第24話 銀河の裏切り

エニグマ号がエターナル・スピアを封印し、再び宇宙に戻った後、クルーたちは安堵のひとときを過ごしていた。しかし、その平穏は長くは続かなかった。銀河統一同盟(GUC)からの緊急連絡が再び入った。


「船長、同盟からの通信です。至急対応が必要です。」ヴァーゴ・キンタロスが緊張感を帯びた声でゼノ・オスカー船長に伝えた。


ゼノはすぐに通信を受け取り、ブリッジに現れたホログラムに目を向けた。そこにはレナ・カイラー大統領の姿があったが、彼女の表情はこれまでにないほど厳しく、冷たいものだった。


「ゼノ船長、非常に困難な状況が発生しました。」レナ大統領が静かな声で言った。「銀河連邦の一部の勢力がエテルニス帝国と密約を結び、我々に背いたのです。」


ゼノはその言葉に驚きを隠せなかった。「何ですって?連邦内に裏切り者がいると?」


「はい。」レナ大統領は頷いた。「彼らはエテルニス帝国から古代技術を提供され、その見返りに同盟を裏切ることを選んだのです。彼らは現在、銀河の要所に潜む敵と結託し、我々に反逆の準備を進めています。」


「それは非常に危険です。連邦の一部が帝国と結託すれば、我々は内部からの攻撃にも備えなければなりません。」サイラス・ヴァリスが冷静に状況を分析した。


「我々はすぐに対策を講じる必要がある。」ゼノはクルー全員に向けて指示を出した。「ヴァーゴ、反逆勢力の位置を特定し、彼らの行動を監視するんだ。サイラス、我々の防衛を強化し、内部からの攻撃にも備えられるよう準備を整えてくれ。」


「了解です、船長。」クルーたちは即座に動き出した。


しかし、事態はさらに深刻だった。エニグマ号内の一部のクルーが、不穏な動きを見せ始めていた。彼らは、銀河連邦の中でエテルニス帝国と密約を結んだ反逆者たちと密かに連絡を取り合い、エニグマ号を内部から破壊しようと計画していたのだ。


その中の一人、ナヴィ・エルドレッドは、かつての帝国の情報部員であり、同盟に亡命してきた経歴を持っていた。彼女はその裏切りの意図を持ち、密かにエテルニス帝国と連携していた。しかし、その心には複雑な葛藤があった。


「ナヴィ、君は本当にこれを続けるつもりなのか?」エルドレッドは自らに問いかけ、内部での裏切りが銀河全体にどれほどの破壊をもたらすかを考え始めた。


その時、彼女はリラ・ナイトシェイドと遭遇した。リラは、ナヴィの異常な行動を察知し、彼女に問いかけた。「ナヴィ、あなたは一体何をしているの?」


ナヴィは一瞬、リラと目を合わせ、何も言わずにその場を離れようとしたが、リラは彼女を追い詰めた。「あなたが何をしようとしているか、私は知っている。今すぐ止めなければ、あなたは全てを失うことになるわ。」


ナヴィは一瞬の沈黙の後、重い口を開いた。「私は…私はかつて帝国に仕えていたが、その過ちを償おうとしてここに来た。しかし、帝国の影は私をまだ離さない。」


「あなたには選択の余地がある。私たちと共に戦い、銀河を守るために力を尽くすことができる。」リラは真剣にナヴィに訴えた。


ナヴィは葛藤の末、リラに全てを打ち明けることを決意した。「私が情報を提供していた反逆者たちは、すでにエニグマ号の弱点を突く準備を進めている。しかし、私はもう彼らと共に行動するつもりはない。私は…銀河を守るために、あなたたちと共に戦う。」


リラはナヴィの決意を受け入れ、すぐにゼノ船長に報告した。「船長、ナヴィが重要な情報を提供してくれました。彼女は反逆者たちの計画を阻止するために協力してくれるそうです。」


ゼノはナヴィをブリッジに呼び出し、彼女の情報をもとに作戦を練り直した。「ナヴィ、あなたの協力が必要だ。我々は反逆者たちの計画を阻止し、彼らを制圧する。」


ナヴィは頷き、エニグマ号のクルーとして全力を尽くすことを誓った。反逆者たちとの戦いは、銀河全体の運命を左右する新たな局面へと突入し、エニグマ号はその中心に立たされることとなった。


クルー全員が一致団結し、反逆者たちの野望を打ち砕くための戦いに挑む準備を整えた。彼らの勇気と信念が、再び銀河を救うための希望となることを信じて、エニグマ号は新たな戦いの舞台へと進んでいった。

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