第5話:シスター会議②

「どういうつもりですかッ!?修道女長!!」


クリスティアとシスターマリーダが部屋を出た後、シスターヘレンがセレーナの机をバンッと叩いて叫んだ。


「何故彼女をここで預かるって言ったんですか!?ここがどういう場所か貴女が1番理解してるんでしょう!!?」


「シスターヘレン!?落ち着いてください!!」


机を壊さんばかりの勢いで叩きセレーナを問い詰めるシスターヘレンをシスターリリーは必死に止める。が、そんなシスターリリーをシスターヘレンはキッと睨み


「リリー!貴女だって分かってるでしょ!?ここアルカトラズは、犯罪者の墓場とか言われてるけど、それは悪意ある者からアレを守る為の措置だって!!それなのにここにあの極悪令嬢を置いておくなんて!?」


 シスターヘレンに詰められてシスターリリーは思わず後ずさるも、シスターリリーは自分の思った事を述べる。


「あの……でも……クリスティアちゃんは本当に噂されてる悪人なんでしょうか……?」


「実際彼女は極悪令嬢として有名でしょ!?」


「そうなんですけど……私もシスターとして何人かの犯罪者と関わりましたけど、クリスティアちゃんがその犯罪者達と同じようには見えないんです……」


「そんなの彼女が演技してるかもしれないでしょ!?」


「それは……ですが……」


シスターリリーとシスターヘレンが意見をぶつけ合うのを、セレーナはしばし微笑みながら見守っていたが、一口お茶飲んだ後に言葉を発する。


「シスターヘレンの言い分は理解しています。しかし、シスターリリーが言う通り、いくら彼女が極悪令嬢かもしれなくても、魔物蔓延る場に放り出す事は出来ません」


「それは……そうかもしれませんが……」


セレーナの言葉に先程の勢いを無くし言い淀むシスターヘレン。彼女も、自分がとても非情な事を言ってるのは分かっている。が、この場にある物を守る責任感から発しているのだ。セレーナもそれをより理解してるので続けて言葉を発する。


「もちろん。警戒もしなくてはなりません。ですので、彼女には先程言った通りシスターとして勤めてもらいます。そして、彼女の行動は常に誰か1人必ず監視するようにします。もし、彼女が一度でもおかしな事をすれば、ここにある地下へ本部の方々がみえるまで拘束します。良いですね?」


セレーナの言葉にシスターヘレンとリリーも頷いた。セレーナは再びお茶を一口含んだ後微笑み


「ですが、私もシスターリリーと同じく彼女が極悪令嬢ではないと思っていますよ」


「……そう言う根拠は何ですか?」


シスターヘレンばそう聞くと、セレーナは立ち上がり窓から見える子供達を見て


「案外一番子供の方が人を見る目があるものですからね」


かつて、親からの虐待を受け捨てられ、未だにここにいる者以外の大人達に怯えるロビンが、クリスティアに引っ付いている姿を思い返し、セレーナは微笑みを浮かべてそう答えた。

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