第70話「そこらの茂みに隠れてはぁはぁしてたらHPも怪我も自動回復していくでしょうよフルダイブ型VRMMORPGなんだから」


  私はぱんつを履き直し、着ている服を破り、環希ちゃんの止血に移りました。


 「てめぇ、記憶ないとかいっといて」

 「止血の知識はあるんじゃねぇか」


 止血行為を環希ちゃんが拒絶する様子はない。


 「ええ、なんだか私、記憶をなくす前も、こんな風に」

 「よく止血したりしていた気がするわ」


 「ちっ」

 「止血には礼言っといてやるよ」

 「てめぇに」


 あらあら、環希ちゃんってもうデレデレ期に入ったのでしょうか。

 ちょろいですね。


 「もういいわよ、規生君」


 「ああ」


 「規生君、女の子が向こうを向いていて頂戴と言ったらね」

 「もういいわよって言うまで」

 「こっちを見るのはよくないわ」


 規生君は、もういいわよと言った時には、もうとっくにこっちを向いていた。


 はぁぁ。疲れるわね。

 規生君の教育をしている場合でもありません。


 「規生君、行くわよ」


 「てめぇ」

 「どこ行くんだよ」


 「どこって、残りの連中の所よ」

 「貴女は、休んでなさい」

 「そこらの茂みに隠れてはぁはぁしてたら」

 「HPも怪我も自動回復していくでしょうよ」

 「エタファンはフルダイブ型VRMMORPGなんだから」


 「てめぇ、そんなFPSゲームみたいな」

 「ってかてめぇ、記憶あんだろ」


 「どうでも良いことは覚えてるものよ」


 この言葉は嘘ではありません。


 規生君は、そういう所はしっかりと分かっているのか、私が先を走ると、規生君は弓の射程範囲を保ちながら後をついてきます。


 ただ一人で震えているだけの幼女がいます。

 うーん、貴女に決めた。

 次はこの幼女がターゲットです。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る