第27話 闇の戦艦との対峙

エニグマ号のブリッジに緊張が走ったまま、闇の教団の巨大戦艦がエニグマ号に接近していた。その不気味な漆黒の船体は、まるで全ての光を吸い込むかのように、エニグマ号の前に立ちはだかっていた。


「距離、5000キロメートルまで接近。敵艦は依然としてこちらに向かっています。」ヴァーゴ・キンタロスが状況を報告する。


「全砲門、敵艦にロックオン。」ケイド・ローガンが手早く武器システムを起動させた。「奴らが何か仕掛けてくる前に、こちらから先手を打つべきだ。」


ゼノ・オスカー船長は一瞬だけ考え込み、その後、決断を下した。「待て、ケイド。相手の出方をもう少し見てからだ。彼らが何を狙っているのかを確認しよう。」


リラ・ナイトシェイドが追加情報を提供した。「敵艦から微弱なエネルギー信号をキャッチしました。これは…何かを送信しているようです。」


「通信か?」ゼノは眉をひそめた。「奴らが何を言おうとしているのか、聞いてみよう。」


スクリーンに敵艦からの通信が映し出され、再び大司祭ノクターンの姿が現れた。彼は以前と同じように冷たい笑みを浮かべていたが、その目には新たな光が宿っていた。


「ゼノ・オスカー船長、私の招待を受けてくれるとは思わなかった。」ノクターンが静かに語りかけた。「あなた方が私の力に屈する日は、もうすぐだ。」


「私たちは屈しない。銀河全体を支配しようとする貴様の野望を、ここで終わらせる。」ゼノが毅然とした声で応えた。


「果たしてそうだろうか?」ノクターンは嘲笑するように首を傾げた。「あなた方はまだ、私の本当の力を知らない。だが、今それを見せてあげよう。」


その瞬間、敵艦から強烈なエネルギーが放たれ、エニグマ号の周囲に無数の光の矢が生成された。それらはまるで生き物のように動き、エニグマ号を取り囲んだ。


「これは…!?」ケイドが驚愕の声を上げた。「敵が何をしているんだ?」


「これらの光は…私たちのエネルギーを吸収しようとしている。」リラが即座に解析を行い、結果を報告した。「エニグマ号のシールドが急速に減少しています。このままでは…!」


「全力でシールドを強化しろ!」ゼノはクルーに命じた。「奴らにエネルギーを奪われるわけにはいかない!」


クルーたちは必死にシステムを操作し、エニグマ号のシールドを守ろうとするが、光の矢が徐々にシールドを侵食していく。その一方で、ノクターンは満足そうに笑みを浮かべていた。


「これはほんの序章だ、ゼノ。」ノクターンが不気味な声で言った。「本当の恐怖は、まだ始まっていない。」


ゼノは拳を握りしめ、ノクターンの言葉に耐えながらクルーに指示を出し続けた。「ケイド、全砲門で敵艦を攻撃しろ!この包囲を突破するしかない!」


「了解!」ケイドが武器システムを全力で起動させ、エニグマ号の砲台が一斉に敵艦に向けて火を噴いた。だが、光の矢がその攻撃を遮り、攻撃の威力を減少させてしまう。


「これはまずい…このままでは突破できない!」ケイドが焦りの声を上げた。


「私たちは決して諦めない。」ゼノが冷静な声で応えた。「必ずこの状況を打破する方法があるはずだ。」


その時、リラが何かに気づいたように声を上げた。「待って…光の矢には弱点があるかもしれない。エネルギーの供給源を逆探知できれば、逆に攻撃できるかもしれない!」


「リラ、それに賭けるしかない。」ゼノが指示を出した。「すぐに解析を続けてくれ!」


リラは必死に解析を進め、エネルギーの供給源を突き止めようと試みた。全員が固唾を飲んで見守る中、リラの手元のデータがついに一つの結果を示した。


「見つけた!」リラが叫んだ。「供給源は敵艦内部にある!そこを攻撃すれば、光の矢を無力化できる!」


「よし、ケイド、座標を指定する!全砲門をそのポイントに集中させろ!」ゼノが即座に指示を出す。


「了解!」ケイドが再び砲門を操作し、エネルギーの供給源に向けて全力の攻撃を開始した。エニグマ号の砲台が火を噴き、光の矢の源に直撃する。


一瞬の静寂の後、光の矢が次々と消滅し、エニグマ号のシールドが回復し始めた。クルーたちは歓声を上げ、戦局が好転したことを確信した。


「よし、包囲を突破したぞ!」ケイドが喜びの声を上げた。


しかし、ノクターンは依然として冷静さを失わず、静かに笑みを浮かべていた。「やるではないか、ゼノ。しかし、これで終わりだと思わないことだ。」


ノクターンが再び何かを仕掛けようとしたその時、スクリーンが突然消え、エニグマ号全体が不穏な静寂に包まれた。全員が息をのむ中、船内の照明が一瞬だけ暗転し、その直後にブリッジに異変が起きた。


「何だ…?」ゼノが言いかけた瞬間、ブリッジの中央に光の柱が立ち上がり、そこからノクターンの姿が現れた。彼は直接エニグマ号に転移してきたのだ。


「この戦いは、私とお前たちとの直接対決で終わらせる。」ノクターンが静かに言った。「さあ、私を止められるものなら、やってみるがいい。」


ゼノとクルーたちは、船内に現れたノクターンとの最後の戦いに挑む覚悟を決めた。銀河の未来を賭けた壮絶な戦いが、今ここに始まろうとしていた。

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