第27話 強大な敵

正頂君「渾氏と腕氏がこちらに味方しました。ですがやはり奴らは強大です」

そう頭を下げながら衛西に言うと衛西は書を読みながら頷いた。そしてこの日は王宮が揺らいだ。

呂政貴(罫国相国)「はっはっはっ!大王様とは久しぶりに会いますな。何処まで成長しておられるか楽しみですな」

呂政貴は許可をもらうと王宮に入り、衛西に謁見した。呂政貴は3人の文官と武官を率いて来ていた。

呂政貴「大王様、この度は謁見を許していただき誠に感謝いたします。それでですが大王様、我々は先日ですが」

そう言おうとした瞬間、息を荒くした伝令兵が王宮の扉を勢いで開けて入ってきた。伝令兵は呉国軍、生国軍、輪舞国軍、夕国軍、泥国軍、櫓国軍、球国軍の計100万強の軍が罫国に向けて侵攻してきたとのことだった。最初は誤報を疑ったが泥国軍が最前線の列日城、櫓国軍が最前線の火城を落としたことによって十分に信じた。その場にいた全員が落胆して思考停止をしていた。だが衛西と正頂君だけは諦めておらず、不利すぎる盤面をどうやってひっくり返そうか悩んでいた。

罫国 残城

既に火の手が上がっている残城には守備兵に限らず、一般市民が輪舞国軍によって虐殺されていた。輪舞国軍は虐殺が終わると直ぐに城を捨てて内部への侵攻を開始した。

漫極(輪舞国将軍)「我が国の本軍が来る前にできるだけの城を落として虐殺をするのだ。我らの恨みは永劫に拭えぬぞ」

罫国 転以城

まだ守備兵が櫓国軍に徹底抗戦し、耐えてはいたが援軍が来ず、激しい消耗で士気を失っていたところを投降の誘いがあったため、城主が承諾し、陥落した。だが虐殺は行われず、櫓国軍は櫓国の旗を掲げるだけして城を捨てた。

罫国 午城

王蒙がいなくなったことを皮切りに呉国軍によって激しい攻めが始まった。呉国軍は巧みな攻城戦によって短期間で投降させた。

袂盤(呉国大将軍 呉国軍総大将)「ふふっ、大皇は追放され、呉の名だたる武将は俺になった。これは俺の大事な1戦だから罫には少し同情するよ。午城の全員を処刑して城を捨てるぞ。もっと内部への侵略を行わなければならない」

罫国 邁完城

生国軍によって速攻で落とされ、虐殺も行われた。既に生国軍はおらず、火だけが残っていた。

羅現(生国大将軍 生国軍総大将)「さぁて、そろそろ奴らも諦める頃合いだろう。まだ他にも攻めてる城があるが次期に落ちる。憎らしい罫国が沈むのなら俺様は命を捧げてやるぞ」

一方で王宮では詰みの盤面を戻す策は考えられず、一部は思考停止し、国の滅亡後のことだけを考えるしかなかった。呂政貴も汗を数滴ほど垂らしてしまっていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る