第1章 第2話 悩めるこれからの生活

そのラジオ放送が昨日のことであった。

「次期王を決める戦いが今日から始まるというのに、海外は物騒だな」

 俺は、アリア帝国と肩を並べる大国の1つであるトロン王国の街中に住んでいる。王都の街は人通りが多く賑やかだが、王宮から離れた場所になってくると人通りも少なくなってくる。俺はその辺りのところに家を建てていた。俺の家には4人が住んでいる状況だが、後2〜3人は普通に住める大きさである。

 次期王を決める戦いがあったとしても、一般市民は特に何かするというわけではないのでこっちはいい。問題はトロン王国とは別大陸にあるアリア帝国である。アリア帝国から流れているラジオは1年前からずっと物騒である。というか物騒なんて言葉で片付けてはいけないほど、市民にとってはやばい場所になっている。それにやばい状況なのはアリア帝国があるカーム大陸だけではない。今や5大陸全てがアリア帝国がいつ侵攻してきてもおかしくない状況下にある。

 正直こんなことになるのを知っていたなら、王都に立派な家なんて建てなかった。この王都トロンに家を建てたのは1年前の12月頃だった。立派な家を自分達で貯めたお金で建てられたのは実に感慨深い気持ちになった。しかし、それから1ヶ月経ってのあのアリア帝国のラジオ放送には、なぜこのタイミングでという気持ちになった。

 去年はアリア帝国は自分達の大陸のカーム大陸を統一するので忙しかったため、他の4大陸では特にこれといった侵攻は受けなかった。そのため1年間は、カーム大陸の状況にヤキモキしながらではあったが、新居を堪能できた。

 しかし、今年からは違う。本格的にアリア帝国が4大陸に攻め込んでくる。せめて、このトロン王国のあるアスカ大陸の侵攻は最後にして欲しいと願うばかりである。まぁ、一番良いのはアリア帝国が世界統一を諦めることなんだがな。諦めないんだろうなーと憂鬱な気分になり少し大きめなため息を吐く。

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