第38話 フルダイブ型VRMMORPGのルールぶち壊す程にチートな存在がいるなんて聞いてないんですけど


  「もう見えなくなっちまったぞ」


  常識で考えれば、まだ技の途中とはいえ、この場で観戦していた誰もが、見えないぐらいまで、メルメちゃんを脇に挟んだまま走っていた

義徒はリングアウト扱いになるのではないかと思うだろう。

 しかし、これはフルダイブ型VRMMORPGであり、常識の既存の現実世界でのルールは通用しない。

 それに、端守に常識等が適応されるとも思えない。

 水守は言うまでもなく、端守も存在そのものがチートなのだから。

 フルダイブ型VRMMORPGにルールが存在してもバランス調整機能が作用しても、それは端守に通用するものなのかしら。


 「ここからは俺、ネコ型配膳ロボット型移動式ビデオ撮影verにゃーでおが撮影して会場の皆にお送りするでお」


 ネコ型配膳ロボット型移動式ビデオ撮影verにゃーでおが現れ、義徒達をおいかける。


 このロボットも、ネコ型配膳ロボットなのは、ネコ型配膳ロボットなのね。

 何も配膳しそうにないけれど、あくまで配膳型のバージョン違いという事らしい。

 何かがおかしいかと思うかもしれないけれど、これはフルダイブ型VRMMORPGなので仕方がない。

 きっと、この場にいた誰もがそう思っている事でしょう。


 にゃーでおの撮影している様子が、私達の前にディスプレイとして現れる。

 にゃーでおが、義徒達に追いつく。

 今は林の中で、義徒の脇に首を挟まれたまま、途中の木々にメルメちゃんはぶつかっていき、ダメージを食らって行ってる。

 脇に挟まれた状態のわきがの匂いでの継続ダメージもあるのよ。

 もう、メルメちゃんのHPゲージは半分を切っていた。

 

 「にゃーでおー」

 「にゃーでおだぁ」


 ビデオ越しに、メルメちゃんの声が聴こえる。


 メルメちゃんは、にゃーでおを撫でようと手を伸ばす。

 が、当然届かない。

 メルメちゃんがにゃーでおを撫でようとした手は空を切る。


 「あのメスガキ、まだ意識があるわよ」

 

 「並の魔法系メスガキじゃ、もう意識を失ってるよ」

 

 「技術だけじゃない。精神力も十分ってかぁ」


 「まだまだ楽しませてくれるのね、メスガキ風情が」


 確かに、あのわきがによる継続ダメージは、HPへのダメージだけではない。

 むしろ、戦意を失わせ、意識まで失わせる。

 それなのに、まだメルメちゃんは意識があって動けている。

 会場の群衆は、まだ意識を失っていないメルメちゃんに賞賛を送っていた。


 しかし、このままでは、意識があっても。

 どれだけメルメちゃんが精神力で意識を失わなくても、結局はHPが0になるわ。

 じゃあ、抜け出す方法があるのかと言うと。

 ない。

 そんなものは存在しないのよ。

 私の体が、それははっきりと覚えていた。


 ー----ー-


 作者あとがき:4万字現在、主人公月恵はまだLV1。

 フルログインなんでレベルアップは早いです。

なんで、そろそろレベルアップさせたい。

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