第71話 だから、これは正当防衛だって言ってるじゃないですか!決してやましい気持ちとかありませんよ



  「そんなに震えてどうしたのかしら幼女ちゃん」

 ちなみに、私は幼女が好きです。

 幼女には優しくする方だと自負しています。

 

 「上林月恵が怖くて震えてるの」


 「あらそう、ならもう大丈夫よ」


 「私が、貴女が追っかけていた上林月恵よ」


 「ぷるぷるぷるぷる」


 幼女は、ぷるぷる言いながら、更に震えています。

あぁ、ぷるぷる言いながらぷるぷる震えている幼女は可愛いですね。


 「実椿(みつば)ね悪党の上林が怖くて、ぷるぷる震えてるの」

 「悪党を殺さないといけないのに」


 やれやれ、実椿ちゃんも、私を悪党呼ばわりですか。

 私は悪党なんかじゃないんですけどね。


 「私は上林月恵だけれど、悪党じゃないから」

 「殺さなくていいのよ」


 「だめなの、殺さなきゃだめなの悪党を」


 実椿ちゃんは、短刀を抜いてもまだ、ぷるぷる震えている。


 「実椿ちゃん、短刀なんて出したら危ないわよ」

 「短刀でぶすっと刺すとね、自分の手が切れちゃうのよ」

 「さっ、危ないからしまいなさい」


 姿勢を低くし、実椿ちゃんに近づきます。


 「ぷるぷるぷる」


 実椿ちゃんが、ぷるぷるぷると言いながら、短刀を持って、私に突進してきます。

 やれやれ、危ないって言ってるでしょうに。

 実椿ちゃんの足を払い、地面に倒れさせる。


 「ほら、危ないって言ったでしょう」

 「ころんじゃったじゃないの」

 仰向けに倒れた実椿ちゃんを抱え、手を振り上げる。 

 これ、正当防衛ですよね。

 決して、やましい気持ちとかありませんよ。

 だって、現実世界なら、ただの幼女かもしれませんけど、ここはVRMMORPGのエタファンの中ですから。

 強さは、見た目に関わらず、対等な存在のはずです。

 幼女キャラなら、そりゃあ力のステータスは低いでしょうが、その分、MGPのステータスが高く設定されていたり。

 何かのステータスや魔法、スキルが特化していたりするものです。

 だから、見た目がいくら幼女であろうとも、油断はできないのです。

 だから、少しぐらい痛い目に合わせておかないと、まだ実椿ちゃんは私に攻撃を仕掛けてくるでしょう。

 だから、これは正当防衛だって言ってるじゃないですか!

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