第26話 静かな決意

エニグマ号のブリッジに、ようやく平穏が戻りつつあった。ナヴィ・エルドレッドが反逆者の爆弾を無事に解除したことで、船内の大きな危機は一旦回避された。クルーたちは息をつく間もなく、それぞれの持ち場で次の動きに備えていた。


「全員、無事だな?」ゼノ・オスカーはクルーたちを見渡しながら確認する。ブリッジの周囲には、戦闘の余韻がまだ漂っているが、全員が彼の言葉に力強く頷いた。


「全員無事です、船長。」ケイド・ローガンが、武器を片付けながら答える。「これで反逆者どもは全滅した。もう奴らに邪魔されることはないだろう。」


「だが、まだ油断はできない。」リラ・ナイトシェイドが真剣な表情でコンソールを操作しながら言った。「システムの完全な復旧にはまだ時間がかかるし、敵が残した罠がどこに潜んでいるかも分からない。」


「確かにそうだな。」ゼノはリラの言葉に同意し、ナヴィに向き直った。「ナヴィ、君がいなければ、我々はここで終わっていたかもしれない。君の行動に感謝する。」


ナヴィは静かに頷きながら答えた。「私もこの船の一員です。ここを守るために、できることをしただけです。」


その時、船内通信が再び作動し、ヴァーゴ・キンタロスからの報告が入った。「船長、外部センサーが異常を検知しました。何かが接近しています。」


「外部センサー?」ゼノはすぐにモニターに表示されたデータを確認する。「何かの船か?それとも敵か?」


「正体は不明ですが、かなりの速度でこちらに接近しています。」ヴァーゴは緊張した声で報告を続けた。「このままでは接触を避けられません。」


「全員、警戒態勢に入れ!」ゼノが指示を出すと、クルーたちは一斉に動き出した。エニグマ号は再び戦闘準備を整え、未知の脅威に立ち向かう体制を整えた。


その時、ブリッジのスクリーンが突然点滅し、巨大な影が映し出された。スクリーンには、漆黒の船体を持つ巨大な戦艦が映し出され、その不気味な姿に全員が息を飲んだ。


「これは…闇の教団の船だ!」リラが驚愕の声を上げた。


「奴らが再び動き出したか。」ゼノは険しい表情でスクリーンを見つめた。「この戦いはまだ終わっていない。我々は銀河の未来を守るため、ここで立ち止まるわけにはいかない。」


クルーたちは再び気を引き締め、迫り来る闇の教団の戦艦との戦闘に備えた。ナヴィは心の中で、これから起こるであろう戦いに向けて静かな決意を固めた。


「全員、準備はいいか?」ゼノが問いかけると、クルー全員が力強く応えた。


「もちろんです、船長。」ケイドが剣を手に取り、戦いへの覚悟を示した。「奴らを迎え撃つ準備はできています。」


「この戦いで決着をつけましょう。」ナヴィもまた、その言葉に力強く頷いた。


エニグマ号は、闇の教団との決戦に向けて再び動き出した。彼らの前に待ち受ける運命がどのようなものであろうと、クルーたちは決して諦めることなく、銀河の未来を切り開いていく覚悟を胸に秘めていた。

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