第1章 第3話 現実逃避のコーヒー
そんなことを考えているとコンコンとノックのする音が聞こえてきた。
「どうぞ」と声をかける。
「失礼致します」
流麗な動作で扉を開け入ってきたのは執事であるシン・クラーである。
「朝から大きなため息を吐いてどうされましたか?」
どうやら俺のため息は扉を閉めていても部屋の外まで聞こえていたらしい。
「仕方ないだろ。アリア帝国の侵攻のことを考えたらいやでもため息がでる。てか、こんな時期にトロン王国は次期王を決める戦いをするのか?」
コーヒーをカップに注ぎながら、シンは口を開く。
「アリア帝国の侵攻はともかく、次期王選の戦いはカルク様には関係ないでしょう?」
「そうなんだけどさ、わざわざこんな時期にやらなくても良いじゃんと思うんだよね」
その俺の言葉には特に何も返さず執事は、コーヒーと新聞を俺の前に出してくれた。俺はそのコーヒーを一口飲む。
「うん、うまい」
とりあえず現実逃避も兼ねてコーヒーの味に集中した。
コーヒーを味わいながら新聞を読んでいると「コンコン」とノックのする音が聞こえて来た。執事の時と同様返事をしようと思ったがすぐさま廊下側から声が聞こえてきた。
「カルク様朝食の準備が出来ました。1階に降りて来てください」
そう言いメイドであるルトー・カルネは、やることがあるのか去っていった。1階に降りると全員が席に座っていた。ちなみに席には、執事のシンとメイドのルトーが手前に座っており、奥には俺の冒険家としての相棒のトミ・ティエーナが座っている。ーーーてかシンお前一緒に俺と階段降りて来たはずだろ、なんで当たり前のようにそこにいるーーーとツッコミを入れたくなってしまった。
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