第23話 エターナル・スピアの守護

ケイド・ローガンは、少数精鋭のクルーとともにシャトルに乗り込み、エターナル・スピアが隠されているとされる惑星へ急行していた。彼の心は焦りと緊張で満たされていたが、同時に仲間たちへの強い信頼も感じていた。彼らはゼノ・オスカー船長から与えられた重要な任務を果たすため、全力を尽くす覚悟を持っていた。


「もうすぐ目標地点に到達する。」ケイドがシャトルの計器を確認しながらクルーに伝えた。「エテルニス帝国がすでに到着している可能性が高い。準備を整えておけ。」


「了解、ケイド。私たちはいつでも戦える。」サイラス・ヴァリスが力強く応じた。彼は戦術士官として、この任務の重要性を十分に理解していた。


シャトルが惑星の大気圏に突入し、目的地である古代遺跡に近づくにつれて、周囲の景色が変わっていく。遺跡は巨大な石造りの建物で、まるで時間の中で凍りついたかのように静まり返っていた。しかし、その静けさの中に潜む脅威をケイドたちは感じ取っていた。


「ここだ…エターナル・スピアが眠っている場所。」ケイドはシャトルを降り、クルーとともに遺跡の中心へと向かった。


遺跡内部は広大で、暗闇の中に無数の石柱や彫刻が並んでいた。古代文明の遺産が、まるで彼らを見守っているかのように佇んでいた。そして、中心部には巨大な石の台座があり、その上にエターナル・スピアが鎮座していた。


「これが…エターナル・スピア。」リラ・ナイトシェイドが石柱に刻まれた古代文字を読み解きながら、神聖なオーラに包まれたスピアを見つめた。「これが銀河全体を再生し、また破壊する力を持つ装置…」


「だが、奴らが先に到着している。」ケイドが警戒の声を上げた。彼の予感通り、エテルニス帝国の兵士たちが遺跡の奥から現れ、ケイドたちを取り囲んだ。


「我々はエターナル・スピアを渡すわけにはいかない!」ケイドは強く叫び、即座に戦闘態勢に入った。彼の指示でクルーたちは散開し、エテルニス帝国の兵士たちに応戦した。


戦闘は激しさを増し、遺跡の中はレーザーの閃光と爆発音で満たされた。ケイドはその中でも冷静さを失わず、戦術士官としての経験を活かして戦闘を指揮し、次々と敵を撃退していった。しかし、敵は圧倒的な数で押し寄せ、ケイドたちは次第に追い詰められていく。


「このままでは持たない…」ケイドは仲間たちを守りながら、決断を迫られた。「リラ、スピアを起動できるか?」


「可能ですが、その力を解放すれば、ここ全体が危険にさらされるかもしれません。」リラはスピアの制御パネルに手をかけ、焦りを隠せない様子で応えた。


「だが、今はそれしかない!」ケイドは決意を固め、リラに合図を送った。「スピアを起動して、ここを脱出する!」


リラは躊躇しつつもスピアの起動シークエンスを開始した。遺跡全体が振動し、スピアから強烈なエネルギーが放たれた。エテルニス帝国の兵士たちはそのエネルギーに巻き込まれ、次々と倒れていく。


「今だ!全員、撤退だ!」ケイドはクルーたちに叫び、彼らは急いでシャトルに戻った。スピアが放つエネルギーの余波を避けながら、シャトルは遺跡から急上昇し、なんとか安全圏まで到達した。


「ふう…危機一髪だった。」ケイドが深く息をつき、クルーたちに向かって微笑んだ。「全員無事でよかった。」


「スピアは無事に封印できた。これで奴らも簡単には手を出せないはずだ。」リラが安堵の表情で言った。


しかし、彼らはまだ安心することができなかった。エテルニス帝国はこのまま引き下がるわけではなく、さらに強力な手段でスピアを狙ってくることが予想された。ケイドたちはそのことを心に留め、次なる戦いに備えなければならなかった。


「これで終わりじゃない…まだ戦いは続く。」ケイドは静かに呟きながら、遠ざかる惑星を見つめた。「だが、俺たちは必ず銀河を守り抜く。」


シャトルはエニグマ号へと帰還し、彼らの次なる冒険が待つ宇宙へと再び旅立っていった。銀河の未来を賭けた戦いは、まだ始まったばかりだった。

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