第13話 祖父のメッセージ

 久里浜での不気味な体験から数日後、マサは少し気分転換が必要だと感じていた。彼は友人たちを誘い、地元の商店街にある人気の串カツ屋へ向かうことにした。串カツを楽しみながら、彼らは店内に置かれた「ワニワニパニック」のゲーム機で遊ぶことにした。童心に帰って、皆で盛り上がりながらストレスを発散していた。


 その夜、マサは帰宅後に部屋でリラックスしていた。月明かりが窓から差し込む中、彼はふと、古びた留守番電話に目を留めた。何年も前に使われなくなったそれが、妙に気になった。好奇心に駆られて再生ボタンを押すと、かすかに聞こえる声が流れてきた。その声はどうやら、自分の祖父からのメッセージだったらしい。祖父はもう亡くなっていたが、彼の声は鮮明に残っていた。「裏庭のキノコには気をつけろ」と言っていた。


 そのメッセージに興味を抱いたマサは、翌朝早く祖父の家を訪れることにした。祖父の家は今ではほとんど訪れる人もなく、古びた庭が広がっていた。庭に入ると、あちこちに異様に大きなキノコが生えているのが目についた。マサはそれをじっくりと観察しようと近づいたが、足元に小さな影が動いたのに気づいた。


 その影を追っていくと、なんと小さな人型の生き物が草むらの中に隠れているのを発見した。まるで昔話に登場するコロボックルのような姿をしていた。驚いたマサは、思わず後ずさりしたが、彼らは何も言わずに、静かに庭の奥へと姿を消した。


 その晩、マサは再び月を眺めながら、庭で見た不思議な生物について考えていた。もしかしたら祖父は、あのキノコやコロボックルたちが何かを守っていたのではないかと考えたのだ。


 その時、マサの目に庭の片隅に咲く一輪の菊が映った。祖父が大切に育てていたもので、まるで月光に照らされて輝いているかのようだった。マサはその菊の前で祖父に静かに手を合わせ、何かが自分に受け継がれているような不思議な感覚に包まれた。


 翌朝、串カツ屋での話題は再び、祖父の家での奇妙な出来事になった。マサは友人たちに、留守番電話に残されたメッセージや、庭で見たコロボックルたちについて話し、自分が見つけたキノコのことも詳しく説明した。友人たちは信じられないような顔をしながらも、興味津々でその話を聞いていた。


 一日の終わりに、マサはふと、再び月が昇る夜に庭へ行ってみることを決意した。そして今度こそ、祖父の遺した秘密に近づくことを心に誓った。

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