第6話 我らが主人公月恵、まだ覚悟決らず
「才賀君」
「晴生君を止めてちょうだい」
でも、結局私は男の子の親友才賀君を頼った。
理々花ちゃんを危ない目にあわせたくない。
しかして、先程から、才賀君は何か悩んでいるようだ。
「あ、ああ」
僅かに返事はあるが、才賀君の歯切れが悪い。
「なぁ、月恵ちゃん」
「前前から思ってはいたんだ」
「もう、限界なのかもしれない」
才賀君は、悩んで、決めかねている。
迷いが見られる。
すぐには、助けてくれそうにない。
「うるせぇ」
「うるせぇ」
「オレを縛るんじゃねぇ」
「うるせぇんだよお前らぁ!」
「口を開けば説教・授業」
「オレを縛りやがる」
「オレを教育しやがる」
「オマエは何様だ理々花ァ」
まずいわね。
晴生君の怒りが、理々花ちゃんに向いている。
あてにするしかないわ。
富造君のヘッドギアを外し、フルダイブのバーチャル世界から、現実に引き戻す。
「相棒」
「理々花ちゃんが危ないの」
相棒の返事がすぐには来ない。
「月恵殿が望むなら」
「某、やるでござる」
返事をすぐに出せないのは、私だった。
富造君と才賀君の方が、もっともっと考えてて。
覚悟もしていたのかもしれない。
私には、覚悟がなかった。
覚悟どころか、まだ何も決まっていなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます