第14話 洞窟
マサは祖父の家での不思議な出来事が頭から離れず、その秘密を解き明かすために再び庭へ向かう決意を固めた。しかし、友人たちとの時間も大切にしていた彼は、その前に仕事のボーナスが出たこともあり、軽くリフレッシュしようと考えた。
週末、マサは仲間たちと一緒に、街で開催されている夏祭りに出かけることにした。祭りでは様々な屋台が並び、特にカンフーのデモンストレーションが目を引いていた。マサは興味をそそられ、フードを被ったカンフーの達人が華麗な技を披露する様子を見ながら、焼きとうもろこしやスイカのスライスを楽しんだ。
その夜、祭りの帰りにマサたちは、屋台でお金を使いすぎたため、少し予算オーバーになってしまった。彼らは笑いながら、「次のボーナスが出たらツケを払うよ」と冗談を言い合ったが、マサはその場を和ませるために、古びた居酒屋でツケを立て替えた。
祭りの後、マサは再び祖父の家へと足を運んだ。月が昇る頃、庭の奥へと進んでいくと、前回見つけたキノコの近くに隠された小さな洞窟を発見した。洞窟の入口には、ゲームの「クリボー」に似た小さな石像が置かれており、マサはそれが何を意味するのか考えながら、慎重に中へと入った。
洞窟の中は暗く、湿気が漂っていたが、マサは持ってきた懐中電灯を頼りに進んでいった。すると、洞窟の奥には、祖父が残したと思われる古びた箱が置かれていた。箱の中には古い書物や記録、そして一枚の地図が入っていた。地図には、庭やその周辺の地域が描かれており、いくつかの印がつけられていた。
マサはその地図を手に取り、何か重要な手がかりを得たような気がした。祖父が遺したものは、単なる伝説や迷信ではなく、何か実際に存在する秘密が隠されているのかもしれない。彼はこの地図を元に、さらに深く祖父の謎を解き明かそうと心に決めた。
マサは洞窟探検を続けている途中、薄暗い奥の方で迷子になっている女性を見つけた。彼女の名前はアリス。見た目はあまり整っていないが、困った様子で必死に出口を探しているのが印象的だった。
「大丈夫ですか?」とマサは声をかけた。
アリスは驚きながらも、助けの手を差し伸べられることにほっとした様子で、彼に事情を説明した。「実は、探検している途中で道に迷ってしまったんです。助けていただけますか?」
マサはアリスの頼みに応じて、彼女を洞窟の出口まで案内することに決めた。洞窟内の道を共に進みながら、二人は自然と会話を始めた。アリスの話には洞窟探検への情熱や、自分の趣味についての興味深い話が含まれており、マサは彼女の真剣さや熱意に感心した。
出口が見えてきた時、アリスは感謝の意を示し、持っていた軽食をマサに渡してくれた。「これ、少しですがお礼です」と言いながら、彼女は微笑んだ。
マサはその笑顔に優しさを感じ、「こんなことができて良かったです。困った時に助け合うのが大切だと思います」と答えた。
休憩の際に、二人はお互いの趣味や経験について語り合い、洞窟内の神秘的な雰囲気の中で信頼を築いた。アリスの見た目に対する先入観を超えて、マサは彼女の内面的な魅力に触れることができた。
洞窟を後にして外に出ると、月明かりが庭を照らしていた。マサは静かに深呼吸をし、今後の調査に向けて心を落ち着けた。その夜、彼は洞窟で見つけた地図を元に、次のステップを考え始めるのだった。
洞窟での出来事から数日が経った。アリスはマサとの再会を願いながら、彼に感謝の気持ちを伝えたくて仕方がなかった。しかし、マサにどうやって気持ちを伝えるべきか、迷っていた。
アリスは日々の生活の中で、マサとの出会いを思い返し、彼に対する気持ちが日に日に強くなっていった。彼の親切さや洞窟内での会話が、心に深く刻まれていた。
一方、マサはアリスに対して特別な感情を抱くことはなかったが、彼女の真剣さと純粋さに感心していた。アリスが彼に対してどう思っているのかは気になっていたが、彼女の気持ちを確かめる勇気はなかなか持てなかった。
ある日、アリスは再びマサに会う機会を得た。カフェで偶然の再会を果たし、二人はお互いにほっとした表情を見せた。アリスは心の中で何度も練習した言葉を口にしようとしたが、どうしてもその勇気が出なかった。
「お久しぶりです、マサさん。どうしてるかなって、ずっと気になっていました」とアリスは言った。
マサは笑顔で応じ、「こちらこそ、再会できて嬉しいです。最近はどうですか?」
アリスは返事に困りながらも、「まあ、普通です。でも、あなたに会えて良かったです」と言った。その言葉には、彼に対する特別な感情が込められていたが、マサはそれに気づかなかった。
会話の中で、アリスは何度もマサに自分の気持ちを伝えようとしたが、結局言葉が出ず、心の中に秘めたままで終わってしまった。彼女の真剣な気持ちは、なかなかマサに届かなかった。
それでも、アリスは諦めずにマサとの関係を深めようと努力を続けた。彼女の心の中には、マサへの思いが確かに存在し、いつかその気持ちが伝わることを信じていた。
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