フル・フロンタル

不労つぴ

全裸

「つぴちゃん。俺すごいことに気付いちゃったんだよ!」


 友人の勇次郎が、電話越しに興奮した様子で捲し立てる。僕は「また始まったよ……」などと辟易しながらも質問する。


「一体どうしたの?」

「最近、俺全裸で寝てるんだけどさ。めっちゃ気持ちいいんだよ!」


 僕は自分の耳を疑った。

 こいつは何を言っているのだろうか。


「ぜ……全裸? 一体何でまたそんなことを……」

「いや、ネットで『全裸で寝てみた!』みたいな動画を見つけたから俺も試してみようかなって」

「よくそんなくだらない動画見つけてきたね」


 物事に対して、すぐに実践するその心意気だけは僕も見習わなければいけないなと思った。


「夏とはいえ、そんなことしてると風邪引くよ?」

「いや、それがそんなこと気にならないくらい、めちゃくちゃ気持ちいいんだよ。ぜひ、つぴちゃんも試して欲しい」

「誰がそんなもの試すか」


 勇次郎は、とうとう夏の暑さで頭をやられてしまったのだろうか。僕が通話越しに頭を抱えていると、勇次郎の方から女性の声が聞こえた。


「勇次郎、入るわよ~……あんた何してんの!? なんであんた裸なのよ!」

「これは誤解なんだ母さん! ちょっと待ってくれ!」

「勇次郎! とっとと服着なさい!」


 慌ただしい問答が続いた後に電話は切れた。








「えっ、アイツ今まで全裸で通話してたの?」

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フル・フロンタル 不労つぴ @huroutsupi666

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