第10話 大きな動き
米欧軍が万善軍を奇襲し、米欧は万善を後一歩のところまで追い込んだ。
米欧「すまんがお前は戦において厄介な敵になるかもしれぬ、だから首を頂くぞ」
そう言って矛を振り下ろそうとする米欧に万善は満更でもない顔で手を差し出して矛を止めようとした。米欧は矛を下げて警戒した。
万善「最後の言葉を言わせろ。勿論だが自分がこの戦で破れれば死ぬのは知っている、だから最後まで抵抗する気はない。お前は見るからに強いからな、それで最後に我が大将に出会うことがあれば…ふっ、もう話す必要はないようだな」
米欧「どういう意味だ?」
そう米欧が聞いた瞬間、右の茂みから騎乗した雁木が二刀で米欧を襲ってきた。米欧は少し反応に遅れたが何とかそれを防ぎ、押し返した。
米欧「くそっ、時間稼ぎしてたのか?」
雁木「いや、万善殿はそんなことしてないよ。多分だけど死をしっかり認めてたよ、惜しかったね~そこの罫将」
万善「馬まで用意とは…用意周到すぎだな、直ぐに撤退して立て直す。遅れを少しでも取り戻す」
そう言って万善は用意された軍馬に乗馬して護衛を連れて茂みに入って消えていった。だが米欧は万善を逃がさないと邪魔する雁木に斬りかかって突破をしようとするが雁木は全力で二刀を上手く使って防いだ。
万善「翌隊は右翼前線に出て一点突破を狙え、そして松英様から配下を送ってもらうよう伝令を、次に左翼だが意外と押し込まれている。だから手練れを優先的に殺してくれ、他の雑魚敵には力を使いすぎないようせよ」
そう言って簡単に状況判断をして命令を出した。一方で左翼の戦場にいた真は雁木がいなくなったため、より一層に生国軍を押し返した。だが万善の命令が伝わり、一気に真は生国軍歩兵達から狙われてしまった。
真「畜生、何で敵は俺ばっか狙ったくるんだ?馬もそろそろ刺されすぎて限界だ」
そう言うと馬を降りて剣を振るった。そして近くの生国軍歩兵達を何人も斬って前線を押し上げた。
介列永(松英の側近 松永軍将軍)「万善殿、貴殿の伝令通りに側近の俺と俺の軍を率いてきたぞ。俺の兵は屈強で強い、どんな死地にも送って構わんぞ」
そう言うと万善は頷いて左翼を指差した。するとそれを察した介列永は直下兵を引き連れて左翼へ行った。到着すると介列永は先頭で矛を振るって何人もの罫国軍歩兵を屠った。真はその様子に驚きを隠せず、少し足をすくませてしまった。
介列永「はっはっ!手練れと言われてる敵も俺を前にしては所詮は雑魚だな!どんどん来い!俺の首の価値は重いぞ~」
その言葉を掛けながら近付く罫国軍歩兵を次々と屠っていく介列永の様子に罫国軍の現場指揮官は困惑していった。近付いてくる介列永を前に何もできずに斬られていく指揮官もおり、現場は混乱に巻き込まれた。
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