118話 メスガキの杖は呪われていた


  「分かったの」

 「これで、悪党を殺せばいいの」

 

 分かってませんね、これ。


 「ぷるぷる」

 「呪いを感じるの」


 私への呪いを、怨念を、実椿ちゃんが感じ取ってるのでしょうか。


  「ひぃぃ」

 「この杖、呪われてるわぁ」

 

 実椿ちゃんを小脇に抱えている小羽玖ちゃんも、呪いを感じ取れるらしい。


  「メルメちゃん、貴女が殺したいのは私でしょう」


 「ぷるぷる」

 「メスガキの呪いは」

 「怨念は」

 「実椿達にも向けられてるの」


 「ひぃぃ」

 「私にも実椿ちゃんにも、呪いが向けられてるわ」

 

 無差別に呪いを向ければ、それはもう悪霊です。


 「メルメちゃん、やめなさい」

 「無差別に呪いを向ければ、それはもう悪霊よ」

 「私は、メルメちゃんに悪霊になんてなって欲しくないわ」


 そんな言葉を言っても、やはり意味はありません。

 メルメちゃんはもう死んだのですから。


 生前の呪いや憎しみが、この杖に残っているだけかもしれません。

 それなら、どんな言葉をかけてもなんの意味もないでしょう。


 「ひぃぃ」

 「メルメちゃん、そんな呪われた杖は」

 「早く変態レズ月恵にぽいしちゃおうよ」


 「小羽玖ちゃんの言う通りね」

 「その杖は、やはり私が持っておくわ」


 「ぷるぷる」

 「だめなの」

 「メスガキの杖は呪われてるから」

 「もう装備解除できないの」


 「困ったわね」

 「魔道具やとか骨董品屋みたいな所で呪いを解除すればいいのかしら」

 「レベル2とレベル1の私達に、呪われた武器の解除なんてできないわよ」

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