第7話 真実への手がかり

エニグマ号は再び深い宇宙を進んでいた。目覚めた力と対峙した後、クルーたちはさらに慎重に次の行動を検討していた。ゼノ・オスカーは、ランディングクラフトに戻る際に得た記憶と感覚を反芻しながら、次の目的地について考えていた。


「ゼノ、その存在が言っていたこと、本当に試練を受けるつもりか?」ケイド・ローガンがブリッジでゼノに問いかけた。彼の顔には、目覚めた力に対する警戒心がはっきりと表れていた。


「試練は避けられないだろう。」ゼノは冷静に答えた。「この銀河の運命を変える力が、我々の手に委ねられている。それを理解し、正しく制御するためには、試練を受け入れるしかない。」


「それに、我々は既にその一端を目撃している。このまま突き進むしかない。」リラ・ナイトシェイドが、ゼノの考えを支持するように言葉を添えた。彼女は、引き続き装置の残したデータを解析していた。


「エニグマ号をこのまま先に進めるのは危険だが…他に選択肢はないか。」ケイドは深いため息をつき、目の前のスクリーンに映る星図を睨んだ。


その時、ヴァーゴ・キンタロスが新たな情報を報告した。「船長、新たなエネルギー反応をキャッチしました。この方向は、今までのルートと一致しており、次の目的地として適しているようです。」


ゼノはすぐにそのデータを確認し、眉をひそめた。「このエネルギー反応…どうやら以前の反応とは少し違うようだ。」


「違う?」エリサ・トールがその言葉に反応した。「どういう意味ですか?」


「これは、より複雑なエネルギー波動を示している。単なるエネルギーの放出ではなく、何か高度なテクノロジーか、あるいは生命体によるものかもしれない。」ゼノは注意深くデータを読み取りながら言った。


「まさか、何か生きているものが関係していると?」リラがその可能性に驚きつつも、即座に新たな解析を始めた。


「可能性は高い。」ゼノは静かに応じた。「我々はそれを確認するために、さらに前進するしかない。」


エニグマ号は新たなエネルギー反応を追い、その源へと進んでいった。数時間後、彼らは広大な宇宙の中に浮かぶ不気味な空間の歪みを発見した。それはまるで空間がねじれたような場所で、そこに巨大な球体状の構造物が存在していた。


「何だあれは…?」ケイドが唖然としながらつぶやいた。


「データによると、あの球体は何らかのエネルギーフィールドで覆われているようです。内側には未知の物質が存在しています。」ヴァーゴが報告した。


「エネルギーフィールド…それがエネルギー反応の源だとすると、あの中に何か重要なものが隠されているのかもしれない。」ゼノは考え込んだ後、決断した。「我々は接近して、調査を行う。」


エニグマ号は慎重に球体へと接近し、フィールドの外側で停止した。ゼノは、装置の破片が再び強く反応しているのを確認し、それを手に取った。


「この破片が、何かを導いている。」ゼノは破片を握りしめながら、クルーに指示を出した。「リラ、フィールドを通過できる安全なルートを探してくれ。」


「やってみます。」リラはすぐに端末を操作し、フィールドの構造を解析し始めた。「フィールドには一定のリズムがあり、それに合わせれば通過できる可能性があります。」


「そのリズムを正確に掴めれば…突破できるか。」ケイドがリラの解析を見守りながら言った。


「よし、行こう。」ゼノはランディングクラフトに乗り込み、ケイド、リラ、エリサも同乗した。彼らは球体に接近し、リラが解析したリズムに合わせて慎重に進んでいった。


やがて、彼らはフィールドを通過し、球体内部に足を踏み入れた。内部は暗く、無数の光点が漂い、まるで星空の中にいるかのようだった。ゼノは前方に視線を向け、中央にある大きなプラットフォームに目を留めた。


「ここが中心か…」ゼノは静かに歩みを進め、プラットフォームの上に立った。その瞬間、破片が強烈な光を放ち、周囲の光点が一斉に反応し始めた。


「何かが起こる…!」エリサが緊張した声で言った。


次の瞬間、光点が集まり始め、ゼノたちの周囲で渦を巻くように回転を始めた。そして、渦の中心に巨大なホログラムが現れた。それは、銀河の全体図を示しており、無数の点が結ばれて、複雑なネットワークを形成していた。


「これは…銀河全体のエネルギーフローを示しているのか?」ゼノは驚愕しながらそのホログラムを見つめた。


「どうやら、これが全てのエネルギーの源とその流れを示す図のようです。」リラがデータを確認しながら言った。「これが何を意味するのか…理解するにはもっと時間が必要です。」


その時、ホログラムの中心から新たな映像が現れた。それは、かつて存在した古代文明の記録であり、彼らがこのエネルギーフローを制御するために作り上げた巨大な装置の映像だった。


「これが、目覚めた力の全貌か…」ゼノは映像を見つめながら、呟いた。「この装置が全ての鍵を握っている。我々はこれを理解し、正しく使う方法を見つけなければならない。」


「でも、この情報が漏れれば、銀河全体が戦争に巻き込まれるかもしれない。」ケイドが冷静に指摘した。「我々がこれをどう扱うかで、未来が決まる。」


ゼノは深く息を吐き、ホログラムを見つめた。「試練の本質が見えてきた。これを乗り越えなければ、銀河の未来は危うい。我々は次のステップに進む。」


クルーたちは、さらに深く謎を追い求めるため、エニグマ号に戻る準備を始めた。銀河の運命を左右する力を手に入れるための旅は、ますます厳しく、そして重要な局面へと向かっていた。

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