その筏は大要塞?
とある港で……
不動無反応の絶対的なレッテルが貼られている謎の魔道具を全神経を注ぎ起動させんとする男が居た!
そのにあるのは、
凄まじいまでの熱気!
レイン「はぁぁぁぁぁぁ!!!」
レインはかつての大魔法師が愛用していたという魔道具に自分に出来る精一杯の自然魔法エネルギーを注ぎ込んでいた
すると、エネルギーに反応した魔道具がみるみると大きくなって立派な筏になった
ガタガタガタガタッ ボンッ!
レイン「で、出来た!やっぱり思った通りだよ!」
ルルハ「すげぇぇー、あんなに小さかったのにこんな大きな筏になりやがった!でも…」
レイン「でも、どうしたの?」
ルルハは珍しく申し訳なさそうな顔で言った
ルルハ「私、筏みたいな不安定な船乗れねぇよ…」
レイン「そこは我慢し……ん?ちょっと待って、この筏…よく見たら妙だ……」
大きくなったその筏の中心には謎の蓋が付いている。
レインは蓋を開けてみることにした。
レイン「よいっしょ!」
ゴゴゴ ドンッ
レイン「わぁっ!」
蓋は勢いよく開いた。
ルルハ「これって……」
その筏の蓋のそこには穴こそ空いてなかったがただ筏の面が奇妙に隠されていただけだった。
レイン「こんなのって……」
レインはがっかりしながらもまだ解けてない魔道具の謎がある気がしてならなかった。
レイン(大魔法師の魔道具がこんな中途半端って事は無いはずなんだけど……考え過ぎかな…)
その時、ルルハが筏の蓋底の面に何かを見付けた。
ルルハ「これって……何かの、印?」
レイン「なんだって!?それ見せてっ!」
レイン(こ、これは……!)
そこには薄らとしているがとても複雑な魔法印が何重にも刻まれていた。
レイン「この魔法印、僕の作ったものと基礎はそっくりだ……そしてこの印まだ発動していない……という事はだ…」
ルルハ「レイン、私にも分かるように言ってくれ!」
レイン「要するにこの筏はまだ完成してないって事だよ、希望が見えてきた!」
レインはすぐさまその魔法印の解読を進めた
ルルハ「よっこらせ!」
てくてくてく……
レイン(この魔法印、基礎が僕の自立稼動型魔法でも使った自然魔法エネルギーを自動で供給し続ける仕組みがつかわれている……でも大地エネルギーを対象とした印ではな…)
ルルハ「おりゃァ!」
レイン「うわぁっ、何してんだぁ!!」
ザブーーンッ
ルルハは筏の上で印の解読に集中していたレインごと海へ投げ入れた。
ルルハ「重いもの運ぶのは任せてよ!」
レイン「こらぁ!下手したら事故になるとこだったぞ!」
その時、ルルハが何かに気付く
ルルハ「レイン!ふたっフタがっ!」
レイン「フタ?え、…な、なんじゃこれぇ!?」
さっきまで印だけで何も無かった蓋のそこにはとても長い階段が続いていた。
レイン「もしかして、ルルハ!でかした!大手柄だよ、この筏の自動供給エネルギーは海の自然魔法エネルギーだったんだ!」
ルルハ「んーー…よく分かんないけど、なんかスゲェや!」
ルルハは海に浮かぶその筏に恐る恐る飛び乗ると、レインと一緒に魔法によって作られたものだと思われる謎の空間へ入っていった。
トン トン トン トン
レイン「この階段といい、これは多分………師匠から聞いた事があるあの空間古代魔法ってやつだと思う。それにしてもここまで広いとは……」
ルルハ「あっ、あそこ、扉がある!きっとこの奥に部屋があるんだよ!」
しかしその扉は電子式の扉に見える。
レイン「これ電子式だよね……でもそもそもここ電気なんて通ってるのかな?」
ルルハ「なら、こじ開けるしかないねっ!」
そう言うとルルハは拳を振りかぶった。
レイン「ちょっと待ってルルハっ!そんな事したらっ!」
ルルハ「おーりゃぁぁ!!」
ドーーーン
ルルハ「い、い、いってぇぇぇ!!!」
レインは扉を見て驚いた。
その扉は傷1つ付いていなかったのだ!
レイン(あの怪力男べーペックを上回る怪力のルルハが傷1つ付けられないなんて、どんな素材で出来てるんだこの扉……)
レインは扉を調べる為に扉の前に立った。
その瞬間、
機械音 ピッ ファーーン
レイン達「わ!なんだこの光!」
機械の声「スキャン完了、来訪者2名確認、その中1名本艦のマスターとしての適合を確認、本艦マスターとして登録完了しました」
レイン「この声何処から!?適合?マスター?なんの事だ?」
ルルハ「おぉ!なんか最先端って感じがしてワクワクするなぁ〜レイン!」
機械の声「マスターの名前を登録します、 新規のマスター名、レイン様、登録完了しました」
レイン「な、勝手に!そもそも誰の声なんだよこれ」
機械の声「マスターレイン、申し遅れました私は本艦の核であり何万もの魔法印によって作られた自立式人工知能魔法、《テスタ》と申します」
レイン「ま、魔法って……話せるの!?」
テスタ「マスターレイン、隣の方は搭乗メンバーとして登録なさいますでしょうか?」
レイン「それよりテスタって呼んだら良いのかな?あの、僕の事をマスターって呼んでるけど、なんでなの?」
テスタ「マスター、無詠唱魔法師ですよね」
レイン (!?)
レイン「な、なんでそれを?!」
テスタ「警戒しないで下さい、私の前の主人もそうでしたから…」
レイン「前の主人って……」
テスタ「はい、彼は無詠唱魔法印師にして魔法印開発の第一人者、私を作ったのもその方です」
ルルハ「前の持ち主とんでもない人じゃん」
レイン「人がここまで複雑な魔法印を作れるのか?!」
テスタ「マスターは反応から推測するに既にこの魔法印の基礎をご存知のようですね」
レイン「この魔法印の型は規模こそずっと小さいけど、最近自分で考えて編み出したばかりの印型なんだよ」
レイン(くぅーーーー、自分が世界で初めてカラクリ式魔法印作ったものだと思ってたのに、なんか落ち込む……トホホ…)
テスタ「なんと、マスターがご自分で!先代のマスター様の他にコレを編み出せた人間がいたというのは驚きです!」
レイン「でも、先に作ってた人が居たなんてな……」
テスタ「確かに先にこの仕組みを考えて作ったのは前の主人様です、しかし前の主人様がカラクリ式の自立型魔法印に辿り着いたのは50歳過ぎてからなのですよ」
レイン「50歳で辿り着いたのか………逆にそんな歳で見付けたのにその歳からここまで複雑な魔法印を完成させてみせるなんて、ますます才能に差を感じるよ……」
ルルハ「なんか、湿気てないか、レイン…」
テスタ「マスターはもっと自分に自信を持つべきです、それに先代のマスターは貴方に期待しているようですよ」
レイン「それは、どういう?」
テスタ「それを説明するにはまず、艦内に入ってもらう必要がありますのでどうぞお入りください」
ウィーーーン プシューー
ルルハ(うわぁ~𓈒𓂂𓇬⟡.·*.)
その光景にルルハは目を輝かせた
レイン「え、これって…本当に魔法なの?」
レインは目の前の魔法空間にそこにある現実を疑った
ルルハ「夢みたいだよ!この中まるで要塞の中みたいだ!」
その空間は想像を遥かに超える広さ、
そう、まさに一言で言うと《要塞》、
しかもそれはかなり大きめの要塞って感じ
レイン「へ〜、古代魔法って本当に凄いんだね、師匠から存在は聞いてはいたけどここまでとは知らなかった。それに見た事ない印も沢山刻まれてるし…」
テスタ「はて、マスターの師匠とは何者なのですか?」
ルルハ「お!それ私も気になる!」
レイン「僕の師匠は元伝説のあまづくりで、名前はバハドーラドックスって言うんだけど伝説ってぐらいだし、もしかしてルルハ知ってたりする?」
ルルハ「な、な、なんだってぇぇ!?そ、その人って私とマイユが捜してた人だよ!」
レイン「えぇ!?そうだったの!?仙人って言ってたからてっきり別人かと思ってた…」
テスタ「バハドーラ、あ、思い出しました。あのひねくれ小僧ですか…」
レイン「えぇ!ひねくれ小僧って、テスタ、師匠のこと知ってるの?」
テスタ「知ってますよ、なんたって先代のマスターの2番弟子ですからね、」
レイン「ま、まさかのそんな繋がりが……」
テスタ「マスターが無詠唱魔法を扱える理由がやっと分かりました」
レイン「師匠ったらなんも言ってくれないんだから……」
テスタ「でも驚きましたよ、覚えも悪く魔法の才能も乏しかったあの子が、ここまでの無詠唱魔法師を育て上げるとは」
ルルハ「覚え悪いとか才能無いとか散々な言いようだな…」
するとレインが歩くのを止めた
レイン「……師匠は凄い人ですよ、あの人の周りは自然と空気が温かくなるというか、幼い頃スラムで死にそうになっていた僕を優しく包んでくれたのも他の誰でもない師匠で、僕の唯一の居場所でした。魔法だけでは全く測りきれない力を持ってる師匠はいつになっても僕の目標で夢なんです!」
テスタ「…マスターの知る師匠の姿からは信じられないかもしれないですが、幼い頃の彼は捻くれ者な性格で、誰にも相手にされず、独りぼっちでいる事がよくありました」
レイン「し、師匠が?!でも、どうしてあの優しい師匠が捻くれ者だったんだろう?」
テスタ「彼は孤児でした、」
レイン(!…)
テスタ「彼の親はまだ幼い赤子の頃に彼を置いて何処かに行ってしまい、置き去りになっている所を見付けた郵便配達員から報告を受け施設に入れられました」
レイン「師匠も…孤児、だったんだ…」
テスタ「彼はその後5歳まで施設で育ちました、先代のマスターが彼を引き取ったのもその頃です。引き取った頃の彼は誰も信じられない世の中を恨む様な目をしていました」
レイン「今の師匠からは考えられないよ…」
テスタ「ですが、もう彼は出会えたみたいですね」
レイン「出会えたって…、なんですか?」
テスタ「彼は世界を知りこの世の中に絶望していた時に現在のマスター、そう、レイン様貴方に出会った」
レイン「僕?」
テスタ「彼はこの世の中に押し潰されて孤独にも倒れてしまっていた貴方が自分の幼少期と重なったのでしょう。マスターは先程、師匠が唯一の居場所だと言ってましたが、逆もしかりだったのではないでしょうか。彼にとってレイン様は居場所であり、また今の人柄を作った師匠でもある。彼とマスターは互に居場所であり弟子であり師匠だった」
その話を聞いていたレインの顔は気が付くと涙に溢れていた。
レイン「ボク…師匠の事、前より分かった気がするよ…ありがとう、テスタ」
グスンッ(鼻をすする音)
レイン「ん?…ルルハ、何そっぽ向いて歩いてるの?もしかして泣い…」
ルルハ「…て無いっ!けど!鼻かみたいからティッシュくれ」
レイン「アハハハ、この艦内にティッシュあるといいけど……ルルハは良い奴だね」
ルルハ「だ、だから!泣いてないって!」
テスタ「お二人様、共に仲が良くて大変宜しいですね」
そんな話しをしながら、テスタの言う目的の部屋に向かった。
スタ スタ スタ スタ…
レイン「ねぇテスタ、先代のマスターが僕に期待してるとかいう話の意味を教える為には今向かってるその部屋でしか出来ないの?流石に遠過ぎる、てか広すぎるよ!」
テスタ「はい、その部屋でしか出来ません。マスターにはあるものを観てもらう必要があるので、」
レイン「観てもらう?…」
テスタ「あ、マスター、その道は右です」
レイン「お、おう…」
テスタ「そろそろ、目的の部屋の扉が見えるはずです、」
ルルハ「お!アレじゃないか?あのピンク色と青色の…」
レイン(げっ、どんな色の扉だよ……まるで養育施設によくある感じのセンス……)
レイン「あれ?でも部屋に入るって言っても僕達は鍵なんて持ってないよ」
テスタ「あのドアは自動開閉式ですので安心下さい」
ルルハ「よっしゃ!じゃあ一番乗りぃ!!」
スタタタタタッ
ルルハは扉に向かって勢いよく走っていった
レイン「ルルハー、あんまり艦内で走るなよぉー」
そしてやはりルルハは期待を裏切らない、
ドーーーンッ
ルルハは見事なまでに派手な突撃をかましてみせた
ルルハ「イチチチチチーーッ、ぜ、全然開かねぇじゃねぇかよ!」
レインは学習しないルルハに呆れつつ、扉に衝突したルルハの元に駆けつけた
レイン「ルルハ、今のは流石に痛かったろ、ぶつけたとこ大丈夫?」
ルルハ「痛いけど、血は出てないから……」
ウィーーーン
ルルハ「な、なんで今開くんだよ!」
テスタ「この扉は自動開閉式ですが、あくまで無詠唱魔法師で且つ、本艦のプログラムに登録された方のみに反応します」
ルルハ「さ、先に言えってんだっ!!」
レイン「ってんだってオヤジかよ……」
テスタ「フッ」
レイン「ん?今、テスタ笑わなかった?ねぇあのもしかしてだけどテスタ?ルルハで遊んでないか?」
テスタ「・・・・・・・」
レイン(こーーの 自立型知能魔法 都合が悪くなったからって(黙)決め込みやがった人に作られた自立型知能魔法のくせにもしかして性格悪いのか?)
レイン「テスタ!マスターとして命令する、ルルハの事も僕と同等に扱う事!いいね!」
テスタ「はぁ…了解しました」
ルルハ「いや、ため息つくなよっ!」
レイン「まぁ、とにかくメインルーム入って話そう」
レイン達はメインルームの中に入った
レイン「へー、さっきまでの広間と比べたらずっと小さいけど、何かとてもメカメカしい部屋だね」
ルルハ「カックイイィーーー!」
わぁぁぁ⟡.·*.
レイン「変なとこ触るなよー爆発するぞー」
ルルハ「うわぁ!?そうなのか!?危ねぇー、でもセーフ…」
レイン「早速何かする気だったのかよ……」
タッタッタッタッ ウィーーーン
レイン(何故か突然勝手にメインルーム出ていったよく分からないルルハの行動はさて置き、この部屋の真ん中のこの黒い板はなんだろう?)
テスタ「その黒い板はですね、モニターと言ってここから外を見ることが出来ます」
レイン(な、なんかテスタさん心読まれていらっしゃらない?)
レイン「へ、へーー、そんな事が出来るのか!やっぱり古代魔法って凄いんだなぁ」
タッタッタッタッ ウィーーーン
ドンッ
レイン「ルルハ、戻って来たと思ったら何して…え、なんでソファもって来たの?」
ルルハ「何か足疲れたしこの部屋機械ばっかりで座る場所無かったから隣の部屋から持ってきた!」
レイン「よいっしょぉ、ルルハっ!勝手な事したらダメだよ!ここまだ何があるか分からないんだから!」
ルルハ「………って、がっつり座って寛ぎながら叱るなよ!発言に対して体から正直過ぎるよレイン!」
レイン(ふぅ、悪くない…⟡.·*.✧)
テスタ「……マスター」
テスタ(全く、やれやれです…)
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