あのソラに恋した大海原
海の上に浮かぶ魔法具の筏、
その筏に付いた蓋下にある
要塞型の魔法空間を、
またずっと進んだ先にある
メインルーム、その中では……
ブクブク。՞。゚՞ジョァ〜
ルルハ「わぁ✨凄い!今 外で大きな魚が横切ったよ!」
レイン「まさか出口からこんなに離れているのに、ここまでくっきり外や水中を覗くことができるなんてね、このモニターって板は 画期的過ぎるよ!」
レイン達はそのモニターという遠隔で周りを視認出来る板の物珍しさに魅了されていた。
夢中になってモニターを観ているレインに、タイミングを伺って自立型知能魔法で本艦の核であり管理者のテスタ、が話しかけてきた
テスタ「マスター、夢中な所悪いのですが、貴方に観てもらいたい記録があるので、そろそろ宜しいでしょうか…」
レイン「あ、ごめん!そういえば、洗剤のマイスターが僕に交代してる理由を見せてくれるんだったね」
テスタ「先代のマスターが貴方に期待してる理由を見せるです、理由を見せるしか合ってないじゃないですか…」
レイン「アハハ、ごめん…」
テスタ「はぁ、超高位の魔法印プログラムが施されている私に限って…先代マスターの、後継者選び失敗などは無いと思いますが…」
レイン「だーれが失敗作やねーん…」
テスタ「言ってませんが…」
レイン「・・・ゔッんーゴホン、なんか先代のマスターの期待、応えたくなってきた気がする〜」
ルルハ「ハッハッハ、なんだよそれ、レイン変なの〜」
テスタ「分かりました、今回は特別に貴方のその発言がただの機嫌取りでないと信じてこの記録を見てもらうことにしましょう、」
レイン(げっ、)
テスタ「ですがその前に、この記録はマスター以外に観られるのは大変危険なもので極秘の記録になりますので、ルルハ様に1度退出して頂きます」
ルルハ「えぇ!!なんでぇ?!気になるんだけど!」
テスタ「申し訳ありませんが、これは先代のマスターが決めたルールなので」
ルルハ「ちぇ〜しかたねぇなぁ、ねぇレインその記録ってやつ見るの終わったら教えてくれよ!あのモニターってやつの続き観たいからさ!」
ウィーーーン
そう言ってルルハはメインルームを出た
レイン(僕にしか見せないって何か背徳感が凄い、やっぱり先代のマスターと同じでカラクリ魔法印見付けてるし、もしかして特別なのかな僕って、何にしても自分だけがその情報を知れるしかも極秘とか言ってるし更なる凄い魔法技術の情報とか凄いのくるぞぉ!)
テスタ「ではマスター、最後に確認します。この記録を見ればもう後戻りは出来ません、覚悟は出来ましたか」
レイン(あれぇ?なんか思ってたのと違うぞー?テスタさん記録を見れば後戻りは出来ないとかとんでもなく怖い事言い出してるし、覚悟?僕って今から記録を見るだけだよね?確認の仕方が腕のひとつもがれそうなぐらい危険な香り醸し出してるんだけど)
レイン「あ、あのテスタさん?これ、見たら命に関わる感じ、かな?」
テスタ「場合によっては、」
レイン(場合によっては←それやめて》覚悟とか言われても命懸けの覚悟なんか急過ぎて、出来ないよ……)
テスタ「……先程…場合よっては命に関わると言いましたが……」
レイン「え、…」
テスタ「場合によっては………、〔全世界に《永遠》の恵が齎されます〕…」
レインは自分の耳を疑った。全世界に恵ってしかも永遠って、
レイン「全世界に恵って、あと永遠ってどう…」
テスタ「マスター!ここから、ここから先は後戻り出来ません、それでも、今言った恵の意味、そしてこの世界の真実を知る覚悟はありますか?」
レイン(……僕が…命を懸けることで世界中に恵がもらたらせるかもしれないって事かなしかも《永遠》に………もし、これで多くの貧しい人々を救えるとしたら、僕や師匠の様な幼く悲しい命をこれ以上増やさない為にも僕の命、懸ける理由には充分過ぎる!)
レイン「テスタ」
テスタ「どうされました?」
レイン「懸けるよ、命……僕、命懸ける事にした…見たくなったんだよ、その永遠の恵に包まれた、悲しみを拭い去ってくれる様な、そんな世界を!」
テスタ「そうですか、やはり思った通りです私に限って先代のマスターの後継者選択ミスなど有り得ません! 」
レイン「僕は覚悟は出来たよ!この世界に、どんな真実が隠されていて、もしそれが敵わない程圧倒的な力を持った暗雲だとしても、絶対に意地でも乗り越えて世界中の皆が幸せで包まれるそんな世界にする事を約束する」
テスタ「希望と期待の光に満ちたオーラ…、本当に貴方なら先代のマスター様の夢を継いで実現してくれそうです、では………」
テスタがそう言うと、さっきまで外の映像を観ていたモニターの画面が真っ白に変わった
テスタ「これからマスターには海の記憶を観て頂きます、」
レイン「海の記憶?誰の海の記憶?」
テスタ「いいえ、そういう事では御座いません、今から観てもらうのはその大海原、海自身が観ていた世界の記憶です」
レイン「えぇ!!海って目あるの?!」
テスタ「勿論目は御座いませんが海自身はしっかり生きておりますし記憶だって持ってます。バハドーラ様から聞きませんでしたか?無詠唱魔法師はカロリーの他に大地や自然が持つ記憶を媒体に魔力を作り出せることを」
レイン「そういえば、ローブ選んでる時にそんな事を言ってた様な……」
テスタ「そして、今から私が使う魔法は先代のマスターが発明した魔法で、自然エネルギーの持つ最も深く欲している記憶を投影して映し出すというものです。それでは投影させて頂きます」
すると白くなっていたモニターに何かが映り始めた。
レイン「あれは…じわじわと濃くなる1面の青い何かが見える、これは、う…みか…な?いや、ふよふよの白い動くものも見えてきた白…波にしては動きがおかしい」
そうしている間にみるみる映像の荒が取れて映像がはっきりとしていった
レイン「これは…遠くを見ているようだけど薄い水色が遠く全体を覆っている…なんだか白色の魔雲の様なものがそこを漂ってる、」
極秘と言われるその映像を観たものの、何の映像かがイマイチ分からなかったレインは、1つの考えに辿り着いた。
レイン「ねぇテスタ、これの事海自身の記憶って言ってたけど、これは実際の風景として存在するものではないんでしょ?」
テスタ「いいえ、これは列記として存在した風景です」
レイン「存在した?、って事はつまり、今は存在してないって事?…」
テスタ「はい、マスターの察しの通り現在の世界には存在していません」
瞬間、レインの頭に浮かんでいた、密かな疑惑に色が増した。
レイン「…まさか…いや、僕だって違うとは思っているし、そんな事あるはずないけど、最後に1つ質問する、この白く漂ってるのは魔雲だったり・・・な、無いよね、ハハハ」
テスタ「マスターの推測で合っていますよ、正確には魔雲では無く、ただの雲ですが」
テスタの発言を聞いたレインの顔から余裕が消えた
レイン「テスタ、これは……ソラってことでいいんだよね……」
テスタ「………はい…」
レインの頭の中にあった、最も考えたくない疑惑が確信に変わった。
レイン「師匠の元で、あまづくりの修行をしてきた僕にはいやでも分かる……このソラの規模は、人に作り出せるものでは無い…」
レインには、この真実を知った事によりもう1つの疑惑が浮かんでいた
レイン「…ここまで来るときっとそうなんだろうけど、天気も本来魔法によって作るものでは無くて、予め当たり前の様に存在したものなんでしょ、」
テスタ「マスターの想像の通り、まさにその解釈で合っております……」
それを聞いて今の今まで必死に冷静を保っていたレインの精神が崩れ去った
レイン「クソッ!じゃあ何で!!今の世界はこんなになってるんだよ…世界中にソラを買う予算が無くて苦しんでいる人だって沢山…ねえ、テスタ…教えてよ…」
テスタ「…ここからがとても重要でこの世界の真実を知る部分になります、どうか冷静に聞いて下さい…」
テスタがそう言うと、モニターが切り替わり見知らぬおじいさんが映し出された。
おじいさん「やあ、突然知った世界の真実に打ちのめされてるであろう君に、更に過酷な現実を述べるのはあまりにも酷だという事を承知した上で先ずは謝罪と感謝の意を伝えたい、私は君にとって、本艦の先代マスターに当たるビステット コータスという者だ」
レイン「この人が先代のマスター…!」
コータス「先ず君に私の果たせなかった夢を押し付ける様な真似をしてしまった事を謝罪させて欲しい、そして同時に、ここまでして叶えたい夢が世界中の夢である事も理解してもらいたい。その上で更なる酷な事に変わりない世界の真実を君には知ってもらう必要がある、心して聞いて欲しい……この世界から始まりのソラが消えた理由について………」
レイン(…!)
レイン「世界のソラが…消えた理由…、」
コータス「君も無詠唱魔法師であるなら聞いた事はあると思うが、あまづくりを統一している組織アラルテラの事を…」
レイン「!?…まさか、ここでアラルテラの名前が出てくるという事は、始まりのソラが消えた理由となにか関係して……」
コータス「ここまで言うともう察したかもしれんが、この世界のソラが無いのには、その統一組織アラルテラが関わっている、」
レイン「ちょっと…待って…、それって……これから僕が敵対する相手がアラル…」
コータス「君の時代からずっと昔の世界に、デスターと呼ばれる非人道的な実験も厭わない科学者という存在がいた。デスターは物質が持つ意識についての研究をしている際にある概念の存在に気付いた……そう、自然魔法エネルギーという存在に…」
レイン「自然魔法エネルギーって僕や師匠、無詠唱魔法師の……!」
コータス「彼は、その魔力という存在に魅了され研究に没頭し続け、ついに、ある機械を完成させた…そしてその機械には世界に魔法概念を与える力が備わっていた、」
レイン「魔法を作った人!凄い人だその人」
コータス「しかし、その機械の動力の代償が問題だった…」
レイン「代償…もしかして…!」
コータス「そう、その代償とは、ソラと天候の概念を遮断する事、正確には取り込んだと言うべきか…」
レイン「それ、世界政府は知らないの!?」
レインは驚きのあまり録画記録を流しているモニターに向かって、質問を投げかけていた
コータス「彼はソラと天候を代償に、世界に魔法を齎した、そもそも人に魔法は使えないものなのだが、デスターの発明した機械によって自然魔法エネルギーの影響を少なからず受けた人間が子を産みまた更に世代を渡って自然魔法エネルギーが体に浸透していった、その結果、産まれたのが私達魔法師なのだ…これを知っているのは世界で私とただ1つ、そう、統一組織アラルテラだ」
レイン「まさか、それを知ってて今の飢えた世界に天候やソラを買わせてるって事!?」
コータス「彼らは魔法のない元の恵に満ちた世界を取り戻そうとする人々を徹底的に潰してまわった、突然だが、今のアラルテラのトップは誰か知ってるかな?」
レイン「確か、デラモッドって人だった気がする」
コータス「僕の時代のトップはバグロートって名前の人なんだけど」
レイン「それが、何か関係あるのかな…」
コータス「回りくどいからはっきり言うと、君の時代と僕の時代のトップ同一人物だよ」
レイン「えぇ!?だとしたら今何歳になるんだ?師匠の歳が76で……その師匠が……」
コータス「歳なんて計算しても分からないと思うよ、だって彼の本当の名前はデスター・ルビッチ、魔法作った張本人だからね」
レイン「どういう事だよそれ?!」
レインの頭は情報量の嵐に見舞われ混乱していた。
コータス「彼はね、永遠の命を手に入れる為に、自分を魔法エネルギー発生マシンの核に移植した、そして、世界から魔法が消えれば勿論、彼もこの世から消える……彼らアラルテラがここまで人を苦しめても魔法の概念を守る理由もう君には分かっただろ?」
レイン「もし、そうだとしたら自分の欲の為に何人の人を苦しめてるんだよ!!」
コータス「君のすべき事は、分かったかな?そして君のその怒りが、幸せに満ちた世界をつくるきっかけになる事を祈ってる、僕の代で果たせなかった夢も君なら果たしてくれるとはずさ、勝手ながらに期待させてくれ」
そう言うと、先代のマスターコータスはモニターから消えていった。
レインは沈黙していた。
テスタ「マスター……」
レイン「…………あ、心配なら要らないよ!覚悟は、出来てるから、となると先ず僕1人じゃ成し遂げるの難しそうだな…」
テスタ「仲間を集める旅に出るのはどうでしょうか?」
レイン「ほう、仲間か…」
ルルハ「仲間がどうしたんだ?」
レイン「ル、ルルハァ!?」
ルルハ「ウッシッシィ仲間なら、ここに居るだろ」
レイン「ルルハもしかして聞いてたの!?」
テスタ「はい、始まりソラが消えた理由辺りから後方の扉越しに盗み聞きされてました」
ルルハ「にゃ!バレてる!?」
レイン「アレだけ秘密だって言ってたのに…トホホ……」
ルルハ「だって、思ってたより遅くて、ついへへッ」
レイン「ヘヘッ、じゃないから……もうどうすんの?これ知ってると命狙われるかもしれないんだよ?」
ルルハ「あ?何言ってるんだ?それはレインだって同じだろ?」
レイン「ははは、確かに…」
レイン(僕は覚悟決めるのあんなに苦労したのにルルハ簡単に覚悟決めてる)
ルルハ「私はレインに命救われた時から覚悟なんてもう決めてんだ、いいかレイン!」
レイン「は、はい!」
ルルハ「私を絶対1人にするなよ!いつでも一緒だからな!シシッ」
レイン(何か僕ルルハに救われて馬鹿りだな)
そうしてレイン達はルルハの妹の救命を急ぎつつ、本来の世界を取り戻す為、更なる仲間を求め旅に出るのであった
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