68 合流(1)
雄太郎は志朗と久賀と共に帰っていた。
「まさか二人が同じ中学だったなんてな」
「ああそうだぞ。俺達、二人共柏木第二中学だ」
「……昴大、柏木じゃなかったか?たしか第九」
「え、そうなの!?」
久賀がやけに大げさに驚く。志朗は頷いているので、知っていたようだ。
「第九なんて、柏木のヤンキー取りまとめてた学校だぞ……」
「そうなのか?」
「風見くんに限って、元ヤンなんてないと思うけどね」
「そうだな」
雄太郎が二人と駅に入ろうとすると、寒気がした。
凶悪な霊の気配だった。
これは千鶴に連絡を取ったほうがいいだろう。今ごろは、昴大と二人で帰っているはずだ。
「……俺、用事思い出した。先帰っていいぞ」
「ジブンもついていこうか?」
「いや、いい。親に迎えに来てもらう予定なんだ」
我ながら上手い嘘がつらつらと出てくるものである。雄太郎は内心笑ってしまった。
二人を見送ると、雄太郎は駅前広場のベンチに座り、千鶴に電話をかけた。
「……繋がらん」
念の為昴大のほうにも連絡を取ったが、一切繋がらない。LINEも反応なし。比較的返信の早い二人にしては珍しかった。
この状況で考えられる可能性としては、もう既に遭遇しているということだ。ならば、繋がらないのも納得がいく。
雄太郎は立ち上がり、二人の家の方向に歩き出した。
スマホを操作し、凪に電話をかけながら。
「あ、もしもしユウくん?」
「凪ちゃんには繋がったか。良かった」
「なになに、どうかした?」
「……凪ちゃん、気がついていないのか?」
「なんのことかわかりませんね」
凪がいるのはどこかの店内のようだ。聞き覚えのある声も聞こえる。
「私、今友達と買い物してるんだけど」
「悪霊が出た」
「……まじ?」
「マジだ。しかも、昴大も千鶴も電話が繋がらない」
「それ絶対会ってんじゃん。今から行く。ユウくんどこかで待ってて」
「なら俺は、マ◯クの前で待つ。……どれくらいで着きそうだ?」
「んー、5分ちょい。今私、ショッピングモールの中だし」
「なら話は早い。急いで来いよ」
「へいへい」
雄太郎はため息を着くと、目と鼻の先に見えるファストフード店の看板へ歩き出した。
凪は走る。
虹夏と初菜には速攻で別れを告げ、急いで階段を降りた。
「……なーんか、不味いことになってるような気がするんだよねぇ」
千鶴は大丈夫だと言っているが、霊力はおそらく全回復していない。昴大に至っては身を守る術さえ分かってないだろう。嫌な未来しか見えないのだ。
「ユウくん!」
「凪ちゃん。早かったな」
「いいから行くよユウくん。私の直感が警鐘を鳴らしまくってる」
「ああ俺もだ。行こう」
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