第15話 昇格と大戦

真は鏤舎奈によって活躍が認められ、1歩兵から百将に昇格することができた。罫国にもそのことを伝えて鏤舎奈は一度帰国した。真の百人隊は罫国が認め、呉国攻めへ参戦するよう求めた。真達は王満率いる罫国軍に配属され、王満から呼び出されていた。

王満(罫国大将軍 罫国軍総大将)「鏤舎奈から活躍は聞いている。ただの一兵如き奴が死なずに功績を残すとは」

そう言うと真は大人に近付いたような顔をして王満を見ていた。王満は嘲笑うような笑みを浮かべて帰るよう言った。本陣を出て後ろ頭に腕を組みながら歩いて帰っていった。

王満「奴は大きく成長して罫国の武を表す存在になるやもしれんな」

そして翌日になると罫国軍と呉国軍の睨み合いが始まった。両軍は先にどちらかが動くのを待っており、どちらも動く気配を見せなかった。

遠南(呉国将軍 呉国軍総大将)「これは動いた方が負ける。そんな予感と確信が混じった気がしてしょうがない」

そう言いながら罫国軍を舐め回すかのように見て少しの隙を見つけようとしていた。見ていると丘の下から馬で登ってきた遠西がやってきた。

遠西(呉国軍騎馬隊長 遠南の弟)「兄上、まだ突撃してはなりませんぞ。奴らがどれだけ大きな隙があったとしても」

遠南「何故だ?…はっ!そういうことか…奴らはわざと隙を作っているのか」

そう話していると後ろから条が急いでいる様子でやってきた。

条(呉国軍千将 遠南の幼馴染み)「遠南、後方から敵襲だ。急いで援軍をくれ、相手はあの冠希だ…」

名を聞いた遠南は冷や汗と武者震えを起こした。少し驚きを隠せずに吐き気を催そうとしていると遠西が100騎を勝手に連れて呉国後方軍の方へと向かっていった。それに後で気付いた遠満は近くの呉国軍兵士に止めるよう言ってくることを命令して罫国軍を見つめていた。

遠西「隔豚、周りの混乱している部隊をまとめて数を正確に把握して俺に教えろ。敵の奇襲に気を付けろ」

隔豚(遠西の側近)「はっ!では10騎、我の後を終え!」

そう言って近くの混乱している後方軍の数を少しずつ数えていた。だが隔豚が1つ目の場所を終えて次の場所へ行こうとした時、隣から甲冑を着ていたり、上裸だったりの変な入れ墨を入れた異様な兵士達が隔豚達に襲ってきた。

雷命(罫国千将 冠希軍副将)「この敵も歯応えがない」

そう言って矛を振るって呉国後方軍の小隊を荒らしていった。そこに隔豚は割って入り、剣を振ったが雷命の雷命が横に思いっきり振った矛によって隔豚の剣と体は真っ二つとなった。そして抵抗していた呉国軍歩兵達の大部分が各地で投降を決意した。

遠西「一度撤退を…ゴブッ…」

自分だけでもという思いで撤退をしようとした遠西は冠希軍歩兵の波によって抵抗するも討ち取られた。投降した呉国軍歩兵達は命乞いをしたが冠希は笑って冠希軍の拷問部隊へと送らせた。

何種(呉国後方軍第一歩兵長)「捕虜への拷問をするほど罫国と軍は腐っておるのか!この仕打ち後世にも悪名を残すことになるのだぞ…ギャアアアア!」

叫び声が小さな天幕内を通り越して森に響いた。何種は手足の爪を1つずつ丁寧に剥がされ、痛みに耐えてきたが急所を外した剣刺しに耐えられずに叫んでしまった。そして少しずつ意識を失っていき、拷問から1時間後には変わり果てた自分の姿を鏡で見せられ、ショックによって死んでしまった。

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