第2話 「ふふふ、それがフルダイブよ晴生君」


  「うるせぇんだよ、才賀」

 「オレェに対して説教かぁ」


 晴生君が、才賀君に対して怒りを向ける。


 「ハハ、まぁいつもなら君にお説教の1つでもする所だが」

 「今日は特別だ」

 「何せ、今日はエターナルファンタジーオンラインのサービス開始だ」

 「フルダイブ型MMORPGのレッスンだ」

 「晴生君」


 「アァァァ!」

 「レッスン!レッスン!」

 「嫌だぁぁぁ!レッスンは嫌だぁぁ!」


 いつもの事ながら、晴生君が心配になる。


 「当然、僕も参加するよ」

 「よろしく頼むよ月恵ちゃん」


 あ、よろしくお願いします。

 当然、才賀君とも前もって約束はしてある。


 「体験よ体験」

 「エクスペリエンス・アドベンチャー・アクティビティ」


 自分で言っておいて。

エクスペリエンスって何かしらね。


 「ウルルルセェェ!」

 

 晴生君が、大振りのパンチを、私に向けて振る。

 甘いわ。晴生君。


 「Sweetieに甘甘よ晴生君」


 もう、私達の関係の始まりの時とは、違うのよ。

 私は、晴生君の大振りフルスイングパンチを避け、鞄から取り出したポータブルフルダイブ装置を、晴生君に被せる。


 「な、なんだぁ!?」

 「急に場所が変わったぞ」

 

 晴生君が、ヘッドギアを装着され、驚いている。


 「ふふふ、それがフルダイブよ晴生君」


 今、晴生君が見ているのは、フルダイブ型ゲームの体験モードだ。


 「お、月恵がいるぞ」


 私のデータを登録してあるから、私がティーチング役として登場しているのでしょう。


 「いや、これ月恵か」


 実際の私をそっくりそのまま登録しているわけではなく、弄ってる部分もある。

 だから、戸惑っているのでしょう。


 「月恵って、こんなに可愛かったか」


 弄ってる部分もあるので。

 現実の私より、可愛く仕上げている。


 「月恵殿は元から可愛いでござろう」

 

 ですよね。ありがとうございます。

 流石相棒。


 「月恵ちゃんは普段から可愛いぞ」

 「それじゃ、まるで月恵ちゃんが今まで可愛くないみたいじゃないか」


 才賀君も、私の可愛さを褒め称えてくれる。

 ですよね。私、バーチャルでいじらなくても可愛いですよね。

 本当に、ありがとうございました。

 でも私、女の子が好きなんで。

 男の子に興味ないんで。

 ごめんなさい。


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