第6話 三日目の朝
はぁ…幸せ過ぎる…。
目の前にはもう猫しかいない。しかもその猫たちはみんな俺を慕って話しかけてくる。
一人一人に名前を付け、みんなとのあいさつを済ませた頃には太陽が昇ろうとしていた。
自分の発想が恐ろしい。俺は猫の国を創造してしまった。このままこの世界を猫の楽園にしよう!今日は建国記念日だ!
初日が唯一猫の生誕祭だとして、三日目も何か記念日が欲しいな。いや、毎日作ってゴールデンキャットウィークとして大連休だ!
ま、待てよ。それでは猫たちが生活していけないんじゃないか?お世話をする係として、猫たちのために労働の義務を与える者たちを創造しないといけないな…。
俺が猫の楽園計画に燃えていると、最初に誕生した猫、唯一猫の
「あるじ、このまま朝日が昇ってしまうとその計画が無意味なものになってしまいますにゃ」
「な、なんだって…?それは本当なのか?ニャハウェ!」
「…あちらをご覧くださいにゃ。もう神の使いは主を見はにゃす態勢に入っていますにゃ」
ニャハウェが示す先を見ると東の空にルシールさんとフェルさんが浮かんでいる。
太陽昇るのを待っているかのようだ。今までにない笑顔で手を振っている。最後の慈悲のつもりなのだろうか。
「そ、そういえばそんなことを言っていたかもしれない…」
「主が猫たちを大切に想ってくれているのは分かりますにゃ。それで案があるのですにゃ」
「ふ、ふがいない主ですまない…それで案というのは?」
「このパネルを見るのですにゃ!」
そこは伝達手段の項目だった。そういえば猫と遊んでばかりでまだろくに見てないな。結構な種類が他の候補者に取られている。俺が権利を持っているのは初期の最低限のみだ。
…そういえば擬人化はどうなったんだ?なにか大切なことを忘れていると思っていたのはこれだ!知恵を手放したというのにポイントが足りなかったのか?
「主はまだ伝達手段を開放した権利は持ってますにゃ。だからツリーを順番に開放しなくても好きな物を倍のポイントで取れますにゃ」
「だ、だがそれじゃ…ニャハウェの擬人化が遠のいてしまうんだよ!」
「そもそもあと数十分でその権利もなくなるますにゃ。だから…」
耳打ちしてきたニャハウェの作戦を聞いた俺は戦慄してしまった。
神は無慈悲だ。たぶんそれをされるもののことなど何一つ考えていないのだろう。
そんなことまでしなければならないのか…。
「わ、分かった。そうしなきゃいけないんだよね、ニャハウェ…」
「猫と主のためですにゃ。今のポイントは10。作戦が上手く行けば大丈夫ですにゃ」
10ポイント全部使い切ってしまうが、この作戦なら太陽が昇るまでに100ポイントはくだらないだろう。俺は知恵の神ではなくなってしまったが、全知全能の猫がそばにいてくれたようだ。もうこれしか道はない。そして猫たちよ、すまない!
「全部のポイントを使って伝達手段の『転送』を解除!他の候補者たちのもとへ100匹の猫さんたちを転送だ!!」
世界樹(スキルツリー)を育てる創世神話 ゆづひら @yudutu
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