第22話 エテルニス帝国の罠

エニグマ号は、エテルニス帝国の攻撃を阻止するために、急いで銀河の中心に向かっていた。銀河統一同盟(GUC)からの最新情報によると、帝国はエターナル・スピアを狙い、その所在を突き止めるために銀河の要所を次々と攻撃しているという。エニグマ号のクルーたちは、これを防ぐために新たな戦略を立て、行動を開始していた。


「目標地点に到着しました。」ヴァーゴ・キンタロスが報告し、エニグマ号は指定された座標で停止した。そこには、銀河の中でも特に神秘的とされる星系、アラティス星系が広がっていた。


「ここがエテルニス帝国が狙っている場所か…」ゼノ・オスカーが前方のスクリーンに映し出された広大な星雲を見つめながら言った。「この星系には、何か特別な秘密が隠されているのかもしれない。」


リラ・ナイトシェイドが端末を操作し、アラティス星系に関するデータを確認した。「この星系は古代の伝説に登場する場所で、エターナル・スピアが隠されている可能性があると言われています。しかし、その正確な位置は不明です。」


「リラ、エネルギー反応を探知できるか?」ゼノが問いかけた。


「探知します。何か奇妙なエネルギー波動が…」リラが言いかけたその時、突然、エニグマ号のシステムが異常を示し、船体が大きく揺れた。


「警告!敵艦が突然出現しました!周囲に複数のエテルニス帝国の艦隊がいます!」ヴァーゴが緊急報告を入れた。


「これは罠だ!」ケイド・ローガンがすぐに戦闘態勢に入るよう指示した。「奴らは俺たちをここにおびき寄せたんだ!」


ゼノは冷静に指揮を執り、クルーたちに戦闘準備を命じた。「シールドを最大出力にし、敵艦隊に応戦する。彼らの攻撃を凌ぎながら、エターナル・スピアの場所を突き止めるんだ。」


エニグマ号の砲台が火を噴き、敵艦隊に向けてレーザーとミサイルが放たれた。激しい戦闘が繰り広げられ、エニグマ号は巧みな機動で敵の攻撃をかわしながら反撃を続けた。


「彼らの攻撃が激しい…しかし、何かがおかしい。」リラが戦闘中にもかかわらず、異常に気づいた。「彼らは全力で攻撃しているわけではない。これはただの陽動作戦かもしれない。」


「陽動…本当の目的は別にあるのか?」ゼノがその言葉に反応し、すぐに戦術マップを見直した。「ヴァーゴ、エネルギー反応の変化を確認してくれ!」


「船長、周辺に大規模なエネルギー波動を検知!彼らは私たちを攻撃している間に、エターナル・スピアに向かう別の艦隊がいるかもしれません!」ヴァーゴが報告した。


「くそっ、やられたか!」ケイドが悔しげに叫んだ。


「我々はここで敵を引きつけておく。ケイド、あなたと少数の精鋭がシャトルでその場所に向かい、スピアの守備を固めてくれ。」ゼノは即座に新たな指示を出した。


「任せてくれ。必ずスピアを守り抜いてみせる。」ケイドは仲間たちとともにシャトルに乗り込み、エターナル・スピアの位置へ急行した。


エニグマ号は残された敵艦隊と激戦を繰り広げながら、ゼノたちはケイドの成功を祈っていた。エターナル・スピアを巡る戦いは、いよいよクライマックスを迎えようとしていた。銀河の未来が、この一瞬にかかっていることを、全員が強く感じていた。

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