90話 やれやれ、私はこのゲームをクリアする一人らしいです。


  「そりゃ、てめぇは主人公格の魂だぜ」

 「けどな」

 「転生・転移の際には、英雄度の高い者程、記憶を失って転生するんだぞ」

 「てめぇが記憶を失ってるってのもまぁ」

 「むかつくが、通る話だ」


 「ふふふ」

 「それが、月恵ちゃんが特別な存在で主人公である理由よ」

 「私は、英雄かしら」


 「!そうか、そうだよな」

 「てめぇは英雄なんてもんにはほど遠い」

 

 「ぷる」

 「悪党なの」


 「ひぃぃ」

 「上林月恵は変態レズだもの」


 「けれど、特別」

 「環希ちゃんの言うように」

 「繋がっている」

 「英雄達とも」

 「水守とも端守とも」

 「天水島とも」

 「それが、彼らに殺されるという繋がり方でもね」


 「今はてめぇに対する色々も抜きだ」

 「教えてくれ」

 「こんな人殺しのクソゲーなんて終わらせてくれ」


 「あらあら」

 「終わらせる方法を教えるだけでなく」

 「終わらせてくれ、ですか」


 「くっ」

 「仕方ねぇだろ」

 「私達はノーネームNPCに名前をつけただけの」

 「準NPC」

 「まっ、NPCみたいなもんだ」

 「私達に、このゲームはクリアできない」


 「それと違って、てめぇはこのゲームをクリアする一人だよ」

 「上林月恵」


 やれやれ、私はこのゲームをクリアする一人らしいです。

 ま、言われなくても分かりますけどね、そんな事。

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