84話 フルログインなんで、規生君のレベルアップだけは早いです


  「てめぇは、規生を殺せるか」


 「無理ね」


 「私がLV9999でも、規生君は殺せないわ」


 「てめぇ」

 「どれだけ殺してきたと思ってんだよ」

 「今更、あんないかれた射野郎一人殺せないっていうのかよ」


 「仲間殺しはよくないわ」

 「なんだか、そんな記憶が、後悔があるの」

 

 「ちっ」

 「やっぱりてめぇはどうしようもないぐらいに」

 「上林月恵だよ」


 「それに、私達も敵を傷つける事を戸惑っている余裕はないのよ」


 「もう、私達は動き出してしまったもの」

 「私を追っていた者は、こちらの戦力が5人になった事で」

 「一旦は引いてるようだけれど」

 「私が、彼らが、貴女達が、上林月恵だと思ってるように」

 「その思考が確定していっている」

 「私は、上林月恵だと認識されてきている」

 「向こうも、もっと集団で、本気に潰しにくるわ」

 「やるしかないじゃない」


 「そうかよ」

 

 環希ちゃんは、考えている。


 【射が止まらない男性はLV4になりました】 


 「レベルアップ、早くない?」


 「ちょっとまてや」

 「私が考えてる間にも、射っていって、レベルアップしてんのかよ」


 【ますます射を止めない男性はLV5になりました】


 「ひぃぃぃ」

 「もう止まらないわ」


 「ぷるぷる」

 「このペースのレベルアップは、モンスターじゃなくプレイヤーキルなの」


 実椿ちゃんが言うように、この速度でのレベルアップは、モンスターを殺してできるものではない。

 常識として、MMORPGで高速レベルアップしようとするなら、最速はプレイヤーキルだ。

 モンスターを殺すのは、予想外の行動は少ないが、得られる経験値も低い。

 プレイヤーキルは、予想通りにいくものでもないし、自分よりレベルが低い相手でも、そう一筋縄にいくものではない。

 MMORPGによって、カルマや犯罪歴等が設定されている場合も多い。

 恨みも買うし、正々堂々たる決闘でも遺恨が残る事も多い。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る