117話 メスガキの怨念を感じる呪いの杖は幼女に引き渡したい。呪い殺されたくありませんし

 

 「実椿ちゃん、武器は何を持ってるのかしら」


 強くなりたいと、実椿ちゃんが意気込むも、実椿ちゃんの武器は短刀しか見た事がない。


 幼女アバターなら、短刀やナイフでの必殺、クリティカル補正に特化した戦い方というのも、

どんなゲームだろうと基本の一つです。


 けれど、実椿ちゃんに短刀を向けられたとき、短刀の扱いが上手いようには見えませんでした。


 「拾った短刀だけなの」


 「その短刀、拾ったやつなのね」


 「村でお菓子やジュースに使ってしまって」

 「武器を買うお金がなくて困ってたら」

 「落ちてたから拾ったの」


 「そうなのね」

 「お菓子の食べ過ぎジュースの飲みすぎには気をつけましょうね」

 

 「実椿ちゃんの事を頼りにするにあたってね」

 「その短刀、実椿ちゃん使いこなせてなかったから」

 「この杖、使ってくれないかしら」


 メルメちゃんの遺品の杖を出す。


 「メスっ!」

 「その杖は、メスガキの使ってた杖なの!」


 見た目は、ただの初心者魔法使い用の杖にしか見えません。

 群衆に囲まれてた時も、初心者用の装備を扱ってる店でも、

こんな見た目の杖は目にしてきました。


 けれど、実椿ちゃんは分かるようです。

 

 「分かるのね」


 「分かるの」

 「悪党、メスガキの杖、実椿が使っていいのなの」


 「ええ」

 「実椿ちゃんに使って欲しいの」

 

 「メルメちゃんも、私に持っていられるより」

 「実椿ちゃんに使ってもらった方が嬉しいでしょう」

 

 「私が持ってたら、呪い殺されるかもしれないし」


 そこは、ぼそっと言っておきました。

 メルメちゃんの怨念を、杖から感じ取っていました。


 でもまぁ、実椿ちゃんなら呪われる事はないでしょう。

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