第6話 壮絶であっさりな一騎討ち

護明と鏤舎奈は乗馬した状態で対面した。先ずは護明が剣を抜いて鏤舎奈に斬りかかろうとした。それを鏤舎奈は矛で止めて押し返した。次に鏤舎奈が矛で護明を断ち斬ろうとした。

鏤舎奈「さぁ、護明!貴様には何も感じぬぞ、わしが一騎討ちしてきた武将は必ずしも熱い思いがあった。それを貴様から感じ取れぬ、廃人同様にな」

その言葉に憤りを感じた護明は勢いに身を任せて鏤舎奈に斬りかかった。

護明「俺は元々罫国の人間だった」

そして鏤舎奈は矛を使って護明の剣を真っ二つに斬った。護明は驚き、馬を一騎討ちの最初の位置まで下げ、鏤舎奈を見ていた。

護明「私は罫国軍の三千将として各地に名を馳せていた。だが輪国との戦に大敗し、罫は重要な地を失った。それが元になって私は罫国の人間として処刑される前にこの生国に亡命した。この国の大王は私に優しく、高待遇で迎えてくれた。そしてそこから私は鬼神の如き戦いで将軍になった。生国軍は守りに強い兵士が多いが私の軍はどちらもできる万能な兵士だ。それを貴様らに突破されるなど絶対にないのだ!」

鏤舎奈「くだらん!罫国の兵士は遥かにお前らの軍よりも手強く、最後まで血を流す勇猛な奴らばかりだ!貴様の軍が突破されて当たり前じゃ!」

その言葉を皮切りに護明が新たな剣を握って鏤舎奈に突撃してくるとそれを好機と見た鏤舎奈が矛を使って護明の体を真っ二つに斬った。

米欧「流石は我が主…我らの勝利だ!直ぐに生国軍の者は武器を捨てて我らに投降せよ!酷いようにはせぬ!」

郭巾(生国軍副官)「く…護明様…ええぃ!聞け、皆の者!生国軍の底力を見せるところだ。直ぐに武器を手に取って罫国軍を蹴散らし、護明様の…グフッ…」

言っている途中に真が郭巾を斬って絶命した。郭巾は落馬し、そのまま動かなくなった。これが決定的となって生国軍は全軍が撤退か、投降した。

鏤舎奈「ふっ、中にはやり手のガキがおるようじゃな。米欧、あのガキに馬を与えてやれ、わしからの些細な贈り物だ」

米欧は鏤舎奈の命令を聞いて真に馬を与え、去っていった。そして罫国軍は三宝の地に罫国の旗を掲げて次の攻略地を定めるため、本営の伝令を待って待機していた。

米欧「ん?この近くに城があると?」

鏤舎奈「そうだ、斥候が見つけてきた。簡単にはわしだけの私兵で落とせるほどの小城だがな、一応偵察をしてきて欲しいのだ。お前が行くのもよし、お前の側近に行かせるのもよしだ。好きにせぃ」

米欧は本陣から下がって直ぐに馬の用意をした。既に日は落ちており、そろそろ夜に入ろうとしている時だった。

感物(米欧の側近)「その小城は懇城と呼ばれております。兵も1千くらいだと言われております。今、感方が帰ってきておりますので正確な情報はそこから」

一方で感方は馬に乗って周りの兵士を引き連れ、米欧の本陣に帰ろうとしていた。そして感方は呼ばれた気がしたのでふと後ろを見ると2人の味方の兵士が斬られていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る