惑星の表面を調査した。「何かが地下に隠れている…かなり大規模な構造物です。」
「奴らの基地に間違いない。」ケイドが確認する。「どうやって潜入するかが問題だが…」
その時、商人連合の艦隊が到着し、通信が再び入った。「ゼノ船長、私たちも到着しました。」アリシアの声が聞こえた。「ここからは共同作戦です。敵の基地を制圧し、エターナル・スピアの手がかりを見つけましょう。」
「作戦を開始しよう。」ゼノは短く言い、クルーたちに指示を出した。「我々は潜入部隊を送り込み、商人連合は外部からの攻撃で支援する。全員、気を抜くな。」
エニグマ号のハンガーデッキで、クルーたちは降下準備を整え、惑星表面への侵入を開始した。銀河の運命をかけた戦いが、いよいよ始まろうとしていた。
ゼノは再び決意を新たにし、次なる一手を講じる準備を整えた。商人連合との協力が試されるこの戦いで、彼らは闇の教団の陰謀を打ち砕くことができるのか。全てはこれから始まる戦いにかかっていた。
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