第4話

「久々に天神祭にいったな…」


久々の天神祭、久々の友人


もう十分に福岡を楽しんだだろう…


帰りは普通に飛行機で羽田空港まで飛んで帰った。


――――――――――――――――――――――――――――――――


「それで、事件の進捗はどうだ?」


警察署に待機していた専属の警官に聞く。


しかし…


「それが、一切の証拠、一切のアリバイ共に出てきませんでした。」


「なに?」


そんな事があるのだろうか、そもそも容疑者とはある程度の怪しい行為があるからこそ容疑者に挙げられるのであり、まったく根拠がなければ検挙することも逮捕することもできない。


「一体…一体何が起きてるんだ…?」


全くこの事件の全貌がつかめない。


まるで幽霊の仕業、とでも言うように…


実態がつかめない。


幽霊ではないが、例えば「有るのに、ない。」


そんな気分を味わっているようだった。


担当の警官も不気味がったのか、声を震わせる。


「恐ろしいですね、この事件。なんて言ったって『ここまでわかっている、殺害の仕方、推定反抗時刻、犯行場所等までわかった』そんな状態なのに、まるで雲を掴んでいるみたいですね…」


私も同じようなことを思った。


幽霊や雲のように実態があるように見えるのにつかめない。


そう、雲を突っ切る飛行機のような…



「ん?」


「どうしましたか?刑事」


実態がないのにつかめない。


そんな感覚に襲われたのは高校生以来だった気がする。


そういえば確率の問題を解いていたときだったか…


解き方は合ってるのに、なぜか間違える。


そんなことでイライラしていた気がするな…


そんな懐かしいことを今思い出した。


「実態がつかめない、空を切る状態…」


そこで恩師に言われた言葉を思い出す。


『なぜ間違えるかわからない、そんなときはまず『問題文』を読み直しなさい。前提条件を間違っている可能性がある。だから焦らず、ゆっくりと問題文にかかれてある日本語の意味を理解するように気をつけなさい。』


前提条件…


そういえば、まず最初の事件の容疑者の整理の状態で「向井聡理」という答え、はありえない。というふうにしていたな…


しかし、それは確実に無理だから、と言うように結論付けていたはずだ。


その前提条件は覆らない。


なにせ「すでに形作られている、一切の変動がない公共交通機関の時刻」という枠に当てはめたからだ。


様々な情報を一箇所に集約する非常に便利な「インターネット」を使い、いくつか有る「乗換案内」のサイトを比較し、最も早くたどり着ける選択肢を選び、現在容疑者たちがいる場所はその覆しようもない結果に当てはまるのかどうかを調べた。


その結果「向井聡理」はこの「事件」という「問題」の答えとして「不適」だという結論を下し、「解の途中式」から外した。


しかし…


もし、のならば?


……


いや、そんな事はありえない、か…


なんてことを考えてるんだ俺は…


しかし、恩師の言葉が頭から離れない。


1時間ほど考えた結果…




恩師の言葉に従うことを決めた。

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