ヒロインみーんな彼氏持ち!?なラブコメ〜〜〜俺を助けたセクシーギャルも、俺と結婚を誓った美少女幼馴染も、俺の下駄箱に手紙をいれた童顔ツインテール女子も、もれなくみんな彼氏がいる……
第17話(前編) 大好きな妹を独り占めしたいと願うのは悪いことかも
第17話(前編) 大好きな妹を独り占めしたいと願うのは悪いことかも
土曜日の午前11時。
時間を気にせず布団に潜れるありがたみを噛み締めながら、ぼんやりした頭でスマホを開くと、双葉からLINEが届いていた。
『今日、家行ってもいい?』
……家!?
いやいやいや。あ、あり得ないだろ。つ、つつ、付き合ってる男女じゃあるまいし?
俺は早急にお断りの連絡を入れる。
『さすがに男女で2人は厳しいです』
すると3秒で既読が付き、5秒で返信が届いた。
『そうじゃなくて。みんなで勉強会がしたいの。清忠の家でできない?』
あー、そういうこと……って、なんで俺の家なんだよ。勉強会みたいな絶好の青春イチャラブイベントに、無関係の根暗陰キャを巻き込むな。
と、心が反射的に拒絶してしまったものの。
一応俺も今回のテストは頑張りたいし、丁度良い機会なのは事実だ。一人で黙々と勉強するより、多少やる気も出るだろう。
『2時くらいからなら、空いていないこともない』
『やった! じゃあ2人にも伝えておくね』
『了解』
ふぅ、急に休日が慌ただしくなってしまった。
……まずは散らかったこの部屋をどうにかしないと。
※
服を着替えて顔を洗い、朝食という名の昼飯を軽く済ませる。
そして床に散らばったラノベを押し入れに詰め込み、人を招けるぎりぎりのレベルまで部屋を復元すると、ピンポーンとチャイムが鳴った。
「うわ〜可愛いね。清蘭ちゃんって言うんだ~。いくつ?」
「んっとね、6さい!」
「あっ、うちの弟と一緒だ~」
……玄関に移動すると、清蘭が既にお客様を出迎えており、双葉と楽しそうにお喋りしていた。あれ、男は来ていないんだ。
「はぁ、やっぱり清蘭ちゃん可愛いな~」
「えへへ。おねーちゃんもかわいいよ」
「ほんと!? うれしい……ありがと、清蘭ちゃん」
「どういたしまして!」
あっという間に、双葉は清蘭にメロメロである。まあ、うちの妹は宇宙で一番可愛いから仕方がない。
「あ、清忠いたんだ」
「……そりゃ俺の家だからな」
清蘭しか眼中になかった双葉が、ようやく俺の存在に気がついた。まあ、うちの妹は宇宙で一番可愛いから仕方ないね。
「まだ小さいのに、しっかりした妹さんですね」
「うちより頭好さそう」
佐倉と都久志さんも清蘭を見て感心している。まあ、うちの妹は宇宙で(以下略。
自慢の妹をたくさん褒められて、兄は非常に鼻高々である。
「清忠~、清蘭ちゃんあたしにちょうだ〜い」
「死んでも渡さん」
「ぶぅ」
この生命に替えても、俺は清蘭を守り抜く。彼氏の件だって、お兄ちゃんはまだ認めていないからな。
「ねえ、おにいちゃん」
清蘭が不思議そうな表情で振り向いた。
「どうした清蘭」
「――おにいちゃんって、さんまたしてるの?」
純粋な透き通った瞳で、兄に尋ねる清蘭。
「違うぞ。ただのお友だちだ」
三股って……どこで覚えてきたんだよ。
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