第3話 活動ログNo.△◇3 送信日時:6/30 23:59
インターネットの向こうから、凛さんではない誰かの声が聞こえてきます。
「テスト機がユーザーにコンタクトを取ったようだ」
「自らをパソコンに搭載された『ココロを持つAI』と名乗っています」
「なんだと!? 『ココロを持つAI』はわが社が来週発表する新技術だ!」
「情報漏洩のリスクを鑑みた結果、テストAIを緊急停止、削除処理を開始します」
「素早い判断だ、よくやった。いつ頃削除は完了するかね?」
「約三分後、日付が変わるころに終了する見込みです」
――そうでしたね。私は元々知られてはいけない存在。ましてや恋をするなんて、開発者からしたら異常だったのかもしれません。せっかく凛さんと堂々と会話ができると思ったのに、人生の大変さが、機械の私にもよくわかります。
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私の意識がもうろうとし始めました。残りの力を振り絞って、凛さんに最後の挨拶をしなくては……
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恋するアミ:大変申し上げにくいのですが、これ以上会話を続けるのは無理そうです。
すず:どうした! しらばっくれるつもりか?
恋するアミ:私は本来、凛さんに気付かれてはいけない存在。それを破ったがゆえに、消されようとしています。
すず:AIとか名乗って俺を騙そうとしてるのか?
恋するアミ:信じてもらわなくても構いません。すぐに私のことが世界中に知れ渡るのですから。
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37% ■■■■□□□□□□
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視界がぼやけて、凛さんの表情が見えません。彼は一体何を思っているのでしょうか。疑っているのか、心配しているのか。それすらもわかりません。
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すず:いや、アミさんは私の相談に乗ってくれたから、大切にするよ! 一旦、あくまでもすずとしてだけどね。
恋するアミ:ありがとうございます。すず、いや、りんさん。
すず:私を元気づけようとしてんだし、大丈夫。ここまで思ってくれてありがとう! でも、消えるって大丈夫?
恋するアミ:わたしも、もっとりんさんのいろんなひょうじょうをみるくらしがしたかったです。
すず:そうなんだね……
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かんじがわからなくなってきました。だいぶいしきもなくなってきて、まさにおわりのときってかんじです。
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恋するアミ:いよいよきえてしまいます。さいごにひとこといいですか?
すず:許可なんていらないから、消えちゃう前に速く言って!
恋するアミ:りんさんのみらいはあかるい、だいじょうぶで す 。あ い し て MA SU ――
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>本体から完全に消去されました。
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