第26話 完全撤退と真隊
黄攏が討ち取られたことが大きな波を起こし、堅実な王蒙が動いた。王蒙は中央軍を巧みに動かし、右軍と左軍にも指示を出していた。それに大皇は先陣に立って戦ったが山蘭が何手先も考えた結果、撤退の銅鑼を鳴らした。そして山蘭が大皇を説得し、午城を捨てて帰国することにした。これにより、呉国軍は完全撤退し、罫国軍の勝利が決まった。罫国軍からは大きな勝鬨や雄叫びが聞こえ、地を震わせた。
王蒙「今回の功労者は真、貴方です。本当にやってくれましたね。では褒美として貴方に猛真隊と名付けてあげましょう」
その言うと王蒙は護衛を引き連れて他の軍のところへと行った。そして午城は解放され、真達は国内に戻ることとなった。論功行賞が行われ、真は正式千将となり、様々な贈り物もされた。次は大きな戦ではないが球国との国境に配備され、小競り合いを制してこいとのことだった。
真「いやぁ、大きくなった~」
尾供「本当だぜ、お前って奴は…」
真「そう言えば尾朗の奴は?小便か?」
尾供「それがな…奴はお前が敵と一騎討ちしてた時に深い傷を負ってしまってな、先週から村で療養をしてるんだが今日に死んだって報告が入ったんだ…」
真「そうか…畜生…何でだよ…」
どちらも涙を流していると蘇随と麗が入ってきた。涙を拭くと尾供は天幕から出ていった。
蘇随「私が調査したところ我が隊は先の戦で932人まで減りました。直ぐに増員してもらい、今は1千人います。遂に全員が甲冑を着て戦えるようになったんです」
そう話す蘇随とは裏腹に麗はずっと無口で真は不思議に思っていた。
麗「真、悲しいか?」
真「お、やっと口を開きやがった。ハハッ、別に悲しくはねぇよ。戦場なんだから死はいつでも誰でも等しく振りかかる。それが誰だか分からないだけさ」
そう言うと真は寝転がった。蘇随と麗はフッとした顔で天幕を去っていった。夜が明け、真は全隊員に甲冑を着させ、直ぐに近くの球国軍に攻撃を開始した。最初は勢いで何回か勝てたが次第に連敗し始めた。
興隆(罫球国境警備中隊長)「猛真隊、そろそろ勝たなければ千将を剥奪する。その権限を今のわしは持っている。だが此処でお前らを終わらせるのは惜しい。そこで軍師を紹介してやる。わしの娘だが別嬪で頭が良いぞ?」
そして4日後に本陣から軍師が送られてきた。興隆の言う通りの別嬪で頭が良さそうな気品が高い顔をしていた。その顔は真隊の全員が顔を赤らめて見つめていた。だがそれを他所に王宮では衛西派と巨大な政敵派の激しい政争が幕を明けそうだった。
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