105話


  「小羽玖、泣いてる気の利くおじさんは放っておいて」

 「実椿はぐんぐんみるこを飲むの」


 「それもそうね」

 「泣いてるおじさんの事は放っておきましょう」


 私も、実椿ちゃんも、小羽玖ちゃんも、泣いてるおじさんの事を放っていてます。


 泣いてるおじさんの事は、環希ちゃんに任せるとしましょう。

 さっきからずっと黙ってますし、それぐらいはしてもらいましょう。


 「環希ちゃん、ずっと黙ってないで」

 「泣いてるおじさんの相手でもしてあげなさいよ」

 「おじさんってのはね」

 「相手をしてあげないと寂しい生き物なんだから」


 「ん、ああ」

 

 黙っていた環希ちゃんから返事はありました。


 「Sparkingはあるか」


 黙っていた事を、考えていた事をごまかすように話を持ち出しましたね。


 「あるんじゃないの」

 「私達を待ってたんだから」

 「貴女がSparkingを好きなのなら用意されてあるでしょう」


 環希ちゃんは、炭酸飲料のSparkingが好きなようです。

 ジュースといえば、Sparkingというように、ジュースの代名詞とも呼ぶべきようなしゅわしゅわする炭酸飲料です。

 アメリカで自由の女神が建った1886年に誕生した甘いしゅわしゅわした飲み物です。

 前世の記憶はありませんが、それぐらいの常識は残っていたようです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る