第37話 これが、僕達が待ち望んだ嗅覚も搭載されたフルダイブ型VRMMORPGだ


  「サンダーラッシュ」


 また、メルメちゃんのサンダーラッシュから通常攻撃に戻しループに入ろうとした。


 ! 


 メルメちゃんの杖が義徒の鼻を振り殴ってから、大きく振り切りすぎる。

 

 油ね。ギットギトの義徒の鼻を殴ったメルメちゃんの杖は、大きく滑り、振り切りすぎてしまったのよ。

 これじゃ、通常攻撃の2撃目は到底間に合わない。

 

 それどころか、このままでは決められてしまうわ。


 メルメちゃんにここから注意を投げかけてもどうにかできるものでもないし。

 何より、これは正々堂々たるゲームで、そのような事は許されない。

 強烈よ。

 前世で、私が義徒の技を食らった記憶はない。

 けれど、この体が、義徒の技を覚えていた。

 最高に嫌な思い出みたいね。


 義徒が、メルメちゃんの首を脇に挟む。

 そう、あの、腋毛が凄い事になっているあの脇によ。


 「くるぞくるぞ」

 

 「馬鹿、くるんじゃない、もうきたんだよ」


 義徒が、脇にメルメちゃんを挟んだまま走り出す。


 「義徒が脇にメスガキ挟んだまま」

 

 「コーナーに向かって走ってるわよー」

 

 「そのまま、コーナーに置いて雪崩式かね」


 「違う違うぞぼんくらどもぉぉ」


 義徒は、コーナーを飛び越えて、リングアウトする。


 「義徒ー」


 「こっち向いてよ義徒ー」 


 「HAAI」


 義徒は、子供達の方に向いて油を飛ばす義徒スマイル油飛ばしを行う。


 「わぁぁぁ、義徒の油が飛んできた」


 「リングアウトした義徒の義徒スマイル油飛ばしを受けた子供は元気に育つそうよ」


 「いいなー」


 「Kids達 come on」


 !義徒は、子供を呼び集める。


 「うわぁぁぁ俺も俺も」


 「私も元気に育ちたぁぁぃ」


 子供達が、義徒の近くによって来る。


 !あの構えは、5式若月。


 「5式義徒スマイル油飛ばし:若月」


 やはり、義徒は5式義徒スマイル油飛ばし:若月を行った。


 メルメちゃんを脇に抱えたまま、 その場にいる子供達全員に、義徒の油が飛んでいく。


 「ありがとー義徒」

  

 「これが、浴びたかったのよ」


 「義徒の油の匂いが、わきが臭が、ここまで届いてるよ」


 「これが、僕達が待ち望んだ嗅覚も搭載されたフルダイブ型VRMMORPGだ」


 「これが、フルダイブ型VRMMORPGなんだよね」


 義徒は、子供達にしっかりとファンサービスを行ってから、会場を走り抜ける。


 「リングアウトにはならないのよね」 

 

 「当たり前だろ、まだ技の途中だぜ」


  そう、これはまだ1つの技の途中であり、リングアウトのカウントダウンは始まらない。

 

 子供達へのファンサービスも、途中で技をキャンセルしてファンサービスしたわけではない。

 あのファンサービスは、1つの技の動作であり、これは決して相手への舐めプではないのよ。


 義徒のあの脇に首を挟まれている状態というのは、腋毛の脇の匂いがメルメちゃんの鼻に十分に継続ダメージを与えていく。

 つまり、ファンサービスが長ければ長い程、メルメちゃんは継続ダメージで食らうダメージも増えていく。

 これは、策略であり技であり、真剣勝負なのだ。

 これが、義徒なのだ。

 義徒は、本気で、全力で、メルメちゃんの怒りを受け止め、メルメちゃんに真剣に向き合ってるんだわ。


 事実、メルメちゃんのHPゲージはもう70%程になっていた。

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