第4話 三宝の戦い

罫国軍は生国が支配する三宝という土地を支配しようと三宝目前に迫っていた。対する生国軍は三宝の少し後ろにある山に布陣していた。そして罫国軍を率いるのは罫国の大将軍である鏤舎奈、生国軍を率いるのは生国の将軍である護明だった。どちらも中華に名を上げる武将で他国もこの戦の勝敗を見守っていた。

鏤舎奈(罫国大将軍 罫国軍総大将)「ほぉ、奴は先に布陣しておったか。まぁ、良い将ではないか」

そう言うと合図をするかのように手を上げて罫国軍を布陣させた。そして各陣に将校を配置し、突撃体制に入らせた。生国軍は大半を山から降ろして防御の布陣に入った。

護明(生国大将軍 生国軍総大将)「奴の首を落として逆に侵攻してやる…天録、直ぐに1千の精鋭を率いて奴らの馬鹿な歩兵共を釣ってこい」

天録(生国二千将 護明の側近)「はっ!その大役を見事に果たしてみせます!」

直ぐに命令通りに天録が1千を率いて罫国軍の最前線にいる歩兵団達に向かっていた。そして中腹辺りに来たところで天録達が臨戦態勢に入ろうとしたところ右隣から無数の弓矢が飛んできた。

天録「何ッ!何故だ?」

天録は鎧にしか矢が刺さらず怪我はしなかったが何騎か殺られてしまった。それでも騎馬の足を止めずに歩兵団が目の前に差し掛かったところで急停止し、旋回した。これに激昂した歩兵団の一部が天録達に突撃した。天録は後ろを見ながら笑いを隠せずにいた。

陣(罫国軍歩兵長)「追え!追え!あの騎馬達を殺して褒美を…」

そう言って追ってきている歩兵小隊を左隣にいた別の生国軍騎馬小隊が蹴散らした。急な突撃によって歩兵小隊は壊滅的損害を与えられた。陣も騎兵隊による攻撃の波に飲まれて首を斬られていた。

鏤舎奈「ハッハッハ!敵は早々に動いてきたか!仕方ない、わしの本陣からお前が選んだ100騎を連れてその歩兵小隊がいたところへ行け、米欧。死ぬでないぞ」

米欧(鏤舎奈軍副官 鏤舎奈軍参謀)「御意ィ!直ぐに行って参ります!」

そして米欧の到着で戦はまた膠着状態になった。両軍どちらも睨み合いが続き、どちらもどちらかが動くのを待っていた。そんな辛抱を耐えられずにいた真は苛つきを隠せなかった。

真「上の人間はいつまでこんなことしてんだよ!早く突撃させて俺に武功を取らせろよ!苛つくぜ、全く…」

そんなことを思っている真の裏腹に護明は本陣から降りて突撃の布陣に変えようとしていた。それを罫国軍の物見は見逃さず、直ぐに本陣に報告した。

鏤舎奈「誠か…ではわしが先陣を切っていってやろう!」

そう言うと側近達が驚いている間に馬に乗って矛を握り、本陣を出ていった。側近達も慌てて鏤舎奈を追っていった。そして鏤舎奈が矛を生国軍に向けて罫国軍の最前線を抜けると布陣していた軍は全て鏤舎奈に追従して生国軍に向かって突撃をした。

護明「さぁ、殺戮の始まりだ。第一陣は突撃し、第二陣は直ぐに出れるよう準備だ。へまを踏むでないぞ」

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