97話 200Cしかなかったはずのに、歩いてるだけで537Cになってるんですが


  「いらっしゃい」


 宿屋の人間らしい男性の声が聴こえてくる。


 所持カッパーは200だったはず。

 アメリカンコーヒー一杯で50Cだった事を考えると、宿屋のカッパーはたりるかしら。

 ウィンドウ画面を見ると、537Cになっていた。

 ん?なぜでしょうか。おかしいですね。

 500カッパーもあるはずないのに。

 まぁ、これはゲームですからね。

 さっき、実椿ちゃんが言ってたように、歩行ボーナスやら移動ボーナスで所持カッパーが勝手に増えてるのかもしれません。


 500Cあれば、宿屋に泊まるぐらいできるでしょう。


 「悪党、何してるの」

 「このままじゃ実椿が茹で幼女になってしまうの」


 「それは大変ね」


 私も、実椿ちゃんを小脇に抱えたまま、宿屋に入る。


 「!貴女は」


 「待っていたよ」

 「本当に来るとは思っていなかったがね」


 宿屋の店主のようなおじさんが、突然私を待っていたような事を言う。

 全プレイヤーに、こういうイベントが起きるんでしょうか。

 この宿屋のおじさんは、どう考えても、NPCですよね。

 今、こんな宿屋を経営できる資金も、この宿屋を建てるだけの資金もなければ、

自分で建築するスキルも持ち合わせているはずがない。


 「ひぃぃ」

 「私には普通にいらっしゃいだったのに」

 「変態レズには待遇が違うわ」

 「きっと、この宿屋は変態レズのパーティが開かれる宿屋なのよ」

 「ひぃぃ」

 「怖いわ怖いわ」

 「変態レズパーティーなんて、いったい何が行われるのかしら」

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